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九州大学農学部と協業します!~大学発のベンチャー立ち上げ~

こんにちは!今回お届けするのは、FOODBOX(フードボックス株式会社)初の「大学との協業(産学連携)」についてです。

このたびFOODBOXは、九州大学農学部作物学研究室(石橋勇志准教授)による農学部発ベンチャーの立ち上げに向け、市場調査をはじめとするビジネス化のプロセスをサポートさせていただくことになりました。
石橋先生と、本プロジェクト担当かつ同研究室出身でもある村上真哉が、その意義と想いを対談で熱く語ります!

九州大学農学部作物学研究室について

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―石橋先生と村上さん、まずはそれぞれ自己紹介をお願いします。
石橋:石橋勇志と申します。生まれも育ちも福岡県久留米市、九州LOVEの人間です。現在、九州大学農学部作物学研究室で、地球環境と食料との関係について研究をしています。
村上:村上です。九州大学農学部作物学研究室出身です。石橋さんの元で、砂漠でも育つ大豆を作るという研究をしていました。FOODBOXには2021年9月に入社し、現在はフードカタリストとして動き始めたところです。


村上は2021年8月までは、総合商社勤務の傍らプロボノとしてFOODBOXに関わっていました。その時の記事はこちら


―お2人は元々、作物学研究室の先生と学生という関係だったんですね。

村上:そうですね。…しかし、私の在学中と比べると、研究室の紹介もずいぶんかっこよくなりましたね。私がいたころは、「稲やっています」みたいな感じだったのに(笑)。
石橋:入り口はちゃんとしていたいからね(笑)。作物学研究室は今年101年目を迎えたので、改めてビジョンを立てて、大きく掲げたんです。


2021年春にリニューアルしたという、研究室の公式ウェブサイト。クールでわくわくする内容です!


―作物学研究室について詳しく教えてください。
石橋
: 現在20名くらいの学生が所属しています。半分以上が修士に進学し、博士課程の学生も順調に増えているなど、研究のできる人材が育っています。昔は大麦の研究を主軸としていましたが、現在は小麦やヤムイモなども含め幅広い作物を扱うようになりました。
村上:学生は春から夏は農作業をして作物を栽培します。そして秋から作物の遺伝子を解析するなど、ラボで研究を行います。冬から春先に提出する卒論や修論に向けて必死にデータをとり、年末年始くらいがピークに忙しくなります。

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研究用に栽培される作物と学生たち(作物学研究室ウェブサイトより


―なるほど。ちなみに石橋先生、村上さんは当時どんな学生だったんですか。
石橋
:そうですね、始めは心を閉ざしていたというか、自分を出せていない感じでしたね。しかし、互いに刺激し合える良い関係の同期ができ、面倒を見ないといけない後輩もできて、年々ステップアップして変わっていった気がするね。
村上:そもそもどうして石橋さんの研究室を選んだかというと、完全に「人」です。教授陣と研究室を盛り上げてくれていた先輩方がすばらしく、また同期や後輩にも本当に恵まれたと思います。

石橋:あとは、思い切ったことをやる学生でしたね。教科書に書かれていないことを見つけるとか。実は彼が修士でやった研究は、いまだに研究室として追い求めているテーマなんですよ。
村上:自分が修士で研究したことを、後輩たちがどんどん深掘りしてくれていると思うと嬉しいですね。
石橋:この研究はもう最終段階に入っていて、数年内に皆さんが目にする形で発表ができると思います。

九州大学農学部発のベンチャー設立に向けて

―本題となりますが、今回の協業プロジェクトについて村上さんから説明をお願いします。
村上
:はい。今回のプロジェクトは、石橋さんから、研究成果がよい形で上がってきているので、これを外に出していけないか、とご相談をいただいたのがきっかけです。最初は同窓会気分で研究室仲間とオンラインで話をしていましたが、だんだんと盛り上がってきて、研究補助金が出るプログラムに応募したりなど、具体的なアクションを開始しました。

結果的にはJSTが行っているSCOREのGAPファンドNEXTプログラム(※)に採択していただき、ベンチャー立ち上げが現実化してきました。そこで研究を完成させると同時に、市場規模の調査や経済性の評価などを改めて検証する必要も出てきたんです。いわゆる産学連携として、作物学研究室が技術開発と研究、FOODBOXが市場規模調査や評価を担う形で協業し、ベンチャー立ち上げに向けて走り始めたのです。

※JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)による社会還元加速プログラム(SCORE)の中の大学推進型プログラム。福岡県内にある大学が、大学発の技術を使ってベンチャーを立ち上げる支援をしている。

石橋:研究をビジネスベースにのせるために、農家さんとの繋がりを持っているFOODBOXさんに、本当に農家さんにとっても必要な技術なのかというところも含めて調査をお願いすることにしたんです


―ありがとうございます。大学発ベンチャーというと、医薬系や工学系はよく聞きますが、農学部発のベンチャーというと珍しい気がしますね。
石橋
:そうですね。企業にスポンサーになってもらうなどの動きが、農学系ではまだまだ少ないですね。
村上:それってなんでなんでしょうかね。最近、アプリやドローンを活用するアグリテックも盛り上がってきました。それはそれで良いんですが、大学にもすばらしい技術やノウハウが詰まっていて、もっと評価されるべきだと思います。入ってくるお金が少ないことで、技術革新はもちろん、世の中に出るのが遅れがちになっています
石橋:セミナーなどで他の分野の人と会って話すと、農業分野は外との繋がりが足りていない、産学連携にまだまだ課題が多いことを実感しますね。何より、農業の世界にもっとお金を入れて、農業従事者の所得をあげないといけないと思いますし、新しいことを生み出して産業自体を創っていかないと若い人が入ってこない。FOODBOXがやっている農業と企業や自治体を繋げる取り組みは、すごく重要なことだと思っています。

九州大学農学部発ベンチャーが示す、これからの研究のあり方

―このベンチャーが目指すゴールは何でしょうか?
村上
:今、地球環境ががらっと変わってきていて、食料が足りなくなる、などさまざまな議論があり、そこに貢献していくことが目的ですね。農業の世界では、機械やAIを使って作業効率化を図ろうという取り組みはたくさんありますが、石橋研究室が取り組んでいるのは、植物自体に適切に働きかけることで、植物のもつポテンシャルを上げ、より効率的に作物を栽培するための技術です

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研究テーマの一つであるササゲ豆(作物学研究室ウェブサイトより

―石橋先生はこのベンチャー立ち上げにどのような想いを込めておられるのでしょうか。
石橋
:「農業は実学である」とよく言われます。つまり農学部が貢献すべきは、実際の農業なんですよね。農業は昔と比べて変わってきている側面も非常に多く、新たな産業が生まれる場でもあると思っています。そのプレイヤーとして大学も加わるべきだという思いがあります。


―村上さんもですが、このベンチャー立ち上げをきっかけに、企業に就職した卒業生たちがまた研究室に出入りするようになるのも、大学が企業と繋がるきっかけになりますよね。

石橋:それはまさにそうですね。卒業生の進路は、昔は県庁などの公務員、民間では食品系が多かったですが、今は商社、金融、アプリ開発などのSE系などさまざまな分野に広がっています。そういった学生たちが今も食料や農業関係の相談をもってやってくることがあります。そういう学生たちと一緒に何か行うことで、アカデミックの世界にビジネスの観点が入ってくることになり、これも産学連携の一つとして良い形だと思っています。
村上:石橋さんの人徳ですよ、これは。
石橋:一方で、農学部に入って農家になる人はほとんどいないんですよね。せっかく食料や植物に興味があって入学してくるのに、その分野での出口が農家しかないという現状に対して、こういった大学発の農学系ベンチャーがあれば、植物が好き、農業の研究を続けたい、という純粋な想いの受け皿にもなれると考えています。

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未来の農業界を担うために学ぶ作物学研究室の学生たち(作物学研究室ウェブサイトより

―お2人のこれからの目標を教えてください。
石橋:九大は今、産学連携に力を入れていて、大学発ベンチャーの立ち上げが進んでいます。新しい産業を興すには資金が必要なので、今回の協業プロジェクトもそうですが、さまざまな公的な助成金の活用や企業との産学連携にチャレンジしながら、分析機器を揃え、技術開発できる状況を作っていきたいですね。10年くらいを目途に、いろいろと考えています。
村上:私個人としては、卒業生という立場で手伝うのも楽しかったんですが、力不足だなと感じる場面もありました。FOODBOXの一員として動くようになった今、農業ビジネスに関する知識やノウハウの部分でもパワーアップし、お世話になった研究室に還元したいなと思っています。


―農業界全体、そしてグローバルな食糧問題にも貢献するベンチャーの設立に期待しています。
石橋
:私の役割としては、技術開発の部分をしっかりやること。ビジネス面はFOODBOXさんに担っていただけるので、非常にありがたいですね。今回は研究室からお願いする形ですけど、研究室の方もFOODBOXの力になり、両輪の関係性で農業界に貢献していけたらよいと思います。
村上:今回の件以外にも、もっといろいろなプロジェクトで協業させていただき、九大の作物学の研究蓄積やノウハウを世の中に還元していきたいですね。石橋さんの頭の中も、めちゃくちゃ情報が詰まっていますから。センスのいい研究だと確信しているので、ベンチャーを立ち上げれば、グローバルにも戦っていけると確信しています。

―ありがとうございました。

お話を伺ったのは…

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九州大学農学部作物学研究室准教授
石橋勇志さん / Yushi Ishibashi
2011年に九州大学大学院農学研究院特任助教、2014年より現職。作物学、生物資源環境学の分野で大学院生や学生たちを率いて研究に励んでいます。
作物(大豆、稲、小麦など)の生産性や品質の向上について、世界中の遺伝資源やゲノム情報を活用した石橋先生の研究は、地球環境の変動や人口増加による食料問題というグローバルな課題解決にも結びつくものとして、大きな期待がもたれています!

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FOODBOX株式会社 COO、フードカタリスト
村上 真哉 / Shinya Murakami
兵庫県出身。大学・大学院では、大豆等のマメ科作物に関する研究に従事し、在学中に研究の一環でナイジェリア留学も経験しています。大学卒業後は、大手総合商社に入社し、化学品の輸出入業務や新規事業開発を経験。その後、大手食品メーカーへ出向し、新商品の上市戦略策定や自社通販事業の立ち上げ等に携わりました。
2021年9月FOODBOX株式会社に入社し、主に企業様、自治体様との案件と、これまで培ったノウハウを活かして新規事業の立ち上げを担当しています。実は、フルマラソン サブスリーのランナーで持久力は社内イチ!時には農業現場に入り、皆さんの挑戦や実現したい事をサポートします!

聞き手
CMO、フードカタリスト
池田 夏子/ Natsuko Ikeda

編集
広報部O

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