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マズロー欲求の真偽と「理想の仕事」を考えてみた。

どうも、キャリアコンサルタントのタルイです。

今回は現在転職を考えていて「理想の仕事」を探している方に #いま私にできること です。是非とも読んでください。

まずはタイトルの「マズローの欲求5段階説の真偽」について結論から書きましょう。

実は間違ってます。

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なーーーーにーーーーーーーーーーーーーー!!!!

この欲求5段階のピラミッドの図はマズローが考案したものではないそうです。

ですので正確にいうとマズローの五段階欲求説を、

後世の人がピラミッド図にまとめて一部を誤訳したというのが真相のようです。

なにを誤訳したのか?

その真相にいく前に前回からのふりかえりから今回の理想の仕事とはなにか?

についてを順だって説明いたしますのでおつきあいください。


前回は「働く目的は何か?」について妄想しました。

〈前回の振り返り〉内閣府のアンケート「働く目的はなにか?」に対して、70歳を超えると「わからない」が急増する事実をイソップの三人のレンガ職人は、捏造とブラック企業の話であるとの結論から言えることは「誰かが言った『働く目的』の意味づけには意味がないですよ」ということです。


今回は「理想の仕事」について妄想してみました。

よかったらYou Tube動画にしましたのでこちらをご覧いただけるとわかりやすいかもしれません。


ここからは動画の内容をテキストに起こしました。


今回マズローの欲求5段階説を持ち出した経緯は

内閣府の国民の生活に関する世論調査内の「どのような仕事が理想的だと思うか」のアンケートをみたことがキッカケでした。


■内閣府が考える、どのような仕事が理想的なのか?

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どのような仕事が理想的だと思うか聞いたところ、
「収入が安定している仕事」を挙げた者の割合が60.5%と最も高く、以下、「自分にとって楽しい仕事」(57.6%)、「私生活とバランスがとれる仕事(44.5%)、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」(37.8%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
 
ちなみに前回の調査結果と比較してみると、大きな変化は見られないです。

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内閣府発表による傾向を以下にまとめました。

・都市規模別に見ると、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
・性別に見ると、「自分にとって楽しい仕事」、「私生活とバランスがとれる仕事」を挙げた者の割合は女性で、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」を挙げた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。
・年齢別に見ると、「収入が安定している仕事」、「私生活とバランスがとれる仕事」を挙げた者の割合は18~29歳から50歳代。

「自分にとって楽しい仕事」を挙げた者の割合は18~29歳、50歳代、60歳代で、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」を挙げた者の割合は40歳代、50歳代で、それぞれ高くなっている。


■本当にこれが理想の仕事なのか⁉

さて、前回解説した内閣府のアンケート「働く目的は何か」に引き続いて、

またしても疑問です。

この内閣府のアンケートを作った人は、なぜこれを理想の仕事と考えたのか?

細かいことが気になってしまうのが僕の悪い癖。

考えることしばし…

私はこのアンケートの8つの項目に注目して、ある仮説が生まれました。

ひょっとしたらこのアンケートの作成者マズローの5段階欲求を参考に質問項目を作ったのではないか?

マズローの欲求5段階説は自己啓発系のセミナーでも、

その他書籍やらネットでも至るところで紹介され解説されているので、

ご存知の方も多いと存じます。

ここではざっくりと解説します。

「マズローの欲求5段階説」とは、

心理学者アブラハム・マズロー氏が

「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、

人間の欲求を5段階にまとめたものです。


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マズローは人間には5段階の「欲求」があり、

1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとするのが基本的な心理的行動であると説明されてます。


この有名すぎるマズローのピラミッドの図ですが階層の定義に注目していただきたい。

●マズロー のミラミッド図と内閣府のアンケートの質問項目を並べて比較してみました。

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どうですか?私は似ていると考えたのです。

よって、アンケートの作成者さんは質問項目を作る時にマズローの欲求5段階説を参考にしたのではないかと私が妄想したのです。


●マズローの欲求5段解説は会社のモチベーションアップにも応用されてる

実は、マズローさんの説は、マーケティングや経営学にも応用されています。

「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮説をもとに

作られた理論だからです。

もともと心理学としての理論だったマズローの欲求5段階説が、

今ではビジネスにおいても用いられるようになりました。

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その背景には、「仕事で成果を上げるためにはモチベーションが重要」と考えられるようになった時流とあわせて拡がった経緯があります。

モチベーションとはやる気になるための動機づけのことです。


とにかく有名なこのマズロー欲求5段階説。

冒頭でもお伝えしたとおり、いろいろと誤訳されてます。

では何を誤訳したのかというと3つあります。

■マズローの欲求5段階説 勘違いその1


●欲求の性質がそれぞれ違う

マズローのピラミッド図の階層をよくみていただきたいです。

5つの欲求は精神欲求⇔物質的欲求、成長欲求⇔欠乏欲求と

それぞれ性質が違うもの同士のグループです。

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論理的に考えて、ピラミッド図を作成するにあたり、

高次の階層は、低次の階層が備える性質をすべて持っていることというルールあり、

性質の違うものを階層にまとめて説明することは難しいのです。

MBAの教科書にもそのように書いてあった記憶があります。


■マズローの欲求5段階説 勘違いその2


よって欲求5段階説の説明にある、

「1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとするのが基本的な心理的行動である」

というのも勘違いだと思います。

正解は私たち人間はこれらの欲求をほぼ同時に追及するではないでしょうか?

たとえば飲食業でいうと将来自分でお店を開業したいと考える方がいたとして、

「会社で仲間がいないから」

「上司が褒めてくれないから」

を理由に開業しないのか?ということですよね。

そんなわけないですよね。

そう考えると、会社のモチベーションアップのための制度も疑問が出てきますよね?

実はですね、

私は以前に人材開発と人事評価のコンサルでマズローの欲求5段階説に絡めた制度や仕組みをたくさん考えて実施しましたが、

結局どれも上手くいきませんでした。

外発的モチベーションではなく内発的モチベーションこそが重要であるというのは最近の定説かと思いますが、

実際そのとおりだと結論づけてます。

やっぱり人参ぶら下げたり、

アメとムチを交互にくれるといった方法は前時代のものです。


そもそもマズローの理論は、

組織経営や人材マネジメントのために説かれたものではなく、

「人間の成長と心理的健康の実現」を説いたものだったそうです。


これも後世の人々がピラミッドの図が使いやすいので、

いろんな人が使いまわしているうちに本質も変化してしまったのではないかと推察します。


あと余計なことかもしれませんが、

マズローさんが生きていれば欲求5段階説はこのように図解してもらいたかったのではないか?

と勝手に妄想したのがこちらの図です。

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押入れの中の収納ボックスみたいな図解になっちゃいました(汗

やはり欲求の性質が違う以上同じBOXでは整理整頓できないことと、

ピラミッドの階層ではない理由は、

私たち人間はこれらの欲求をほぼ同時に追及する

というのが正解なのではないでしょうか?


■マズローの5段階欲求説の勘違い その3

マズローが主張している自己実現の解釈を誤訳されてます。

日本人が一般的に考える「自己実現」とは

成功する

お金を稼ぐ

やりたいことを仕事にする

など自己啓発本のタイトルみたいなのを連想しますよね。

でもよくよく考えてみると…これって自己実現欲求ではなく承認欲求のことですよね。

「こうなるとすごいよね」

「こうなれば評価されるよね」

という他者からみた自分をゴールに設定し、

追い求めている状態だと思えませんか?


マズローさんが言っている自己実現欲求は違います。

マズロー 研究会さんのブログでは自己実現欲求の定義を引用いたします。

自分が持つ潜在的な才能を最大限に発揮できる対象(仕事とは限りません)を探して熱心に取り組むことなのです。


「自分が持つ潜在的な才能を最大限に発揮できる対象を探して熱心に取り組むこと」

こちらの図に戻って考えてみると

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成功であったり、

お金であったりとかは

つまり欠乏しているものを手にしたい欠乏欲求です。

そうではなくて、

自分が成長するために

課題をみつけて熱心に取り組むことが自己実現であり、

その行動自体が理想の仕事なのだと言っている。

と私は思います。

よってマズローさんの自己実現欲求を私は「課題に夢中になる」と要約しております。

課題を方程式に直して説明すると、理想ー現状=課題です。

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※この理想ー現状=課題の図はクライアントさんの会社の1ON1で社員さんやアルバイトさんとの対話のなかでよく使います。いつか記事にしますね。


余談ですが、

世界一の投資家ウォーレン・バフェットさんも

マズローさんと同じようなことを言っております。

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人々がそれぞれ最も得意とする分野で、できるだけ長く一生懸命に働けば、それだけ社会全体が富むことになる


■最後にまとめ 

前編は「働く目的ななにか」
後編は「理想の仕事とはなにか」

この2つを通してわかってことは

そもそも現代人は何でも意味とか理由とか求め過ぎではないでしょうか。

もちろん、仕事を始める前に

「この作業の目的はなにか?」

「理想のゴールはないか?」を考えることは、

とても大事なことです。

私のところに以前、

ある会社の上司の方が

「最近の若いヤツに仕事を振ると『なぜですか?』と逆に質問されて困る」

「黙って働いていればいいんだよ」

というボヤいていただいたことがありますが、

それは事前の説明責任を果たしていないアホ上司に問題があることです。

仕事上の疑問はどんどんしましょう。


ここで伝えたいのはそういうことではなく、

答えの出せないものに無理やり答えを出そうとするのは意味がないということです。

答えが出せないものというのは、

人によって解釈がバラバラだったりするものです。

まさに「働く目的はなにか?」「理想の仕事とはなにか?」はみんなバラバラで答えが出せないものです。

まず、いまの仕事上の目標や課題を解決していくことに夢中になってやってみる

そうすると、

まわりの人もその過程をみて自分の成長を認めてくれる。

だからといって

周りに認められたくて、さらに頑張るんじゃなくて(承認欲求の奴隷になっちゃうので)

それぞれが無理のない範囲で自分にできることをすること。

その課題に夢中になれる毎日だったら、

それが理想の仕事なんだなと思う。


以上が私のキャリアコンサルタントとしてのまとめです。


あとがきにかえて。

今回も自己啓発セミナー系の鉄板ネタであるマズローの欲求5段階説を結果的に否定することになってしまって心苦しいです。


最後まで読んで頂いて感謝です。

♥スキかコメントをいただけますと記事を書くモチベーションになりますので嬉しいです。




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