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食と健康コラム

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徒然なるままに食と健康について思うことを綴る場所。
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#研究

腎臓結石の疑いがあって念のため紅茶を控えるように言われたそのとき、食品研究者の私の頭に思い浮かんだ一抹の不安と疑念を言葉に残しておく

プロローグ先日の人間ドックで、エコーの結果腎結石の疑いというという、絶対その先の尿路結石に進みたくないという状況に追い込まれ、泌尿器科に駆け込んだのですが、再確認したらなんら問題ないとのこと。ふー。 医「でも小さいのが見えなくもないので、普段から水分摂取を意識するのと、シュウ酸を多く含むほうれん草とか紅茶は摂りすぎないようにしてくださいね。」 ほー、シュウ酸ですか。気をつけよう、うんうん。 しかし、私の中である疑問が生まれます。 なんで紅茶なん?? 紅茶がダメって言

「食品添加物は体に悪いんですか?」という質問に対する回答を直感と論理の枠に当てはめて考える

これに対して、いろんな方から意見をいただき、私色々頭を巡らせておりました。 直感に訴える方法と論理に訴える方法の2パターンあるなと。伝える相手の心に響かせ行動を促すことを考える際にはおそらく両方のバランスが重要。 ということで、「食品添加物が心配なんですけど大丈夫なんですか?どうやって避けたらいいですか?」という質問への答えを直感バージョンと論理バージョンで考えてみます。 皆様からの意見もふくめここにまとめていきます! 本題に入る前に直感と論理 こちらの書物で有名な

酵素に期待する人は酵素に何を期待できるのか

発酵食品、それは伝統的で洗練され体にも優しい食品という幽玄な響き。 発酵の「酵」の字ってなんだろう・・・酵素の酵か・・・じゃあ酵素も体にいいんだね! という単純な話ではございません。 でも酵素を売りにした健康食品とかドリンクとか色々ありますよね。じゃああれは一体意味があるのか?ないのか? そんな酵素のお話を紐解いていきます。 ちなみに、今回はいつものように最初に簡潔な結論を書くのは諦めました。端的にいうと酵素である意味ねぇよって言いたくはなるんだけど、もうちょっと多

食品添加物と私

しばしば悪者にされがちな食品添加物。 食品企業に勤めている人は添加物まみれの自社製品を実は避けているとか、ソースはなんやねんという言説も聞かれる今日この頃ですが、そんな話を聞いてふと思ったのです。 私自身食品企業に勤めているわけですが、そういえば私自身食品添加物とどう付き合ってるんだろう?と。 そう考えた始めた時に自分自身の中に存在するいろんな属性ごとに議論が始まって、頭の中がカオティック状態。 じゃあその属性ごとに文字におこしてみよう!というのが本日の趣旨でして、

分子栄養学について調べてみた

Twitterの栄養界隈は大きく二つに分かれているらしい。 一つは管理栄養士を中心とした、食事摂取基準など活用しつつ、さまざまな独自性を持っておられる方々。世間一般的な栄養の専門家です。 しかしながらよくよく眺めると上記とは異なり、「分子栄養学」「オーソモレキュラー」と呼ばれる、別の集団がどうもいるようです。 とりあえずググってみると、、 うーん、予測変換が香ばしい。 これは調べるしかない!ということで、私なりに調べてみました。 結論「栄養学」とは現場で使える、す

機能性食品はこう調べる(後編)

前回までのあらすじ 機能性表示食品について調べようにも、本家のWEB サイトは分かりにくい・・・そこでわかりやすいサイトにたどり着いた筆者らはいろんな機能性表示食品を調べたり、お目当ての食品の情報を入手することができるようになった。しかし、概要を眺めるだけでは物足りない体になってしまった我々は、巣窟ともいうべき消費者庁のサイトに足を踏み入れるのであった・・・。 という冗談はさておき、後編行きましょう! ※根拠論文を知りたい人は「ついに論文にたどり着く」まで飛ぶべし!

機能性食品はこう調べる(前編)

最近何かと話題の機能性食品。 昔は「血圧高めの方に」とか「おなかの調子を整える」みたいなのが多かったけど、最近は眠りの質を高めるとかメンタルサポートとか、色んな訴求(ヘルスクレーム)を見かけます。 これはひとえに機能性表示食品という制度ができたことが原因なのですが、2015年に制度が始まって以降これでもかと新製品が生まれています。 ほんまに効くんかい、とか、消費者庁は認可していません、とか、これは企業の責任です、とか何かと怪しまれやすいのが特徴。 その代わりと言っては

食と健康系情報で気をつけるべき七つのポイント

Twitterを始めてそろそろ2年近く経ちますが、SNSだけでなくWEBコラムや書籍も含めて世の中にはたくさんの栄養に関する情報が溢れています。 これは確かにいいねと思うものから、こんなのやったら絶対あかんというものまでマチマチ。 私は栄養や機能性の研究をしていることもあるので玉石混交の中からある程度見分けがつく(と自分では思っている)のですが、いざ自分が別の専門家の立場になれば難しいんだろうな感じます。 たとえば、私も美容や医療になると「この人が言ってるから正しいのか

栄養系情報はなぜ氾濫するのか

少し前にこのツイートにたくさんの反応をいただき、皆さん食と健康に関する情報がSNSに氾濫していることは身をもって体感されてるんだなと改めて感じさせられました。 以前「栄養系情報を読む時に気をつけている七つのこと」と言うコラムで整理してみたものの、そもそもなぜ気をつけなければならない状況になっているのか? そのメカニズムを探ることで、気をつけ方ももしかしたら見えてくるかも? と言うことで、今回は「栄養系の情報はなぜ氾濫するのか?」のメカニズムを探ってみて、なぜ気をつけなけ

食品研究を学べる企業サイト7選

突然だけど、食品研究ってなんだろう? いつも「食品の研究者です」と名乗りつつ、産業界では一体どんな研究がされているのかちゃんと説明したことがなかったので、じゃあまとめてみようというのが今日の趣旨。 研究開発を行なっている食品企業は数多存在しているのですが、中にはどんな研究開発に取り組んでいるのかご丁寧に解説してくれている企業があります。 外にアピールする必要があるので、特にBtoBが多いかもしれませんね。 眺めているだけでお時間が溶けていくようなサイトばかりなので、余

栄養と機能性の違いを説明できますか?

私は食品企業で食品成分の機能性に関する研究をメインに行なっている訳ですが、一般の人に説明するときにいつも困ること。 「機能性って何?栄養とは違うの?」 栄養学は一応学んできているのである程度はわかってるけど、栄養の研究者とは名乗れないんだよなぁというモヤモヤをいつも抱えております。 トクホや機能性表示食品という制度もあるので、機能性研究の説明は割としやすくなってきたものの、栄養との違いが認知されているのか正直不安。 そしてその不安の最たるは、最近Twitterを見てい

理系論文の型を会得したくて、本を何冊か読んでみた

恥ずかしながら学生時代から今に至るまで、論文を書くときも読むときもなんとなーくでやり過ごしてきた私。 しかし、そろそろ中堅と言われる齢になってきたし、このままじゃいけない! と思い立って、頼ったのがTwitter界。 素晴らしい皆様からたくさんの暖かいコメントをいただき、一件落着。 いやいやちゃんと読まねば。ということで早速数冊購入して読んでみました。 本によって全然違うことが書いてあったんですが、僕の中でスッキリしたものを中心に整理しています。詳しくは末尾に記載し