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サウナって海外旅行と同じじゃね?と気づいてしまった

私は旅行が好きだ。

取り分け、海外に行くということが毎年の楽しみでもあった。

今の生活が息苦しいとかそういうことではない、むしろ楽しめているほうだと思う。でも時々、ふとした瞬間に全てを忘れて、旅をしたくなる。それが1年に一回くらいの周期だ。

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写真は、大学時代にアメリカを縦断したときに行ったグランド・キャニオン。この光景は一生忘れない、壮大で自分の全ての悩みがあまりにもちっぽけだと思わされた。

当時、僕は悩んでいた。大学生活も残り半年になり、将来どうするか、本当にこのまま就職していいのか、それとも大学院に進むほうがいいのか、いやいや土壇場で休学して留学しようか、気持ちがブレブレだった。

正直不安だっただけなんだ。社会に出るということがどういうことかわからず、本当にやっていけるんだろうか、誰もが一度は抱くような思いだった。

そんな悩んでいた僕の目の前に現れた壮大な大地は、僕に一言こう問いかけていた気がした。

「自分の選択を正解にすればいい」

すっと心のつっかえ棒が取れた。壮大な大地はあまりにも力強く、僕の心に深く刻まれた。この景色を写真でみると当時のことを思い出して、悩んでいたことが嘘のように、頑張ろうと思う勇気をくれる。

現代社会はすごく便利だ。世界どこにいても、スマホ一つ、Wi-Fiひとつでつながることができる。とくに日本で生活しているときのほとんどはスマホとともに生活しているといっても過言ではない。

そんな生活がたまに嫌になる。スマホを切ればいいじゃないかというが、どうしても気になってしまうし、むしろ落ち着かない。完全な依存症だな(笑)

海外にいる時は、Wi-Fiがあればスマホで繋がれるが、制限も大きい。だから「あ、もういいや」という気持ちになれる。そして美しい景色や異文化に触れるとそれまで悩んでいたことが嘘のように忘れて、「日本に帰ったら頑張ろう!」って思わせてくれる。

もちろん海外旅行が好きな理由はそれだけではないし、むしろこんなことはごく一部に過ぎないと思っていた。

でもコロナが世界を襲った。もうかれこれ1年半は海外旅行に行っていない。はっきり言って、息が詰まりそうだ。飛行機に乗って、僕のことを誰も知らない土地で、美しい景色を見たい。


さて前置きが長くなってしまったが、そんな息の詰まりそうな状況を変えてくれたものがある。最近はほとんど毎日のように行っているんじゃないかと思う。

サウナだ。

最近はサウナブームなんて言われているらしいが、完全にミーハーとしてサウナにハマった私である。

きっかけは、手っ取り早く汗をかいて痩せられると思ったから。

そうシンプル・イズ・ベスト、いや完全な怠慢行為だ。運動はしんどい、ジムは続かない、食事制限など不可能。なんの苦労もせずに楽をして痩せたい、旨いものを食べながら、勝手に燃えてくれないか脂肪たちよ...とデブこと俺はそう思うのであった。

ならサウナにいけば汗をかける。痩せられるのではないかという、極めて単細胞的な思考回路だ。

正直これまでサウナはあまり好きじゃなかった。

だって熱いだけじゃん。

水風呂は冷たいだけだし、ただの拷問やん、何がええねん。そんなMじゃないわ。

悪口を言いだしたらキリがないくらい、好きではなかった。

ではなぜサウナ嫌いだった私が、今や週3以上通うサウナーになったのか。それはとあるクライアントから言われたことがきっかけだ。

「ちのぱんさ、最近めっちゃ太ったよね。野球やってた面影ないよ、大丈夫?」

いや大丈夫ではない。薄々気づいてはいた、いやずっと気づいてはいた。

明らかに太り過ぎだ。

そのせいで心なしか体調もすぐれない。しかもコロナでジムにもいけない、ああ終わった。もうこのまま太り続けて早死にするのがオチだと半ばあきらめていた。

そんなときに、会社の同僚に「サウナ行こうよ!」と誘われた。とある日のゴルフ帰りだった。疲れていたし、風呂には入りたかったので行くことにした。

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同僚はもともとサウナ好きだった。週2〜3は通うサウナーだ。温泉に着くと、まずは身体を洗う。その後、温泉に浸かる。「ああ、幸せだ〜」と思ったのもつかの間、同僚は「おい、サウナ行くぞ!」と僕に声をかける。

「え、早くね?」と内心思った。まだ2分位しか風呂に浸かってないぞ。

とはいえ、まあ行ってみるかと思ってサウナに入ったが、「あっつ、こんなん無理だ」と僕の心は折れかけた。でもそれを許してくれる同僚ではない。彼はサウナーだ、当たり前のようにイスに座り、腕組みをして汗をかき始める。

5分位経って、もう無理だと思ったが、同僚が「まだいけるやろ」とハッパをかけてくる。「いや、イケないよ?」と内心思いながら、無駄に負けず嫌いを発揮し、余裕だしとドヤ顔でまた座る。

サウナに入って8分。そろそろ行くかという同僚の合図で部屋を出る。もう汗だくだ、早くこの身体から滴り落ちる汗を流したい。

瞬時にかけ湯で汗を流し、休もうとする僕に同僚が、「いやいや水風呂入るよ」と圧力をかけてくる。

水風呂?いや冷たいだけやろ?入りたくない。

でもそれを許してくれるわけもなく、水風呂へ連行される。入った瞬間、冷たすぎて声が出た。何がええねん、せっかく温まった身体が冷え切ってしまうわ、と内心思った。

単細胞な脳内が、水風呂なんてクソ食らえと思ったその瞬間だった。

身体がなにかおかしい。冷たいはずの水風呂が暖かくなっていくのを感じる。なんだこの感覚。やばい、気持ちいい。

不思議な感覚に包まれたまま、水風呂をあとにする。じゃあ休憩しようかと、外の休憩スペースに寝転ぶ。その瞬間に全身がふわーとしてくる。脳がボーとしてきてめまいのような症状が襲う。動けない、なんだこれは。

次第にめまいのようなものがおさまると不思議な感覚に包まれた。何も考えられない、いや考えなくてもいいと思えるほど、気持ちがいい。最高すぎる。

その瞬間、すべての悩みがどこかへ行ってしまった。

「あれ、俺ってなんでこんなに悩んでいたんだろう」

そんな気持ちにさせてくれた。また明日から頑張ろうって思える活力をくれた。こんな感情は久しぶりだ。

10分ほど休憩したあと、同僚が駆け寄ってきた。「どうやろ、気持ちいいやろ」と声をかける同僚の顔が誇らしげだったのがなんだかあれだが、「これがトトノウってやつや」と教えてくれた。

なになに。これが巷の噂で聞いていた『トトノウ』というやつか。

今まで『トトノウ』なんて何いってんだと思っていた。サウナが流行っていることは知っていた。『トトノウ』って言葉も知っていた。正直バカにしていた。

本当に申し訳ございません。すべてのサウナを愛する人に謝ります。心よりお詫びを申し上げて、二度とこのようなことがないよう、食わず嫌いはやめます。

その経験後は言うまでもない。サウナの虜になった。ちなみに1セット目でトトノウことはこれ以来経験はない。


サウナに行くと無心になれる。悩んでいたことがどうでも良くなる。もはやなんで悩んでいたのか、小さなことでウジウジしていたのか忘れ去ってしまう。海外旅行に行ったときのそれに似ている。

日々生きていると、些細な悩みからちょっと憂鬱なこともある。やらなければいけないことが雪崩のように押し寄せ、脳内メモリがパンクすることもある。

やらなければと思うと、どうしても前に進めず、自分の脳内で堂々巡りをしてしまう。失敗ばかりの日々、自分の理想と現実のギャップに嫌気が差して、下を向いてしまうことも多い。

でもそんな時に、「そんなちっぽけな悩み捨てて、頑張れよ」って背中をそっと押してくれる存在が、僕にとっては海外旅行とサウナなんだ。

「あーもういいや、つべこべ言わず明日も頑張ろう」

そしてまた、今日もサウナに向かうのだ。


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