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プーリアの観光業

南イタリアの小さな町では床屋とバールとパン屋は今でも情報交換の場として重要な役割を持っています。人口12,000人のチステルニーノの市街地には4軒のパン屋があります。町に住んでいる人は3,000人ほどでそれ以外は我が家のように郊外の田園地帯に点々と住んでいたり小さな集落があったりするので実際はパン屋の数はもっとありますが、学校や職場などが集まる町のパン屋を利用する人々は多いのです。
この4軒はどこも地元で家族代々パン屋を営む言わば老舗で、それぞれが得意とする特徴や個性を持ち、「昔ながら」と「流行」の微妙なバランスを取りながら共存しています。 例えば、一軒は薪がまで焼くことに拘っていたり、他の店はライ麦や雑穀、酵母なしのパンなど多様な種類のパンを作っていたりと言う具合です。 

この町の人口推移は20年前と比べると減少率は0.9%。田舎町としては良い成績と言えるのではないでしょうか。市街地には新しいアパートも建設されているし、最近では長年放置されていた伝統建築のトゥルッリ付きの農地などが都市部のイタリア人やヨーロッパ他国の人々に買い上げられているケースも多いようです。新しいアパートには長年北イタリアや北ヨーロッパで働いてリタイア後年金生活を故郷で過ごすという人々のニーズがある様です。地元では農業と観光業以外の大きな産業はありませんが、若い世代が望む仕事を求めて外へ出ても老後は故郷で過ごしたいと思う人々が帰ってくるのでバランスが取れているのでしょう。ちなみに新しいアパートが増えているのと同じようなペースで地元の共同墓地の面積も増えています。

町の4軒のうちの1軒は親戚で、当代の店主は娘のゴッドファーザー(代父)にもなってもらっています。そのパン屋でのおしゃべりから得た情報では、宿泊施設として放置された伝統建築を改装したり、もしくはそれに似せた建物を農地に新しく建設したりしているケースが年々増えていて、地元の主婦たちはそのような宿泊施設でのハウスキーピングの仕事が多くなっているとのこと。イタリアではどこのお家もいつ行ってもびっくりするほど掃除が行き届いているのが普通なので、主婦たちにはうってつけの仕事だと思います。さらにレストランを持たない貸別荘的な宿泊施設が多く滞在者のリクエストに答えて郷土料理のケータリングをすることもあるとのこと。今50代以上の女性たちの多くはそういった技も身についているので、まさに適任の仕事です。子供が大学生だったり、まだ経済的な自立をしていなかったりと言う世代の女性が必要とされる仕事が増えているのは喜ばしいことだと思います。

観光業の新しい形として上手く経済が回っている感じです。元々農地だった土地は建坪率の問題で新しく建物を立てることが規制されていましたが、区画が狭い土地で効率的に農業を行うことは難しいのでその規制も緩くなって来ていてむしろ観光業のために宿泊施設になることのメリットの方が大きいと言うことでしょう。石の伝統建築を再生する方が手間がかかる場合が多く実際には新しい建物を作ることが増えているとのこと。その場合、伝統建築と調和する様に美観的な規制はありますが、そこは美的センスに敏感なイタリアならではの知恵が働いています。

大橋美奈子
Minako Ohashi
有限会社ダ・プーリア Da Puglia.Ltd.
〒155-0031東京都世田谷区北沢5-17-16
Contrada San Salvatore 77, Ostuni(BR)72017
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NOTE:『南イタリアプーリア便り イトリアの谷の食卓から』 
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大橋美奈子さん経歴

 演劇の勉強で欧米に留学し、欧米の料理に馴染みました。主人のジョバンニ・パンフィーノはスイスの有名ホテル学校を卒業後、レストランビジネスに入り、 高級ホテルやイタリア高級レストランのビーチェのヨーロッパの店舗で働いた後、 東京椿山荘に開業した超高級ホテルのフォーシーズンの高級イタリアンとして開業したビーチェの指導責任者としての勤務経験がある外食のプロです。
 そのジョバンニ・パンフィーノと,日本で知り合い結婚し長女を授かり育てていたのですが、数年前に子供の教育と生活環境を考え、主人の故郷であるイタリア・プーリアに本格的に移住したのです。母が料理学校を主催している関係で食に興味を持ち、自ら自家農園で野菜を育て、自家製のオリーブオイルで体に優しい料理を楽しんでいます。現在はプーリアで生活をしながら、イタリアの情報発信をしたり、コンサルティング、輸出入ビジネスを行っております。

 また、時々イタリアの食ツアーを開催しています。これから私が惚れ込んだイタリア・プーリア地方の自然を堪能する食情報をお届けします。

 ブーツの形をしたイタリア半島のちょうどとがったヒールの辺りがプーリア州です。私たちが日本とプーリアの架け橋になろうとダプーリアという会社を起したのは15年前です。その頃と比べ、日本でも随分認知度が高まったプーリアですが、この数年主に欧米人のヴァカンス先として大変注目を浴びています。
https://www.facebook.com/1438029856464276/photos/a.1438031556464106.1073741828.1438029856464276/1523683344565593/?type=1&theater

 プーリア州の中心部にあるイトリアの谷(谷というより盆地という方がふさわしい)にあるこの地に東京から移り住んで6年、兼業農家的生活も板に着いて来ました。プーリアといえばイタリアの食料庫といわれる程の一大農産地でオリーヴオイル、ワイン用のブドウをはじめ多くの野菜や果物がイタリア1番の生産量を誇ります。

 また、この地特有の地元でしか食べられない産物も沢山あります。プーリア料理の身上は新鮮な食材をシンプルに食す事。この地で生産されるチーズやワインもその料理と切っても切れない関係にあります。そんなプーリアの我が家の毎日の食卓に上る食べ物、飲み物たちをご紹介させていただきます。
 我が家では7対3の割合ぐらいで一般的に言うところのイタリア料理(プーリアの郷土料理)と日本食、その他(私が個人的に好きなアメリカン及びアジアンテイストな創作料理)を食べています。

有限会社ダプーリア 
http://www.da-puglia.com/

大橋美奈子プロフィール 
http://www.da-puglia.com/archives/000047.html

プーリア州の説明
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%AA%E3%83%A3%E5%B7%9E

ダプーリア
大橋美奈子


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