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マクドナルド 第4回

<4>環境1 米国の2店舗での研修

 1980年代に入ると社員研修に対する必要性が変わってきた。当時の日本マクドナルドで英語を自由に扱って、米国のマクドナルド・コーポレーションと交渉できるのは、藤田田氏とジョン朝原氏のほか数名しかいなかった。当初はそれで問題なかったが、日本マクドナルドの企業規模が大きくなるとそうはいかなくなった。通常の会社であれば英語ができる人材を外部から採用すればよいのだが、米国サイドも藤田田氏も単なる英語使いを欲しなかった。マクドナルドを理解し、英語がわかる人材を要求したのであった。そのためには社員を短期旅行でなく長期に米国に派遣する必要がある。当時ファミリーレストランのロイヤルでは社員育成のために社員を米国の大学に留学させていた。しかし、藤田田氏とジョン朝原氏のとった研修は全く違った。

 普段は不仲で意見の異なる藤田田氏とジョン朝原氏が珍しく意見一致したのが、社員の長期米国研修のやり方であった。それは米国マクドナルドで仕事をしながら、英語、米国文化、米国マクドナルドビジネスを学ぶという現実的なやり方であった。大学への留学は話題にも上らなかった。見るだけの勉強より、実際に働くほうが身につくという超現実的な考え方であった。

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