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マックのマニュアル 20

 前回は「社員の行動をコントロールするための諸規則が重要になる。諸規則とは社員の行動を規制するものではなく、社員の行動をスムーズに迅速にするものだ。」と述べた。社員の行動をコントロールするための諸規則が重要ではあるが、規制するためのルールよりも社員のやる気が重要である。それは、昇進や昇給、ボーナスに直結する評価だ。

 私が米国サンタクララの駐在から帰国して統括SV(SV6名、30店舗管理)として配属されたのが関西本部で、神戸、中国、四国地域を担当した。
前任の引継ぎで四国・高松を訪問した際に四国地区の全店長、SV参加の歓迎会を開いてもらった。私は初めて美味しい活け造りの魚を食べて驚嘆し、みんなに笑われた。しかしその後数回訪問するうちに、毎回歓迎会を開いてくれることに違和感を覚えた。上司と部下というある意味での緊張感がないということだ。
歓迎会だけでなく前任者は、SV達と定期的にゴルフを楽しんでもいた。店長、SVの仲良しお仲間会で緊張感ゼロだった。毎回歓迎会を開いたりゴルフを楽しむのは、上司である私のスケジュールを知っていることであり、店はその期間だけきちんとしていればよいということになる。
 そこでそれ以後は歓迎会を断った。そして部下のSVに私のスケジュールを教えず、無予告の訪問をした。東京の会議の翌日に始発の航空便で、店舗を訪問し、担当SVを待った。
私への提出予定表より30分ほど遅れ、店舗の周辺、外観をチェックせず店舗に入り、商品の製造保管状態をまったく見ずに事務所に向かった。SVが店舗に入る瞬間に店舗のQSCをチェックしないのでは店舗の緊張感を維持できない。それ以降は私のスケジュールは完全に伏せ、緊張感を維持した。

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