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マックのマニュアルその13

 良いけれど消え去ったマニュアル、チェックリスト。仕事のプライドに訴え、文書化しない品質管理。などを紹介してきましたが、今回は日本人には違和感のある、米国の厳しい危機管理をご紹介しましょう。
 私は日本のマニュアルのほとんど翻訳管理してきましたが、違和感を覚えたのがセキュリティ(危機管理)です。
 日本マクドナルドは、米国の店舗運営を学ばせるためには、実際の店舗運営が必要ということで、サンフランシスコ近郊のシリコンバレーサンタクララ市に1店舗、カナダトロント市(売り上げが低い市街地店舗で学ぶことが少なく、のちに本社近くの店舗に移設しました。)に1店舗を購入し、フランチャイジーとして1店舗に3名ほどの社員を派遣し、店舗運営技術を学ばせました。
 私はそのサンタクララ市の店舗の2代目の責任者になり、店舗運営のほかに米国地域本部やシカゴ本社の各部の仕事を学ばされました。その経験からセキュリティ(危機管理)の重要性に気づかされました。地区本部で開催される授業のBOCに参加した時にセキュリティ(危機管理)の授業がありました。

 その時、セキュリティマネージャーでもある教官が店舗で強盗に会った人は手を挙げなさいと言ったら、クラス40人の内全員が手を挙げました。更に2回以上強盗の被害に会った人はその内半数もいたのには驚いたのです。
強盗に襲われたことのない米国飲食店はないと言って良いでしょう。当然、コンビニエンスストアーも同様です。米国の飲食業では労災の死亡原因のトップは銃による強盗や発砲事件によるとのことです。
そのため、トレーニングコースでは安全対策の授業があり、強盗に襲われたときの対処を具体的にトレーニングしているし、安全管理用のVTRテープも作成しています。飲食業界団体のNRA参加の教育部門も安全管理用のVTRテープを作成しています。
当然のことながら会社には安全対策マネージャーがおり、授業をしたり実際の店舗の安全対策の指導に当たっています。
 幸い私が駐在していたサンタクララ店はサンタクララ市の市警察が近所にあり、常時パトロールし、警官もコーヒーなどを買いに来ていたので、1回も強盗には襲われませんでした。

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