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連載小説「私の話 2022」⑥

6.2022年9月23日

(上掲スキャンした原稿をテキスト化したものです)

そして、また1週間が経ち、また喫茶店に来ている。そしてまた私の健康状態は悪くなっている。
 症状としては大きく変わるところはないが、程度として酷くなっている。常に頭の中で音が鳴っているような感じがするし、首筋の、ほとんど頭といいっていいところが痛く首が回らない。
 今朝も相変わらず汗をかいて早朝に目が覚めたが、少しは汗も引いたし、ゆっくり眠れた気がする。
 実家の処分を友人の弁護士に委託することで気が楽なったことが大きいと思うが、問題は、その値段である。
 だいたい、高級国産自動車1台分だろうか。そうフェイスブックに書いたら、中学校の同級生から高いとメッセージが入った。
 昨日は通院だったのだが、主治医に具体的な金額を言ったら、友達甲斐のない、弱みに付け込まれていると言われた。
 私は金を使うのが大の苦手である。子供のときから自分の好きに金を使ったことがない。昭和47年生まれなのにファミコンも持っていなかったし、写真家になる夢も親が進学したところでカメラを買ってくれないので諦めた。
 しかしペンが持てない。私は元々、ド下手ながら几帳面な字を書いていたのだが、今は勢いで書いている感じだ。コーヒーにミルクを入れようとして、手が震えて入れられず諦めた。
 実は今、この部分を帰ってきて家で書いている。喫茶店ではカウンターの横を見ようと思って45度ほど首を捻ったら、首筋が吊ったように痛み頭に血が上ったようになってしまった。
 帰りもバスの運転手に挨拶はしたのだが顔を見ることができなかった。緊張しているのだと思う。
 そして、朝に比べれば楽だが苦しんだ。希死念慮というには強い気持ち殿との戦いで、書く気力もなくなってしまった。
 そして、何もする気が起きないまま、もう夜だ。相変わらずペンが持てず、まるで原稿用紙に水を撒いているようだ。

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