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【デザイン秘話1】 David Bowie – Low, 1977

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今なお、話題の絶えないデヴィッド・ボウイ。
ボウイの音楽や京都に住んでいたという秘話はよく聞くものの、なぜかカバーアートについては、あまり語られないような。
というわけで、ボウイとフォントについて少し語ろうと思う。

今から十数年前のこと。カメラマンの土井浩一郎さんから電話が。
「なにしてるの?」「家でネットサーフィンしてますよ」「飲んでるからおいでよ」と向かうと、なんとそこには De Beers のキャンペーンで来日していたイマン(IMAN/元スーパーモデルでデヴィッド・ボウイの奥さん)とジェイド・アンダーソン(イエスのジョン・アンダーソンの娘)が。
と、手前味噌はさて置き、まずはいきなり10作目『Low』から。 飛地好きにはたまらないでしょう。

写真について

写真は60年代から活躍するスティーブ・シャピロ。
マーロン・ブランドやロバート・デ・ニーロ、ジョン・F・ケネディ大統領なんかの著名人をはじめ、音楽では主にジャズを撮っている。 有名なところでは、Bill Evans Trio ‎– Explorations (1961) や Moon Beams (1962) なんか。 Explorations は Israel と Nardis の演奏が最高で、ウイスキーとジャズ好きは耳から離すことができないはず。

デザインはクレジットがないものの Kevin Cann だろうか。
※ “Re-package Design”として Kevin Cann がクレジットされていた。

フォントについて

使用されたフォントはジョー・テイラー (Joe Taylor, 1944 –) による Blippo Black Outline である。
バウハウス調のフォントで、70年代のレコードを見るとよく使われおり、商業的に大成功したと考えられる。 複数のオルタネート(代用文字)を持つものの、それらはデジタル化されておらず、このカバーアートのようにタイプすることはできない。

テイラー氏は高校生の頃からレタリングを行い、Robert TrogmanFacsimile Fonts で働きながらいくつかのフォントをデザインした。 氏のフォントはビートルズやザ・フー、レーナード・スキナードの作品などで使われ、他にシェラトンホテルのロゴタイプもブラッシュアップした。

ちなみにボスの Trogman は、ソール・バス (Saul Bass, 1920–1996) のデザインスタジオで働き、コンチネンタル航空のコーポレートフォント Handel Gothic なんかをデザインした名タイポグラファーで敏腕ビジネスマン。

幸いなことに両人ともお元気で、時折 Facebook で連絡を取っている。 両人の許可を得て、2019年5月に Blippo Black を完全デジタル化した(リリース許可は得ていない)。 
オリジナルにはないキャラクターもいくつか追加した。

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Blippo Black digitalized by Daylight Fonts

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デジタル化した Blippo Black でカバーアートどおりタイプしたもの。

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