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ガチな藝大生は、批判的⁉️"漫画ブルピリオド"は、本当か?


漫画『ブルーピリオド』は、山口つばさによって描かれたアートと自己発見の物語である。この作品の魅力の一つは、実際の美術教育の現場、特に新宿美術学院をモデルにしたリアルな世界観にある(杉田と同じ予備校)。主人公・八虎は、偶然のきっかけでアートに目覚め、藝大受験を目指すことになる。彼の成長過程を通じて、特に印象的な講師との関わり合いが、リアルな受験の厳しさや美術教育の本質を浮き彫りにしている。

八虎は、美術の素人からスタートし、初めて新宿美術学院の門を叩く。ここでは、厳しい指導方針や多様なバックグラウンドを持つ仲間たちとの出会いが待っている。特に、彼が出会う講師たちは、ただ技術を教えるだけではなく、アートが持つ深い意味や、自己表現の重要性を教えてくれる。講師の一人は、独自の視点を持ち、学生に対して厳しい指摘をしながらも、彼らの成長を促す存在である。このような指導者との出会いは、八虎にとって大きな転機となり、彼のアーティストとしての道を切り開く手助けとなる。

講師との関わりは、八虎の成長において非常に重要な要素である。彼は、講師からの厳しい指摘を受け入れ、自分の作品をより深く掘り下げることで、表現力を高めていく。例えば、ある授業で講師が「絵はただの技術ではない、感情を表現するものだ」と言ったことが印象に残る。この言葉は、八虎にとって大きな目覚めとなり、技術だけではない、アートの本質を理解するきっかけとなった。

さらに、八虎が自身の作品に対する自信を持ち始める過程では、講師からの励ましが大きな支えとなる。彼は、自分の作品が他の人にどう響くのかを真剣に考え始め、他者との関係性を重視するようになる。講師の一言が、彼の心に火を灯し、さらなる挑戦へと導く。このような関わりは、ただの教育を超え、八虎にとっての人生の指導者とも言える存在となっている。

また、同じクラスメイトとの競争や協力も、八虎の成長を促す重要な要素である。仲間たちと切磋琢磨することで、彼はアートに対する情熱をさらに深めていく。講師が言うように、「アートは孤独な戦いだが、同時に仲間とともに歩む道でもある」という言葉が表すように、互いに刺激し合う関係性が彼を支えている。

『ブルーピリオド』は、藝大受験のリアルを描き出すことで、読者に共感を与え、アートの持つ力を伝える作品である。八虎の成長は、ただの技術習得ではなく、自己発見の旅でもある。新宿美術学院というモデルを通じて、実際の美術教育の厳しさや美しさが描かれ、講師との関わりがその中心に位置している。

この作品を通じて、アートの世界は決して簡単ではないことが理解できる。しかし、八虎のように自分の道を見つけ、学び続ける姿勢があれば、アートを通じて自己を表現し、成長することができるのだ。『ブルーピリオド』は、アートを志すすべての人にとって、希望と勇気を与える作品であり続ける筈だ。

余談ではあるが、当初ブルーピリオドは、読み切りの実験的な位置付けの掲載だったと聞いている。というのも、テーマが余りにもマニアックで"スポ根漫画"にするには、ニッチ過ぎて読者は、つかないだろうと編集者には思われたようだ。しかし、今や、アニメ化、映画化と、日本を代表する漫画となった。

一見、ニッチな人口も少ない美術予備物語が何故これだけ多くの人に届いたのか?それは、登場人物の表現と誰もが情報を瞬時に得れる現代の時代だからこそとも言えるだろう。モチーフがマニアックだからこそ、そこに読者は、自分自身がマニアックでユニークな存在なんだと共感するのかもしれない。
自分自身を取り戻すように。

登場人物たちの個性は豊かで、彼らとの関係性が物語に深みを与えている。八虎の友人であり、ライバルでもある仲間たちは、それぞれ異なるバックグラウンドや価値観を持っている。彼らとの出会いを通じて、八虎は多様な視点を学び、自分自身をより深く理解することができる。特に、アートを通じて繋がる人々との絆は、作品全体に温かみを与えており、友情や競争の中で成長していく姿は感動的だ。

『ブルーピリオド』は、アートを通じて自己を発見し、成長していく姿を描いた作品である。八虎の物語は、読者に自分自身を見つめ直すきっかけを与え、アートの力を再認識させる。彼のように、自分の感情や思いを表現する手段を見つけることは、誰にとっても重要なことだ。この作品は、アートの美しさと人間の内面を深く理解するための素晴らしい道しるべとなるだろう。

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