断片的な記憶

アイスおいしくって夏ってかんじ。そういえばまだ梅雨来てなかった。今年は梅雨入り遅いね、梅雨はあんまり好きじゃないけどなくなっちゃったら悲しいなあ。同じバスのあの男の子最近見ないけどどうしたんだろう。いなくなっちゃったら悲しいなあ。放課後アスファルトの上に映る光が強くて影が濃くてもうすぐ夏なんだなーって。
いつからか、プールとか夏祭りとかで夏を感じることはなくなって、そういえばこの曲は1年前の夏に聴いてたなって思ったときとか半袖のセーラー服に腕を通すときとかそういう漠然としたことで季節を感じてしまうようになった。大切なものいくつかどこかに置いてきちゃったかもしれない。去年の夏のことなんて、バスの中でぼーっと海を眺めてたことくらいしか覚えてない。それと一日中君を想っていたことくらいで。忘れられない夏なんて私にはないけど、ただ毎日を大切にできたらそれでいいの。入道雲の向こうに君の影が見える気がして、影送りをした校庭を思い出して、そういえば転校して行ったあの男の子はどんな思いだったのかなってそんなことを考える瞬間がどれだけ大切で悲しいか。
もうあの頃笑い合った人たちはここにはいないけれど、いつかの夏の中に永遠に閉じ込められたままだけれど。失われたものが多くても進まなければいけない。向こう側に、向こう側に、何度も繰り返していくしかないみたい。すっぽり抜け落ちたかつての日々が夏の温度と飽和していくのが待ち遠しいよ。今もこの世界のどこかにいるきみが私の生きる理由です。

巡る季節の合間を縫って
離れ離れに慣れてしまって

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