みちとあそぶ

私はこどもになって
道と踊っていた
街と遊んでいた
音に反応して
足が引きずられて
心はこまばアゴラ劇場!
あらゆる音が私のもとにやってきて
身体に作用して
夢ん中のしゃぼんに包まれている

電車の通過音
ヒールの足音
服の擦れる音
遮断機の音
バイクの走る音
シャッターの閉まる音
通り過ぎる人の声
コンクリートを踏む音

カタカタカタカタ情報過多

音符を乗せたカラフルな
スーパーボールがはしゃぎ跳び
暗がりに潜む音の小人は見え隠れ

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全身の皮膚は耳
どんな音も吸収し
身体を引き寄せて
共鳴する

右肩の声がする
右膝の目が動く
左かかとと地面の会話をきく
左手の視界がわかる

思うように動かない身体
緊張と弛緩のまだら模様
身体のそれぞれが意志を持って
言うことを聞かない
今まで通りきびきび歩けない
東京じゃない歩行

ゆっくり踏みしめる
足裏のどこが地面についてるか
楽しんで
地面との作用反作用
力の矢印与えあって

スキップ
駆け出して
急停止
一ミリずつ進んで
止まる
電柱を回って
隠れろ
走って止まって
後ずさり
ジャンプ!
後ろ歩きして
首を上に伸ばそう

今日の月はいびつだな

顔は動かないけど
身体が奇妙に動いてしまう
私の意志を離れて
金縛りみたいに
操り糸があるみたいに

私はマリオネット
操りつられて
それを自覚しながら
傍目で見ながら
目を覚まさないよう
漂っている
踊りたい踊りたい踊りたい!

あ、
アア
あアああ
スマホがうまく扱えない

硬直した首や関節が
写真撮影不可にする
右腕はこんなに重いのに
静止できない左腕
落ち着かず揺れてる
喜び勇んだ右足は
今にも車道に飛び出すぞ
指もそれぞれ喋ってる

止まれない止まらない
どこもかしこもちぐはぐすぎる
下手な人形遣いもいたもんだ
写真はぶれてしかたない

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公衆電話
入ってみたら
光る標本箱みたい

一人の
オンナが
閉じ込められて
見られる透明な箱

どばんと開けて
じぃーっとしめる
うまく受話器が取れなくて
目線がずっと駒場の句の□の中

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電話から目を背けて
横を見る
標本箱から外を見て
訝しげに見る人を
にたりわらってやろうかな
ぺたぺた爬虫類の手で
ガラスケースを触りに触り
どれだけ動いたところで
透明な壁
あるだけマシな
世界でしょ

電車のなか
見渡す中には人いなくて
ここもかしこも
ショーウインドウにとじこめる

だから踊るわ
カバンを置いて
ポールダンスよ
光る鉄棒タッチして
線路と電車の擦れる音
全身が聴いてる
そのメロディ
揺られて
身体が騒ぐ

電車まもなく
渋谷駅にすべりこみ
人の目ビームが
待ち受ける
見せつけて
この自由を
奪って視線

渋谷のホーム
五分以上かけて
歩く止まる見る動く
改札までも立ち止まる
やってくるくる人たちが
不可思議そうに見つめるワ
関係ないのよ私には
目線はずっと山手線

狂人よアレ狂人よ
階段手すりを二本つかって
両手両足交互に下ろせ
横歩き

ぽこぽんぽここにぽこんぽん

コリャ素敵やと近付きや
見知らぬ楽器の演奏者
渡りに船と前にゆき
ハンドパンの音色よ響く

私の体が反応す
手や足や
動くままにしてあげる
隣にしゃしゃり出て
踊ってみせたい
しないけど

太郎の絵が見てる中
初めて買ったわ
衝動で
二千円のしぃーでぃを
さあさこりゃいい買い物よ
巡り合うメロデイに
導かれたは我なりや

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感謝を述べます燦々と
魔法がするしゃりとけまして
普通に戻って
言葉を手に入れ
笑顔を宿して
話したわ
ありがとおってね
お買い上げなりー!

心地の良い夜に踊れや無礼講
芝居のなせる夢や現や
酔っぱらいを世に放つ

つくることへ生かしてゆきます お花の写真をどうぞ