医療圏について解説
こんにちは。
札場(フダバ)と申します。
今回は、『医療圏』について説明していきます。
あまり聞き慣れないワードかと思いますが、現代医療は細分化・高度化しており、高齢化も相まって、単一の医療機関で健康問題の全てを完結させることは難しくなっています。地域医療において、地域中核病院と一次医療機関(地域の診療所・医院・病院「かかりつけ医」等)の連携は必要不可欠となっています。
その中で、『医療圏』という考え方も重要になりますので、今回は本記事を通じ『医療圏』について説明していきます。
それではどうぞ!
医療圏とは
『医療圏』とは、病院等の病床の整備を図るにあたり、都道府県の医療計画の中で設定する地域的単位のことを指します。
また日本では、1985年より医療計画が立案・実施されています。現在は、第7次医療計画(2018~2023年度)の途中となっており、医療計画では、医療圏が設定されて医療圏ごとに計画が立てられています。
医療圏には、大きく一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏の3種類がありますので、以下で説明していきます。
一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏の概要
一次医療圏
一次医療圏とは、住民の使用頻度が最も高い一次医療(初期医療、プライマリ・ケア、身近な医療)を提供する区域であり、主に診療所や病院の外来医療が中心になっています。医療法に規定はありませんが、基本的には市町村を単位として設定されており、『医療圏』のうち、最も小さい単位のことです。
二次医療圏
二次医療圏は、健康増進・疾病予防から入院治療まで一般的な保健医療を提供する区域で、一般に複数の市区町村で構成されています。医療計画は、この二次医療圏を中心に立案されます。令和3年10月時点で335区域が存在しています。人口や入院患者の流出入の状況に基づき、通常は複数の市区町村で構成しており、医師数や病床数などの計画は二次医療圏をベースにしており、地域医療の基本的な単位といえます。
三次医療圏
三次医療圏とは、二次医療圏をあわせた区域であって、主として特殊な医療を提供する病院の病床の整備を図るべき区域として、医療法施行規則第30条の29の2に規定されています。特殊な医療とは、特殊な診断または治療を必要とする医療であって、(1)先進的な技術を必要とするもの、(2)特殊な医療機器の使用を必要とするもの、(3)発生頻度が低い疾病に関するもの、(4)救急医療であってとくに専門性の高いもの、のいずれかに該当するものです。原則として都道府県の区域を単位として設定されています。
ここまでは、一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏のそれぞれの概要について説明しました。私たちが病院等での外来のみで完結する内容は、「一次医療圏」に該当します。また、健康増進・疾病予防から入院治療まで一般的な保健医療を提供する区域に関しては「二次医療圏」となり、ここからは医療機関同士の連携が必要になります。
以下では、医療連携や地域医療について考える際に重要な「二次医療圏」について説明していきます。
二次医療圏の重要性について
現在は、医療の高度化や医師の偏在が進んでいることから、政府は「病院完結型」から「地域完結型」の医療に体制を移行しようとしています。医師の確保策や病院再編の検討も、2次医療圏を軸にして進められているとも言えます。
また、地域医療について考える際は、二次医療圏がベースとなるため、非常に重要な医療圏となります。
その二次医療圏に焦点を当てて、いくつかの点で説明していきます。
二次医療圏とは
簡単に二次医療圏のおさらいをできればと思います。二次医療圏は、救急医療を含む一般的な入院治療が完結するように設定した区域となっています。人口や入院患者の流出入の状況に基づき、通常は複数の市区町村で構成しており、地域医療の基本的な単位となっています。
二次医療圏の設定数
実際にどの程度の二次医療圏があるか、ご存知でしょうか。
現在、全国には335の二次医療圏(R3年10月)が設定されています。
以下は、二次医療圏の人口状況です。
335の二次医療圏のうち、人口10万人未満の医療圏が87と最も多く、人口10万人以上20万人未 満の医療圏が74と次いで多い状況となっている。
二次医療圏の見直し
第6次医療計画の検討の際に人口20万人未満の医療圏では流入率が低く流出率が高い状況が確認されたことから、第7次医療計画の検討の際においても同様に、人口20万人未満(特に、流入率20%未満、流出率20%以上)の医療圏について、入院に係る医療を提供する一体の区域として成り立っていないと考えられる場合は、二次医療圏の見直しを求めたとされています。
以下は、実際に見直しが実施された事例になります。
二次医療圏の比較
圏内人口最多の大阪・大阪市と最少の島根・隠岐では、100倍以上の違いがあります。二次医療圏といっても、大小さまざまな規模の医療圏があることがわかるかと思います。また、面積に関しては、北海道が圧倒的な広さを誇っていますね。
また75歳以上割合も地域ごとに異なっています。大分・豊肥と石川・能登北部は、人口の4人に1人が75歳以上となっており、地域の高齢化の状況を踏まえた医療体制の整備が求められるものと考えられますね。
二次医療圏の病院数等
病床と医療施設の様子を確認できればと思います。病床は、九州地方や北海道に多い地域があります。一方、福島・南会津を筆頭に、関東地方や愛知には病床の少ない地域もあります。
まとめ
今回は、『医療圏」について説明しました。また医療圏の中でも、地域医療について考える際のベースとなる『二次医療圏』についてより詳しく説明しております。
地域医療における連携が密になることで、より良い医療体験が可能になると思います。また、日本では今後、高齢化がさらに進んでいき、高齢者の医療を考える上で、各地域の医療体制を整備することが必要不可欠といえます。
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札場
Tel:06-6123-8162
Email:m.fudaba@altura.co.jp
参考
○ニッセイ基礎研究所「二次医療圏思考-自分の二次医療圏を知っていますか? 」
○NIKKEI「二次医療圏」
https://www.nikkei4946.com/knowledgebank/selection/detail.aspx?value=1737
○厚生労働省「医療圏、基準病床数、指標について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000946893.pdf
○厚生労働省「二次医療圏の状況について」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000058300.pdf
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