見出し画像

日本における健診制度の概要について

こんにちは!
札場(フダバ)と申します。

今回は、日本における健診制度の概要についての説明になります。

ほとんどの方が健康診断を受けたことがあるかと思いますが、日本における健診制度の概要はご存知でしょうか。
どのような仕組みで運営されているのか、本記事で記載していきます。

それではどうぞ。




健診制度の全体像

厚生労働省は日本の健診制度として、以下の全体像を述べております。

○医療保険者や事業主は、高齢者の医療の確保に関する法律、労働安全衛生法等の個別法に基づく健康診査(健康診断)を実施。

○市町村は、健康増進法に基づき、特定健診の対象とならない者の健康診査を実施。

○市町村は、健康増進法に基づき、一定年齢の住民を対象としてがん検診などの各種検診を実施。(医療保険者や事業主は任意に実施)

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000511508.pdf

大きく分けて上記の3つになります。
1つ目に関しては、『労働衛生安全法』で定められている義務も含まれている内容になります。
上記内容に関して、具体的に説明していきます。


※健康診断の種類に関しては、以下の記事でまとめていますので気になる方はご覧ください。



乳幼児から児童学生までの概要

ここでは、大きく2つの分類分けで整理されています。
それぞれ確認していきましょう。


妊娠〜小学校就学前(乳幼児等)

『母子保護法』という法律で制定されています。

【対象者】 乳幼児、妊産婦

【実施主体】市町村
<1歳6か月児健診と3歳児健診は義務。妊婦健診、産婦健診は勧奨義務>

【費用負担】
○乳幼児健診(1歳6か月児健診、3歳児健診):国は地方交付税措置(自己負担なし)
○妊婦健診:国は地方交付税措置(自己負担なし。ただし市町村における費用負担額を超える部分は自己負担あり)
○産婦健診:国は1/2を補助(自己負担なし。ただし補助基準額(1回あたり5千円)を超える部分は自己負担あり)

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)

実施主体は市町村であり、費用に関しても基本的に自己負担無しで健診を受けることができます。


児童生徒等

こちらは『学校保健安全法』という法律で制定されています

【対象者】 在学中の幼児、児童、生徒又は学生 ※就学時健診については小学校入学前の児童

【実施主体】学校(幼稚園から大学までを含む)<義務>

【費用負担】就学時健診:市町村の教育委員会負担、在学中の検診:学校の設置者負担 (国は地方交付税措置など。自己負担なし)

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)

学校で健診を受けた経験があるかと思います。こちらは義務になっているのが特徴です。




成人以降の概要

ここからは、上記で記載して「児童生徒等」以降の内容を説明していきます。
『医療保険の被保険者・被扶養者』『 労働者』『 その他』の3つに分類分けができ、それぞれの分類によって適応される法律が変わってきます。

年齢ごとに概要に違いがあるため、年齢ごとに説明していきますが、『その他』の項目のみ年齢に関係なく共通ですので、最後にまとめて解説します。



~39歳に関して

●医療保険の被保険者・被扶養者
医療保険各法』(健康保険法、国民健康保険法等)によって制定されています。

【対象者】 医療保険の被保険者・被扶養者(~39歳)
【実施主体】 保険者 <努力義務>
【費用負担】 補助なし(自己負担は保険者の判断)

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)

上記に関しては、努力義務であることが特徴です。

●労働者
『労働安全衛生法』によって制定されています。

【対象者】常時使用する労働者 ※労働者も受診義務
【実施主体】事業者 <事業主義務>
【費用負担】事業者が全額負担 ※一定の有害な業務に従事する労働者に は特殊健康診断を実施

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)

実施主体の事業主義務が存在することが特徴です。



40~74歳

こちらの層は、『特定健診(メタボ検診)』の対象になります。


●医療保険の被保険者・被扶養者
高齢者医療確保法』によって制定されています。

【対象者】 医療保険の加入者(40~74歳)
【実施主体】 保険者 <義務>
【費用負担】
・市町村国保:国は1/3、県は1/3を補助(自己負担は保険者の判断。補助基準単価は自己負担3割を除いた額を基に設定)
・その他保険者:健保組合・協会けんぽ・国保組合には国は予算の範囲内で補助(自己負担は保険者の判断。補助基準単価は自己負担3割を除いた額を基に設定)

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)

40歳以上は、義務になってくることが~39歳との違いになります。


●労働者

※ 労働安全衛生法に基づく事業者健診を受けるべき者については、事業者健診の受診を優先する。事業者健診の項目は、特定健診の項目を含んでおり、労働安全衛生法に基づく事業者健診の結果を、特定健診の結果として利用可能

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)


75歳〜

●医療保険の被保険者・被扶養者
高齢者医療確保法』によって制定されています。

【対象者】 被保険者(75歳~)
【実施主体】後期高齢者医療広域連合 <努力義務>
【費用負担】国は予算の範囲内で補助(自己負担は保険者の判断)

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)

75歳以上になると再度、努力義務になることが特徴です。



「医療保険の被保険者・被扶養者」「労働者」以外の『その他』の方に対して

『健康増進法』によって制定されています。

【対象者】 住民 (生活保護受給者等を含む)
【実施主体】市町村 <努力義務>
【種類】
○健康診査・保健指導(高齢者医療確保法に基づく特定健診の非対象者に対するもの)
○歯周疾患検診 ・骨粗鬆症検診
○がん検診(胃がん,子宮頸がん,肺がん,乳がん,大腸がん)
○肝炎ウイルス検診

【費用負担】
○健康診査等(自己負担は市町村の判断)
・政令市:国は1/3補助
・その他市町村:県の補助額に対し国は1/2補助
○がん検診:国は地方交付税措置(自己負担は市町村の判断。ただし、子宮頸がん検診(20歳~)と乳がん検診(40歳~)は国の補助により初年度対象者の自己負担なし)
○肝炎ウイルス検診(自己負担は市町村の判断。ただし、40歳以上で5歳刻みの年齢層は国の補助により自己負担なし)
・政令市:国は1/3補助
・その他市町村:県の補助額に対し国は1/2補助

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)

こちらは、地域住民に対して市町村が実施する内容になっています。基本的に努力義務になっています。

厚生労働省においては、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」 (平成20年3月31日付け健発第0331058号厚生労働省健康局長通知別添)を定め、 市町村による科学的根拠に基づくがん検診を推進しています。


上記で説明した内容がまとまっている図が以下になります。

出典:日本の健診(検診)制度の概要(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000511508.pdf


まとめ

今回は、日本における健診制度の概要についてまとめております。

各年齢や、所属等によって実施すべき内容にも違いが見られます。
また健診制度の概要を把握しておくことで、制度を効果的に活用することができます。

少しでも皆さんの参考になれば幸いです。




弊社ALTURAは、健康診断を起点に医療体験の向上を目指しております。『健診結果web参照PHRアプリ』『健診システム』の提供をおこなっておりますので、気になる施設様や担当者様はお気軽にご連絡ください。

札場
Tel:06-6123-8162
Email:m.fudaba@altura.co.jp


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?