久々の余韻に浸る・・・朗読劇『秒速5センチメートル』

先日、生配信で朗読劇『秒速5センチメートル』の海宝直人さん、妃海風さん、山崎紘菜さんの回を観ました。

アーカイブも繰り返し観て、こんなに余韻に浸る感覚、久しぶりです。

今回は、あえて映画や原作に触れず、朗読劇が創り出す作品の世界を感じようとしました。そして、配信を観た今は、この3人が創った『秒速』の世界が愛おしくて、映画や原作に触れるのは、もう少し時間が経ってからにしよう、という気持ちです。

この朗読劇は、思いのほか俳優たちの動きがあり、また映像や音楽の演出も加わって、演劇と朗読の融合という感じがしました。一人の俳優が、10歳から28歳までを演じる、それも声の表情で。海宝さん、妃海さんの声が織りなす物語に、ひたすら惹き込まれました。なんてリアルなんだろう。二人の声から、それぞれの心情だけでなく、その場の空気や温度や匂いまでも伝わるようでした。

私が、まず最初に心をつかまれたのは、手紙が物語のモチーフのひとつであったこと。海宝さん演じる貴樹と妃海さん演じる明里は、互いに渡すことのなかった手紙に、互いを想う心の内をしたためていました。手紙って、本当に物語を生むというか、個人的には、これだけでも心揺さぶられるところがあります。

また、物語として印象的だったのは、第二話コスモナウト。ここで登場した山崎さん演じる花苗が、リアルな17歳で、切なくて切なくて涙が止まりませんでした。この年齢のときの貴樹は、ズルくて残酷な一面を見せていましたが、私はこのどうしようもない貴樹の態度や表情に、たまらなく心を掴まれました。(それは、海宝さんが演じていたから?貴樹としてなのか?まだ分からないのですが)花苗の心情に、昔の自分が重なるところを思い出したりして、すっかり10代の頃にタイムスリップした感覚になりました。貴樹と花苗が紙ひこうきを折る場面、心が締めつけられたなぁ。貴樹が花苗を見る目の表情が忘れられません。

朗読劇をこうして観るのは初めてでした。大掛かりな舞台装置も、手の込んだ衣装もメイクもないけれど、こんなに現実から離れて心が旅する感覚が得られるんだ、と感動しました。

本当に素敵なひとときをありがとうございました。


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