見出し画像

霧雨の尺上イワナ

#24|フライフィッシング/FlyFishing
2018年8月10日/新潟県上越地方

例年にない酷暑。追い打ちをかける渇水。1か月以上雨が降っていない。本来なら水々しく潤沢な山渓も、疲弊気味。小さな流れ込みは枯渇し、本流に勢いが感じられない。魚たちはこのピンチをどうしのいでいるのか。というより魚は釣れるのか……?

久々の曇天模様。行くなら今だと恒例の山籠もりを決行。時折霧雨で視界が遮られるも、釣りには好天候。チャンスとばかりにランガンスタイルで軽快に釣りあがった。

当然ながら渇水の影響で、水に勢いがなく、魚の出は芳しくない。水辺に咲く花々も潤いに欠け、水に飢えているのが伝わってきた。

魚は毛鉤に反応するものの、口を開いてくれないシビアな状況が長く続いた。釣り上がるか引き返すか、葛藤しながらも、足は上流へ。

釣り上がること数時間、巡ってきた千載一遇のチャンス。いかにも魚が潜んでいそうな一級ポイント。テグスに結んだ毛鉤はビートルだ。

1投目。予想通り魚が毛鉤にアタックしてきた。大物と察したが、惜しくも喰いそびれ。気持ちが高ぶった。

2投目。水面が割れるも、喰いついたのは別個体、29㎝の美形イワナだった。もっと大物が潜んでいるはず。仕切り直して深呼吸。

3投目。深みから突き上げるように、水面すれすれで大物が反転。毛鉤を丸のみした。グイグイと竿を引き込むパワーに、興奮は最高潮。

3度目の正直で顔を見せた本命イワナ。巻き尺の目盛りは32㎝。言わずもがなきょう一番の尺上イワナ。

味をしめ、勢いに乗って釣りあがると、とどめのジャスト尺イワナ。盛夏の渇水に打ち勝った瞬間。退渓を決心させてくれたイワナ。

ふり返ればアブに刺され、ランディングネットを紛失し、足を怪我する散々な釣行。でも、鋭気に満ちた夏イワナとのやり取りに心は満たされた。

猛暑のさなか、秋の足音じわりじわりと。シーズンは瞬く間に終盤へ。


FF.BUM(エフエフドットバム)
Instagram&Twitter フォロー歓迎!
■Instagram / @ff.bum
■Twitter / @FFDOTBUM

Profile
1979年生まれ。2007年に新潟県上越地方に移住。自由と孤独を愛する西洋式毛鉤釣師(フライフィッシング)。いかにして豊かな人生を歩むか、模索の日々を邁進中。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?