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北米鱒釣生活第10章

一日中、Henry's Fork Riverの周辺を釣りながら、川と魚の感触を味わっていました。昼食のランチが終わった後ちょっと時間があったのでショップなんか見学ということで、2時間ほど買い物に出かけました。一番先に行ったのが、自分の大師匠と勝手に決めこんでいるレネハロップ氏の経営しているショップへやっばり予想以上のコマーシャルフライのクォリティーの高さは、世界一だと自分でも確信している。

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House of Harrop そして後のTroutHunterとしてHenry's Fork Riverの代表的なショップになるわけです。現在はお孫さんが店舗で頑張っているようです。ハロップファミリーはとても暖かく自分を向かい入れてくれました。おっ日本人だなと声をかけてくれて何人で来たというと一人というと驚いた様子でした。日本で作っていった名刺を差し出すと彼達も名刺をだしてくれました。そして最後にあこがれのレネハロップ氏との初対面そして名刺交換でした。もう緊張してミーハーの女の子がスターのサイン会なんかに行くような状態でしたね(笑)ドキドキもんで握手してもらいました。嬉しいことに彼も午後Henry's Fork Riverに行くということです。もちろんプライベートなんでと笑って言ってました。んっまずいなダブルブッキングにならなければ。巨匠二人を天秤にかけるわけはいかないし。まあ2時過ぎには川に戻ろう、滞在時間はまだまだ使えるしとワクワクとドキドキが交互して自分の中を駆け回っています。一日で世界の有名フライマンに会って良いのだろうか?なんて考えていました。二人ともあの有名な「ノーハックルサイドワインダー」の考案者のメンバーです。
サイドワインダーと名付けたのはデイブ・ホイットロック。ダグ・スウィッシャーとカール・リチャーズがSelective Trout(1975)の中で発表したノーハックル・パターンを、マイク・ローソンとレネ・ハロップが改良をし完成した合作のフライ・パターンです。とにかく凄いんです。ひとつのステージにスティービーワンダーとマイケルジャクソンが別々にライブするようなもんです。どっちも見たいし~。
と、かってに喜んでいるうちに1時近くなってきました。ということでさっきのラストチャンスのパーキングに車をとめて濡れたウェーダーを着こんでいました。今回は持ち物チェックをして(笑)こんなことするの何年ぶりなんだろ、サングラスはしっかり磨いて、帽子まがってないかなと車の窓に自分を映してあーでもないこーでもないとかやっていました。とりあえずタックルはすべてチェックしたので大丈夫。リーダーもティペットも取り替えたし、ラインコーティングもしっかり塗ったし、まあ新しいラインなんで心配は無しと車のロックをしてスタートです。車のキーは必ずウェーダーの中のスボンのポケットかウェーダーの内ポケットに収納が鉄則です。とくに外国の場合JAFの会員でもここまでは来てくれませんから。ドリンクもウエストのウェーダーベルトと併用になるタイプがあってこれは中々重宝します。また外国のペットボトルは、750mlが多くて一本持っていくと、ほとんどカバーできます。空気はカラカラの標高2400mのライブショーの幕が開くことになりました。とにかくお立ち台(日本人がつけた愛称)という桟橋があります。そこを右手に見ながら下流へ巨匠の言っていたポイントはそこから2kmぐらい下流にあるボーンフィッシュフラットというポイントです。なんとブラウンドレイクのハッチがあるかもなんでするそうするとフライサイズも#12ぐらい使えるしBWOの#18よりは、チャンスがあると思い内心喜んでいました。日本でタイイングしたブラウンドレイクパターンは、何十本かあるし北海道で使うマダラカゲロウのダンなので取り扱いも慣れているんでちょっと安心しながらポイントへ向かいました。途中いくつかライズはあるがとにかく待ち合わせ近くまで行ってからフライをつけようと思いどんどん歩いて行きました。かすかに500mぐらい先にテンガロンハットをかぶった小太りのフライマンが見えました。たぶん友人とロッド振っていました。二人ともロッドを持っているので、ガイドではないなとすぐわかります。ここではロッドを持ってない人は、ほとんどフィッシングガイド達です。必ずゲストと一緒に行動しているし、ネットをもっているので直ぐにわかります。とうとうテンガロンハットのフライマンに近づいて「ハァーイ・・マイク・・?」って聞くと彼でした。

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彼達もブラウンドレイクのハッチをこの辺でやろうと二人で来たようです。しかしまだチョットハッチまで時間があってPMDの釣りをしているようでした。彼に釣り方を見せて欲しいと頼むと「ニャッと笑って」快く受けてくれました。しかしその前にここでのマッチング・ザ・ハッチの釣りでひとつの法則があること、これを釣りをする前に口頭で教えてもらいました。話を聞いてこれは北海道ではないし考えたことが無かった。すでに一発目からカルチャーショック的なことを聞いてしまい戸惑ってしまいました。これは、魚が豊富なことそして生きるための魚の餌が年間を通して供給されることが条件だと思います。そしてそれを人間が管理して魚のための川を作ること、日本みたく三面護岸やストレートにした川、砂防ダムだらけの川には全く必要のない話しだったけど、このアメリカには当たり前のことのようです。そんな話を3っ教えてもらいました。一つ目は、ライズしている魚にフライを合わせること、そんなの知っているよ~今の時間はPMDだと思っていたら、マイクがあそこで3匹ライズしているだろ~何食べてるかわかるか~?ってPMDと答えるとそれではダメなんです。というかPMDまではわかっていてライフサイクルの状態をわからなくてはダメなんです。つまりダンやイマ-ジャーなんです。そして凄いのがイマ-ジャーのライフスタイルの段階がわかれている。脱皮寸前からダンになるまでが分かれているんですね。それをライズフォームで判断することから始まりました。そしてマイクが言っていたことで、Henry's Fork Riverで釣りをすると水生昆虫の豊富さもあってフライ交換が頻繁になってしまうことが多いんです。

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自分のフライに魚を合わせて釣るのもここの凄い方法ですって笑って言っていましたが、案外正しい選択でもあるかも(笑)とにかく釣り人を簡単にノイローゼにさせてしまう魚達とこれから戦っていかなくてはと肝に銘じたしだいです。日本では、今日はカディスが多いからとかフライを決めてフライをチョイスしますが、先ほどの3匹の先頭と最後尾では食べている状態が違うのです。それが凄い時は100匹ぐらいのライズに囲まれてしまうことありました。もうロッドより手前でライズしている。魚も食べることに必死だしエキサイト状態なんで釣り人なんかお構いなしって感じでライズしています。しかしひとつフィーデングレーンに何匹も魚がいてライズしているんですよ。絶対に釣れると思うわけなんですが、釣れません(笑)なんでと思うけどその話もマイクがしてくれました。まず何をどのような状態で捕食しているかをわからなくていけません。ダンなのかイマ-ジャーなのか、ちなみにHenry's Fork Riverでは沈める釣りは全くありません。水中下は一瞬でロンググラスにフライを捕られてしまいます。ここではほとんどが水面上の釣りが主体となるわけです。ということは釣れてからも大変なんですね。ここで二つ目のアドバイスをもらうわけです。これだけライズしていても自分が釣ろうと思った魚からは目を離さないことです。そしてライズのタイミングを計ります。5秒に一回なのか20秒で一回のライズなのか、すべての個体はライズのタイミングはすべて違います。そりライズタイミングとナチュラルドリフトが合体しないと釣れないんです。10cmも離れていないのにダンしか食べてない魚やイマ-ジャーしか食べていない魚がいるんですね。もう日本では全くない条件なんです。もう最初は何が何だかわからなく、とにかく今の条件を理解して釣り方を見て下さいということで彼の釣り方を見学させてもらいました。

やはり予定通り18インチぐらいのをPMDのダンで釣りました。見ている分では凄く簡単に見えたのです。早速そこから下流に行きながら彼の釣り方を試してみることにしました。マイクがまだ滞在しているならいつでも店にと告げられました。当然ありがとうございます。と答え必ず行きます。マイクは友人とそのまま対岸に渡りバンク狙いで上流へ行きました。とにかく試してみるしかないといことでまずはライズを見つけてはフライを流し続けてみました。しかしほとんどっていうか全く釣れません。自分のフライの1cmの本物食べています。こんなに正確にタイイングしたのに見切られてしまう。1cmの違いのフィーディングレーンがここには必要なんだと感じる川でした。ライズタイミングは凄く難しくて、経験を積まないと全くわかりません。たぶんという感じでレーンにのせて行きますが、フライが通った後でライズするのには参りました。しかしそれも一日二日で分かるようなら、ここのフライマンみんなイレグイになってしまうしフィッシングガイドもいらなくなってしまうわけです。でもマイクからのアドバイスはとんでもなく大切なことでした。最後に三つ目の話は、ストーキングでした。ここはバックも無限に空いているし、水面はフラットだしみんな上手い連中はロングキャストするこれが全く無駄な行為と言っていました。限りなく魚に近づくことが、ここではとても大事なことです。まあこれだけは日本でも通用することだなと思っていました。しかしこのフラットな川で魚の通り道なんてどうやって見極めるのか、水面の動きで判断していくことや必ず魚を追いかけることなく待ち伏せスタイルにポジションを作ること、ここの魚は一ヶ所でライズしていると思いますが、次から次へと魚は移動しています。同じ魚だと思っても同じところで4~5回もライズしたら移動してしまいます。6回目のライズは違う魚だと思います。と言われてまたまたビックリなんです。Henry's Fork Riverで1マイルに2000匹というのが基準になっています。もちろん餌やフィールドとの関係で適合のサイズ・数というのが研究されているようです。そしてこれがすべての川・湖で研究されているのも凄い国だと思いました。

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2000年ころに書いた北海道のつりの連載のデータがあったので思い出として一部公開します。


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