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はじまりの物語⑪咎



静寂に包まれた社の中で
目を閉じて幾つもの記憶をめぐる
蛇の目にはうっすらと涙が滲んでいた



そちはまだ あのことを根に持っているのか



天の統治者である上帝が記憶に入り込んでくる



あのこと・・・



地上で人々の『重い』を受け取り出した玉たち
置き場所は蛇のお気に入りの水辺だった

水面の上からみるとより一層輝きを増すようだ

目を細めて
かの者と一緒に取り組んでいることを
誇らしく思った

さてと、地上に戻ろう、
蛇が水に潜っていこうとしたそのとき
体が布ですくい上げられた

暴れるが抜け出すことは出来なかった

蛇は上帝の面前に連れていかれた

そうして

地上の世界に介入した咎で
しばらく天に留めおかれた

光る石なぞ天上には存在しない
それまでのことを伝えようとするが
『重い』など天上のものに
理解できるはずもなかった

そんな中 ひとり また ひとりと
生を終えたものがやってくる
生きている間、『重い』を抱えているものは
天上に入ろうとしてもまた地上に下りて行く

しかし蛇の語ったものたちは
一様に『軽く』天上へ上がってきた


善い行いをしたのであるな・・・


やっと咎が解かれたときには
もうかの者と会うことは叶わなかった

すっかり目が覚めた蛇は
脳裏に浮かぶ上帝を睨みつけようとした


まぁ そんな  こわい眼で睨むな
この社に連れてきたものはかの者の縁者であろう

その者とここで励むが良い

但しだ、あの晩大きな体で天高く昇る姿を
見られた咎は重いぞ

その者との役目が終わったら、縁は断ち切る

そして わしの仕事を手伝うのだ

そういって上帝はふっと脳裏からきえた


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なんのはなしです果にまつわるはじめてのお話

蛇の毒吐く 違った 独白 形式で綴っております
色んな武勇伝をお持ちのお蛇様だけに話のスケールが大きくなってきました

第1話でビッグボスと紹介させて頂いた御方は
上帝とさせていただきました
この物語はフィクションであり上帝は架空の神物いかなる団体、法人にも属しておりません。
そして筆者も同じくです。(あっ会社員事務職です)
※非営利団体 なんのはなしです会には入会希望
思想が団体ポリシーにそぐわない場合は記事の削除もいといません。

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