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はじまりの物語 ⑳井戸

冷たい水は気持ちが良かった
一葉も手ぬぐいを濡らしてきれいに身を清めた

社に入り今度は膳の用意をする
朝と夕だけの質素な食事だ

御仏の御蔭いただきます
一葉の声に達吉も一緒に合掌する

少しばかりのあわやひえ、裏で取れた草を混ぜて
かゆにしたものを丁寧に箸をつかって食べた

丁寧な所作である
望めば先程の道風のようにもなれたであろうに
出自のせいか それとも自ら選んだ道か

膳を下げると
一葉は さあ行こうかと蛇に声をかけた
神鹿の杖の居心地は思ったより悪くない
外の様子が伺えるよう目の来る当たりに
覗き穴がしつらえてあった

膝より少し長いくらいの質素な白衣に
地図と筆具をいれた頭陀袋を肩からかける
頭には笠 足には草履
どう見ても立派な御角とは不釣り合いだが
きりっと引き締まった口元と穏やかで澄んだ瞳からは
気品と風格が漂っていた

社は街のはずれにあった
以前のかの者や一葉の祖父が住んでいた場所は
街並みは自体はあまり変わりがなかったが
成人の身なりの貧しいものが増えていた

いづれのひとにか かんき はやき

寒さだけではなく暑気も堪える
今年も暑くなりそうだ 急がなければ

一葉は杖の先を少しだけ地表にするようにして行脚した

水脈だ
蛇はそう察知すると杖の蓋をコンコンとあごの先で
押し上げて合図をした

一葉はそれを正確に地図に落とし込み
その日のうちに達吉に屋敷にもっていくよう言付ける
そうこうして、都を隈なく行脚するうちにも
すでに合図した場所には
次々と人足達が集まり井戸づくりを始めるのだった

達吉はいったいどこの御屋敷にいっているのだろう
首尾よくいきそうか 教えてくれ といっていたので
道風であろう

蛇はそう思った


⑳まできました
今回のお話は本文682文字でした

創作大賞応募するときに
どのぐらいの分量がいいのか迷い中
( 1 )ちょうどいい
( 2  )2倍ぐらいの分量がいい
( 3 )きりのいいところまで
                  まとめて読みたい     5~6回

読みたくない・・・チーン

先日新しいパソコン買いました
初めてちゃんと出たボーナスです
契約社員になったときの社会保険料の計算が間違えていたとかで
結構な金額が引かれました
それでもパソコン買いました
今のところnoteにしか使っておりません

なんのはなしですか

スマホのチョンチョン推しから
解放されて快適です

改行もパソコンでみるのとスマホでは違うから
悩むう(ひとりごと)

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