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はじまりの物語⑫ 契り

この社に連れてきたものはかの者の縁者であろう
その者とここで励むが良い

但しだ、あの晩大きな体で天高く昇る姿を
見られた咎は重いぞ


その者との役目が終わったら、縁は断ち切る

そして わしの仕事を手伝うのだ

そういって上帝はふっと脳裏からきえた

そうだ、かの者の血族、
きみとしたいことがあるんだ、と言っていたな
それが上帝のいう役目なのか、
なぜ上帝は知っているのだ

社の中の襖戸に顔を向ける

そのとき、スッとあの青年が入ってきた


ゆっくり休めたみたいだね

僕の名は一葉(かずは)
君のことは聞いているよ
これから僕たちの計画をきいてほしい

といっても、
君とコトバを交わすことができるのは
僕だけなので仲間はあとで紹介するよ

そういって、一葉は語り始めた

かの者は一葉の曾祖父であったこと
蛇と一緒に悩み苦しみを抱えるものに
寄り添って施してきたことが評判となり
裏通りにもかかわらず、宮中からも
施術を請われるようになったこと

曾祖父はその裏通りで皆で過ごしたいと
宮廷に上がることは拒んだけれど
医業を極めることは役立つことだ、と
祖父の代からは正式に国の典薬寮で学び
医師(くすし)として皇族・貴族の治療にも
あたることになった

それで皇女の一人の病をなおしたことから
僕が生まれたってわけ

宮廷に上がって国の根幹を担う偉い人の
心身が健やかであれば民までも平安が訪れる
そう信じて身を粉にして頑張ってきた父は
3年前にその役目を引き継いで往ったのさ

そうあっけらかんと話す

かつて、『おもい』を引き継いだかの者は
その喉元に役目が固く暗い影のように視えていた

しかし、一葉の体をじっと視るが
暗いものは一向に見当たらない
それどころか青白く心のうちから光を放っている
それに熱い

使命を我がものとして燃やしている
進むべき道は見えている、ということか

ならば付き従うのみ
但しその覚悟は問おう

よし、分かった
但し、条件がある

その胸に下げたかの者との『光る玉』
従った後には、我に頂こう

一葉は言った

よし!いいだろう
そういって真剣な眼差しをこちらにむけた

もとより名も捨てるつもりだ
自分の代でこの役目も完結させる
さあ、忙しくなるぞ!

今度は我を見たままニッと笑う
蛇の心まで熱くなった


”なんのはなしです果”にまつわるはじまりの物語
再開しました
例によって第1稿です

とりあえず3連休での完結を目指して
そのあと3部ぐらいに推敲して創作大賞出したいです

私の読む集中力は、この下書き稿ぐらいしか持ちませんが・・
いつも読んでいただきありがとうございます。



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