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はじまりの物語 ㉒決意

蛇にとっては
『呑んで』『出す』
ただ、それだけのこと

あとのきれいな玉を眺めて晴れやかな気持ちになる
ことはあったが一葉のいう『浄化』という行いは
蛇にとっては取るに足りないであった

それにしても一葉の『おもい』から出た玉は綺麗だ
蛇はきらきら光るその透明な玉をうっとり眺めた

一葉はというと、もう2回、合唱して呟いた

南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏


ああーーー、すっきりした

そのあとは堰を切ったように語りだした


なんか もうずっとうじうじ考えていたんだ

母の出自をしらなくて
もしかして 道真公の一族で
もしかしたら 出産のときには死んでなくて
道真公の夫人たちの東国追放されたときに
一緒に東国に追い出されたんじゃないかって
僕だけぬくぬくと宮中で過ごし
勉学に励んでもまつりごとには加われないし
まつりごとに励んだところで
嫉妬や何かで失脚するのは目に見えている

医師として勤めることも考えたよ
でも宮中でも治せない病の果てにすがるのは仏僧で
豪奢な寄進をうける
市井においては、薬を飲む水さえ事欠き栄養を
つけようにも食べるものにもありつけないのに
なんだかなぁなんて思っちゃって

いつもの一葉らしくなく、
どんどんとコトバがついて出てくる

本当の気持ちをずっと押し殺していたのだろう
ひとしきり語ったあと真剣な顔になって言葉を続けた

そんなときに思い出すのは
幼き日にきいた(道真公の)寒中十首

いづれのひとにか かんき はやき


貧しき人を貧しきままに
どうしてそうなるのか背景にまで思いをはせて
映し取る、ただの詩なのに、その温かい眼差しを
思い起こして心が熱くなる
貧しき人に目を向けて救いたい

そのときから仏法に目を向け始めた

16になる年に、父と祖父から『コトバ』によって
人を癒していきなさいとあの光る玉を渡された
君の『なんのはなしですか』という『受け取り』
のふしぎな話とともに

仏教では『南無阿弥陀仏』と唱えると仏様が救って
くれるという考え方があるんだ

それが『なんのはなしですか』のコトバで君が
『重い』を取り出すことに似ているなぁなんて
なんとなくだけど不思議とそんなことが浮かんでね

僕は『コトバ』の力でみんなの『想い』を
映し取し心を癒すすべをひろめたい
そのすべが仏の道で得られるのならその道を
進んでいきたい

『なんのはなしですか』と
『なむ あみ だぶつ』

共通するのならきっと
それは信じるに足ることだ
それをやってみたい
見守っていてくれ

あとやっぱり、僕の中には
母への思慕、ひいては菅原一族に対する
断ち切れない思いがある
この旅でそんな己に向き合いたい
それは東国に旅することだ
法王もこの行脚には喜んで資金を出して
くれるかもしれないしね
区切りがついたら衆生のために全力を尽くすさ

たくましいものだ
みな『想い』をだしたものはたくましい
出したはずなのに、
そのままそっくり『受け入れる』
やるだけやるさ、
だめならさっぱりあきらめる
そんな軽さを持っている

それにしても旅か
どんなところに行くのだろう
少しばかり楽しみになってきた

ただ、仏の道か
神護役の道風(みちかぜ)はどういうだろう
上帝のことがふと浮かんで蛇は少し寒気がした





筆 者:いやー、驚きました
質問者:何にですか
筆 者:だってですよ、覚悟が決まってるとばかり
    思っていたのに実はブレブレだったっていう
質問者:まあまあ、これから頭を丸めるとなったら
    誰だってねえ、ほら
筆 者:まあそういうことにしておきます
    〇〇コンなんて設定でしたら、モデルにした方
    からクレームがきてモデルを降りてしまわれる
    かもしれませんし
質問者:今回のお話苦労した点はありますか
筆 者:この後の行動に納得感持たせるの苦労しました
    でも『軽く』を心がけてみました
質問者:まあでも気にしなくていいんじゃないですか
    彼まだ20才でしょ。青年が走り出すのに皆が
    納得する理由なんていりませんよ
筆 者:なるほど、そうですね
    私などこの年で走りだしてしまいましたよ
 
どこにたどり着くかはお楽しみ☆彡
読んでいただいてありがとうございます



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