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「最近のV系を語る会 Vol.3」に行ってきた

「最近のV系を語る会  Vol.3」に参加してきました!

このイベントはなんぞや?という方にまず簡単にご説明すると、「この3〜4ヶ月のヴィジュアル系シーンのことを大きいところから小さいところまでふんわりゆるふわに語ったり、ROCK CAFE LOFTの良い感じのスピーカーでみんなでいろんな曲を聴いて楽しもう!っていうイベント」だそうです。

今回は2020年1月中旬の開催だったため、当たり前ですが「コロナ」の「コ」の字も出てきませんでした。
今となっては信じられないというか、元はそういう世界だったんだよなぁ…なんて、パラレルワールドでも覗き見している気分になりながらこの先を読んでいただければと思います。

「語る会」に参加するのは初めてだったため、雰囲気を見学しに行こう〜くらいのゆるいスタンスでひとりでふらっと向かいました。
会場のROCK CAFE LOFTには初めて入ったのですが、新宿駅から新宿BLAZEに向かう途中、今まで何度も通り過ぎてきた場所にあることに気付き驚きました。外から見るとこじんまりとしていて可愛らしいたたずまいでした。

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入り口のドアを開けて店員さんにチケット(スマチケがスムーズで便利でした)を見せて中へ。
店内に入るとRAZOR「完全無欠」が聞こえてきて、新宿の喧騒を抜けヴィジュアル系専門CDショップに入った時のような安堵感(!?)が。
そして店の奥側にいた登壇者のお三方が「こんにちはー!」と声かけしてくださり、アットホームな現場だな〜と感じました。

【登壇者】
藤谷千明さん(@fjtn_c
オザキケイトさん(@lellarap__
神谷敦彦さん(@atsuhiko_kamiya

お三方は既に雑談を始めておりました。開場と同時に入れるように到着しておけば良かったなぁ〜とシンプルに後悔。

会場は、学校の教室半分もないほどのスペースに、カフェやレストランのようにテーブルと椅子が並んでおり、お客さんはそれぞれ自由に着席していました。そう、自由席なんです。私が入店した時には、2人客用の席に1人ずつ既に座っているような状態だったので、席選びにちょっと迷いました。やはり開場と同時に現場に到着しておくべきでした…!とはいえ、ほとんどのお客さんが1人で参加されているようだったので、1人で行ったらきまずいなんてことはありませんでした。

そして飲食もできるのがこの会場の良いところ。
特製のカレーが美味しかったです。あとノリでタピオカ(タピ丘…)ミルクティーも頼みました。

そうこうしてるうちに開演時間が。
藤谷「はっじまっるよ〜♪」
ゆるい!

1月だったので挨拶は「あけましておめでとうございます」から始まりました。
ちなみに前回は2019年10月に開催するはずが、台風で中止になってしまったそうで、企画側としては「まさか自分達がチケットの払い戻しをさせる側になるとは…」と思ったとのこと。
チケットによっては「発券した店舗で払い戻しするのが難しい場合、郵送しなければいけなくなるので、なるべく地元で発券すべき!」というためになる話も。遠征バンギャルさんは遠征先で先の公演のチケットを発券することもあるあるですから、要注意ですね!

ここから本編の始まり。お客さんは登壇者のお三方が話しているのを聞きながら飲食し、話に共感した時に「わかる棒」(入場時に配布されるお手製の棒)を上げてリアクションしながら楽しむ、というスタイルです。

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[1]ヴィジュアル系とサブスク 〜「ラルク解○」によせて〜

♪Winter fall / L’arc~en~Ciel
https://twitter.com/LArc_official/status/1200972788451991553
最初は「ラルク解○」の話題からでした。(ラルクはヴィジュアル系か?の話は宇宙の彼方においときましょう)

藤谷「みんな○に入る文字が何か、大喜利してましたね。個人的には解体したらどうしよう?と思ってました」
オザキ「結果は予想通り『解禁』でしたね」
藤谷「サブスク解禁、YouTubeにPVも解禁され、大盤振る舞いな解禁で話題になりました」

ところでみなさん、サブスクやってますか?という話になり、お客さんが手を上げて答えることに。Apple Music、LINE MUSIC、Spotify、Amazon musicなど、音楽の定額配信サービスを使っているお客さんは結構いらっしゃるようでした。

藤谷「Spotifyはプレイリストが活用されていて、セットリストの公開に使われたり、開演前BGMの公開に使う人もいます」
オザキ「サブスクのいいところは、ケータイをポチってやるともう聞ける!っていうところ。最高」
藤谷「PCにCDドライブがついてないものも増えてきましたし…」
藤谷「ちなみにゴールデンボンバーは、何時から配信開始というのを書いてくれます」
オザキ「the GazettEはしれっと解禁してました…」

オザキ「サブスクについては、cali≠gariの青さんがインタビューで『再生数がよほどない限り、利益が出ない』というような話をしてました」
http://v-kei.jp/cover/201912_caligari/
藤谷「今月(2020年1月)のSpotifyのリスナー数、ラルクは35万5千、BTSは1000万なんですよ。だからグローバルにやってる人にとっては良いサービス、国内だけでやってる人はちょっと…」
オザキ「若手になってくると、サブスク解禁しちゃうとCDが売れなくなっちゃうっていう問題が出てきて。聞かれないことには、バンドって広まりもしないじゃないですか。聞かれる環境を作らないとなかなか難しい。若手こそサブスクをやってほしいなっていう気持ちはあるんですけど…。で、若手もサブスクやってるんだよってことでこちらを紹介します。」

♪曖昧アイデンティティ / HAKLO
https://youtu.be/ZNBAIkDuMDM
オザキ「HAKLOはベスト盤を作って、それをサブスクで配信しています」
藤谷「0.1gの誤算もベストアルバムをサブスク配信してますね。入門編として手に取りやすくなる」
オザキ「アルバムでドン!と出すより、5曲くらい出して、うちのバンドこんな感じですよ〜って出すのもいいかもしれませんね。あとは、Laputa、Merry Go Round、MIRAGEとか、解散しちゃった昔のバンドもちょこちょこあるんですよ」

神谷「サブスクが流行って、音楽を簡単に手に取れるようになると、愛着がわきにくくなるので、飽きる人が増えるんですよ。他の業態ではもうそういう問題が起きています。音楽に関しても、これからどうやって愛着を作るのかが課題だと思います。効率とか、手に取りやすいといったこと以外の価値をつけないと、サブスクもうまくいかなくなるかもしれません」
オザキ「音楽に関しては、サブスクで聞いて、ライブに行ってもらって、バンドに愛着を持ってもらうのが一番いいんじゃないですか?」
神谷「サブスクで聞いても、意外と人はライブに行かないんですよ。そこをどうするか、他の業界もまだ解決できていないんです」

確かに、サブスクで聞いたからといって必ずそのアーティストのライブに行くかといったらまた別だな…、サブスク解禁すればいいってもんでもないんだろうなぁ、と思いました。


[2]2019年末〜2020年初にかけての復活・脱退・凍結(NIGHTMARE/RAZOR/R指定)

♪ 極東乱心天国 / NIGHTMARE
藤谷さんが「1ヶ月後(2020年2月)、横浜アリーナですね」と言っただけで、前方のお客さんが「わかる棒」をアツくかかげながらうんうんとうなづいておられました。
藤谷「事実を言っただけで『わか』られてしまった!」

藤谷「活動休止の時に、2020年を目処に復活しますよ的にも汲みとれるし、そうじゃない感じでもある、ふわっとしたニュアンスを出していて、言い切ってはいなかったので少し心配だったんですけど、ちゃんと復活ということで。しかも単発じゃなくてツアーも決まって、えがった!えがった!」
オザキ「最新のアー写の咲人さん、衣装の布がめちゃめちゃ少ないんですよ」
藤谷「気合がすごい」
オザキ「お腹出てるし、太もも出てるし、復活前より布が少ないって最高じゃないか!」
藤谷「雑誌の表紙で脱いだ男は違いますね」

オザキ「RAZORは哲也さんが脱退してしまいまして」
♪ ADAMZ / RAZOR
藤谷「脱退ライブ(マイナビBLITZ赤坂)、めっちゃギリギリに行ったら人が多すぎて場内に入れなくて、液晶モニターで見てました。。。」
オザキ「開演前から幕が開いてました。僕人生で結構ライブ行ってる方だと思ってるんですけど、その中でも一番高いドラム台だったんですよ。あれ何メーター!?」
藤谷「モニターで見たら、神棚かな!?みたいな」
オザキ「多分、最後だから、どこからでも哲也さんが見れるように、っていう心遣いなのかなと。配慮があってよかったですね。アンコールで『ADAMZ』やったんですけど、この合唱がね、すごく良かったんですよ〜。最後にRAZORの一発目の曲をやって、その時に猟牙さんがお立ち台からドラムの方を見て『昔を思い出すな』みたいなことを言って、めっちゃうなづいてから曲が始まったんですけど、それがめちゃめちゃエモくて。すごく良いシーンだったと思います。寂しいけど、良い脱退ライブだったというか。卒業式的な感じはありました。衍龍さん男泣きしてました」

藤谷「R指定は凍結が発表されましたね。ライブが29日で、1週間前の22日に発表されました」
オザキ「びっくりしましたね」
藤谷「凍結発表後、『遺書』という曲が発表されました」
♪遺書 / R指定
https://youtu.be/LgrtdMms5So
藤谷「本当に急な発表だったから、受験生とかライブ行けなかったんじゃないかなって。あまりにも急すぎて。ライブ自体は、あんな活動休止ライブ見たことないってくらい、ずるいなあって思うくらい、綺麗なライブでしたね。しんみりした雰囲気は極力排除して。『ぼくたち!わたしたちは!R指定を!卒業します!』みたいな、卒業式プレイ(呼びかけ)をしていたりとか。47ツアーの思い出を叫んでいたんですけど、ツアーの思い出がほぼほぼ飲酒の失敗で、最終的にはなぜかZさんが留置所に入っていたとかいう話になってて。途中までは湿っぽいことは極力言わないようにして、ライブを楽しもうという感じでしたね。凍結の理由は一言で言うと、マモおにいちゃんが『ちょっと疲れちゃった。』っていう感じで、他のメンバーは『いつも強気なマモおにいちゃんがそう言うなら仕方ないな』みたいな感じでした」
オザキ「結構どデカイニュースですよね」
藤谷「2019年の終わりにとんでもないのが来たなという。あと、見に来てるバンドマンに、マモおにいちゃんがすごいハッパかけてたんですよ。『ここ(両国)まで来い!』と。俺らは時代に逆らっていろいろやってきたけど、だからこそここに来れたし、こんなに良いファンがついたんだ!と。あ〜凄く愛を感じる、みたいな。今でも思い出すと泣きそうになっちゃうんで。。。」

ここで一旦休憩時間ということで、お客さんは追加オーダーやトイレに行くなどしやすい状況になりました。
休憩中もお三方は雑談をされているため、退屈することはありませんでした。

[休憩]元Fatima・Layさんのハンバーガー屋さん ほか

オザキ「元FatimaのLayさんがハンバーガー屋さんを始めたんですよ。西荻窪で」
藤谷「スターダストという店名ですね」
https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131907/13240615/
オザキ「Layさんが敬愛するデビッドボウイやノラジョーンズにインスパイアを受けたハンバーガーを出す洒落た店なんです。僕も行きたいんですけど、普通にただのLayさんのファンなのでためらってます(笑)」
藤谷「お客さんには一般の人もいるし、ファンの方もいるそうですよ」
ちなみに、会場のお客さんの中にもこのお店に行った方がいらっしゃいました!

藤谷「あと、杉様(SUGIZO)がYouTubeで、天下一品を自分のこだわりの食べ方で食べていたらめっちゃバズってて」
https://youtu.be/y7AQK4_XUBc
神谷「凝り性の人が何かやるって、やっぱ面白いですよね」


[3]ヴィジュアル系とHIPHOP(Leetspeak Monstars/CHOKE)

♪月光陰 -Moonlight Shadow-  / 四十物十四(榊原優希)
藤谷「毎回、ヴィジュアル系と音楽ジャンルをさらっとぬるっとまとめていこう!というセクションを設けています。前回はギターロック、前々回はメタル、今回はヒップホップをやっていきましょう」

オザキ「ヴィジュアル系でヒップホップはやらないと言われてきましたけども」
藤谷「ヒプノシスマイクの四十物 十四くん、名古屋で活動しているという設定のラップチームのキャラクターなんですけど、見た目はすごく今風のヴィジュアル系なんですね」
https://hypnosismic.com/character/nagoya/14th_moon/

オザキ「もともとヴィジュアル系をやってた子がラップの中に入ったっていう設定なんですよね」
藤谷「ラップバトルの国民行事に参加するっていうことで、各地方の特色、例えば大阪だとお笑い芸人もいるよっていう感じで、名古屋にヴィジュアル系がいますっていうことなんですよね。この曲自体はLeetspeak Monstarsが楽曲を提供していることでも話題になりました。Leet自体は名古屋ではなく墓場の街ことグレイヴタウン出身ですが、それはそれ!これはこれ!Leetの起用は結構びっくりしましたよね」
オザキ「名古屋の方から引っ張ってくるのかと思いきや、ヒップホップからちゃんと引っ張ってくるっていうところに…」
藤谷「何よりドメさん(ボーカル)はラップがうまい」

オザキ「あと、ちゃんと歌詞を読むと、名古屋のワードがちょこちょこ入ってるんですよ」

「歯車」=ROUAGE
「黒い夢」=黒夢
「幻想の島」=Laputa
「銀色の薔薇」=Silver Rose

藤谷「名古屋ヴィジュアル系小ネタを。そこもいいけど、ギターがすごくヴィジュアル系っぽいです。あと、歌詞でヴィジュアル系をすごく表しているところがあるなと思って。レペゼンヴィジュアル系」※レペゼンはヒップホップ用語で「代表する」という意味

そうやって派手な見た目だけじゃ
通用しないって中身を見てから言いな
食わず嫌いの偏食家か何か?
常に自分の魅せ方
突き詰めるのが十四のやり方 生き様
スポットライト浴び輝きを増す
マイク掴めば誰だって誰かのヒーロー

藤谷「ヒプノシスマイクで楽曲提供した人って結構ヒプノシスマイクのライブにも出るんですよね。これはLeetにメットライフドームチャンスがあったらどうしよう!バズってほしい!」

オザキ「ラップを使うバンドが他にも増えています」
藤谷「子供の頃からJ-POPでラップを聞いている人が大人になってきているんですよね。いろんな要素が入ってくるのがヴィジュアル系なので、傾向的に、ちゃんとしたラップが増えている印象があるなあと」
オザキ「J-POPのラップではなくて」
藤谷「ラップやってみました、じゃなくて、マジモンやん!て。CHOKEとか」
♪ Bloody Hell / CHOKE
オザキ「ラップとメタルのミクスチャーですね」
藤谷「『前のバンドがここなんだシリーズ』で一番驚いたのがCHOKEですね。ex.サウイフモノ、ののさん。凄いギター弾いてます」

オザキ「最近、ソロアーティストなんですけど、iCONEっていう方がいらっしゃって」
藤谷「出所がよくわからないですが、多分新人さんだと思います」
https://twitter.com/icone_twt
オザキ「若いんですけど、YouTubeにリリックビデオをあげたりとか、TikTokやったりとか、ネットで発信をするアーティストで」
藤谷「絵も描けるし、インスタみてると、オシャレって感じで。sleepyheadの武瑠くんみたいな、ああいう自由さを感じます」
オザキ「ヒップホップやラップの感じが」
藤谷「K-POP以降って感じがする」
オザキ「音作りが可愛いし、注目ですね」
藤谷「ラップのフロウも今風だなと。モテそう!」


[4]ヴィジュアル系のソロアーティスト(Cazqui/Daichi/Leda/SHIN)

♪ OSWALD / Cazqui's Brutal Orchestra
オザキ「ソロアーティストの話しましたけど、最近ソロが増えたような気がしていて。ex.NOCTURNAL BLOODLUSTのCazquiさんが2019年11月ぐらいにソロのプロジェクトを立ち上げまして。Cazqui's Brutal Orchestraという、名前だけでも凶暴だって分かるんですけど」
藤谷「まんまやないかい」
http://c-z-q.net/biography/
オザキ「ボーカルがDEXCOREの架神さん、ライブではベースがDEVILOOFの太輝さんでドラムがZyeanさん、極悪なメンツを集めたバンド。Cazquiさんはノクブラを脱退してから猫曼珠ってバンドをやってたんですけど、Cazqui's Brutal Orchestraはノクブラに近い音楽性の曲なので、ファンは『待ってました!』『優勝!』みたいな感じだと思う」
藤谷「キタコレの一言」
オザキ「これを待ってた!みたいなところあると思うんです」
藤谷「五臓六腑に染み渡りますわァ…」
オザキ「とりあえず重たすぎるし速すぎる。重量オーバーだしスピード違反ですって感じです」

オザキ「ex.NOCTURNAL BLOODLUSTのDaichiさんもソロを始めまして」
https://twitter.com/daichi_rebuild/status/1215562899004936193
オザキ「Cazquiさんと同じバンドやってましたか?って言いたくなるぐらい、切なくて物悲しい雰囲気で浮遊感のある、ポエトリーリーディングっぽいメロ」
藤谷「シティポップの要素もある曲も入ってるし」
オザキ「深夜とか冬の早朝に聞くと気持ちいい感じです」
藤谷「どちらもたいていのサブスクサービスで配信されてますね」

オザキ「DELUHIのLedaさんも最近ソロを始めて。めちゃめちゃ激しい、イントロだけでかっこいい。ギターの構造わかんない!LedaさんとCazquiさんは今度ツーマンがあります」
藤谷「怖いなー、『ギターうまグランプリ』だ」

オザキ「そしてex.ViViDのSHINさん。つい先日EASTワンマンがありました」
藤谷「ex.ViViDでソロになった人は他にもいますけど、SHINさんは結構バンド時代のイメージのままをいってたので、ファンの期待をしょってたのかなって。最近荷物が取れて来たのかな、いい解放感がありました」
神谷「少しづつ荷が降りたのかなっていうのが感じていて、それが音楽に反映されるのが楽しみです」
オザキ「ソロ始めた時はギター持って自分がやりたかったギターロックをやっていたけど、最近はもっとジャンル関係なく自分の歌に比重を置いたりもしてますし、単純に歌を楽しんでるんだなっていうのを感じます」
藤谷「あと、ライブのたびに『GLAMOROUS SKY』歌ってるから、多分中島美嘉さんやHYDEさんより歌ってる説。もはや持ち曲ですよ。あとユークリに入ったのもよかったんじゃないかな。鬼龍院さんの後輩っていうポジションで一緒にツアー回ったりしてるから」
神谷「人に恵まれましたよね」


[5]2019年後半から名盤が生まれすぎたっていう話(DEZERT/LUNA SEA/NEVERLAND)

①DEZERT『Black hole』
オザキ「これまでのDEZERTの全部ですね」
藤谷「全部乗せで、無駄な部分を引いている」
オザキ「初期の激しいところ、グロテスクなところもちゃんとあって、そこを1回全部捨てて『TODAY』で出した歌モノもあって、かつ不協和音っぽい音に乗ってるっていうのが、DEZERTらしいなっていう。総決算!」
神谷「『感染少女』がすごく好きです。最初っから好き」
♪感染少女 / DEZERT
オザキ「前作の『TODAY』はライブっぽい曲があんまなかったけど、今回はライブっぽい曲もあって。めっちゃ初期のリフじゃん!ってところもある」
神谷「歌詞は全方位に喧嘩売ってるなっていう感じですね」
オザキ「そこも相変わらずですね」

②LUNA SEA『CROSS』
オザキ「U2とかを手がけた人をプロデューサーに設けたんですよね」
藤谷「LUNA SEAってプロデューサー入れないのがある種特徴になってて、意地でもプロデューサー入れないぞっていう後続バンドが結構多かったのってLUNA SEAの影響だと思うんです」
オザキ「5人がそれぞれ独立した音楽家ですよね。今年30周年なんですけど、人間って歳とってくるとだんだん心って汚れてくるのに、こんなに澄んだ音になるんだ!ってびっくりしました。RYUICHIさんの声にも力を感じますね」
神谷「『PHILIA』が好きです。人生何周してるか分かんない人たちが歌詞で『世界を救う』って言えるのってすごいですよね」

③NEVERLAND「PSYCHEDELIC」
オザキ「元々おしゃれなトラックにメロディアスな曲を載せるバンドなんですけど、今回結構よりスタイリッシュ、現代風な感じになりました。イントロにフューチャーベースっぽい音使いをしていて、歌い方も、声を張るっていうよりはウイスパーな、やさしくて甘い歌い方になっていて、ずっと聞いていても疲れないというか、心地良い音源だなと思っています」

ここでまた一旦休憩ということで、雑談タイムになりました。

[休憩]年末年始テレビでゴールデンボンバーを見ない日はなかった(あったけど)

藤谷「ゴールデンボンバー、紅白に出なかったけど、また爪痕を残したなっていう。レコード大賞だったりとか、SASUKEとか、格付け!何はなくとも格付け!」
オザキ「いや〜、格付けの罪は重いんじゃないですか」
※2020年1月放送の「芸能人格付けチェック」にて、鬼龍院翔氏がGACKT様の連勝記録を絶ってしまいました
藤谷「格付けを間違ったところで死なないわけじゃないですか。でもあのスライディング土下座、『可愛い可哀想』というジャンルが生まれたなっていう」
神谷「キリショーさんとDAIGOさんがカラオケのイベントをやっていました」
藤谷「鬼龍院さん、ソロツアーでBREAKERZと共演しますね。クソイベ、初日がO-WESTで鬼龍院翔さん、SHINさん、突然の眉村ちあき。ツアーファイナルが、鬼龍院翔さん、BREAKERZ、四星球、岡崎体育。場所はZepp DiverCityです。チケット取れないですよ〜!そして遂に鬼龍院さんと岡崎体育が頂上決戦ですよ。何が『遂に』なのか分かんないけど」

藤谷「ゴールデンボンバーといえば、『LINEのBGMにするとモテる曲』の話も」
♪LINEのBGMにするとモテる曲 / ゴールデンボンバー
https://youtu.be/DfTI8DbjxJ0
オザキ「このトロピカル〜ハウスっぽい、今風の曲で、パリピがLINEのBGMにしてそうなノリ」
藤谷「歌詞は雑英語みたいな…」
オザキ「英語に聞こえる日本語…。岡崎体育じゃねえか!」
藤谷「これはかなりいろんなミュージシャンがTwitterで褒めてました」
オザキ「これはすごいですよ、天才かと。しかも面白くて」
藤谷「ゴールデンボンバーの本領発揮ですよ」
オザキ「ビデオもストーリー仕立てにして、飽きないようにしてくれてるし」
藤谷「Phantom ExcaliverのKacchangと鬼龍院さんの顔を、ディープフェイクっていう最新技術を使って合成して、海外ラッパーっぽい像を作ってるところも見どころですよ」


[6]神谷敦彦の深読み話(ザアザア/キズ/ゴールデンボンバー)

休憩時間終了後、このイベント恒例、神谷敦彦さんによる歌詞の解説コーナーが始まりました。

①ザアザア「普通の恋」
神谷「2019年発売の『みんながうた』っていうアルバムの中の1曲です」
藤谷「『みんな”が”うた』ってところが意味深ですね」
神谷「ザアザアって結構寂しそうな曲、激しい曲も多いんですけど、バラードは本当に寂しそうな曲が多くて。『普通の恋』も寂しそうな曲です。『誰に宛てた曲か』が明確な曲が僕は好きなんですけど、ザアザアも明確な曲が多くて。なんとなく世の中的に、男女の恋愛のスタンダードってあるじゃないですか。あれに乗れなかった人達のための曲っていう感じなんですよ。普通の恋はしたかったけれども、周りの目を自分達も気にしちゃって、ふたりが離れちゃう」

普通に手を繋いで 普通に愛したいだけ 普通に愛せること どうして

藤谷「ザアザアの歌詞って良い意味で等身大ですよね」
神谷「バラードめちゃめちゃ良い。寂しそうな声がすごくマッチするんですよね。最終的には、『普通じゃなきゃいけない』と自分が思っちゃって、恋が終わってるんです。後悔してる曲だと思うんですけど、次の恋愛の時に『普通じゃなきゃいけない』ということに捉われなければ、そして自分が強くあれば、良い関係が作れるかも、もっと大切なひとを守れるかも、というような、ちょっとだけ明るさがあるようにも聞こえます」

②キズ「黒い雨」
https://youtu.be/oitE8HdQxe8
神谷「この曲が『誰に宛てた曲か』はすごく明確です。キズの曲は全部そうだと思うんですけど、罪悪感強い人の曲だなって、いつも思っていて。歴史レベルで考えて、現代を築き上げてくれた人達って、戦争とかいろいろあったよね、その上に僕ら立ってるよね、っていう。そんなの普通に生きてて感じる必要もないんですけど、キズの4人は、歴史上犠牲になった人達を忘れられない、感じずにはいられない人達なのかなあと思っています。罪悪感っていうと暗い曲に聞こえるかもしれないですけど、サビは結構ポップですよね。『愛してる』っていう歌詞がバンッ!って来る曲でもあるので、罪悪感のある人、傷つけちゃったっていう感覚がある人ほど、逆に人を大事にしたいという気持ちを持てるのかな、そんな明るい出口を見せてくれている気がする曲でございます」
オザキ「この曲発売する前に、ライブでやってたじゃないですか。そのツアー開催地が、広島と長崎と福島でしたよね…」

神谷「ちなみにキズのバンド名の由来は発表されていないですけど、少しずつなんとなく見えてきている感じはありますね。あと、インタビューで来夢さんがちょっと言ってたのは、海外で荒れたところに行くと、逆に綺麗なものの大事さが分かる、と。だから綺麗な曲もこれからどんどん出てくるのかなと。MVめっちゃいいのでそれも見てください」

③ゴールデンボンバー「さらば」
神谷「アルバム『もう紅白に出してくれない』のボーナストラックです。きれいなバラードで、『誰に宛てた曲か』っていうのがすごく明確ですし、この曲の『僕』=主人公はキリショーさんでしょうっていうのが伝わってくるぐらい、誰が誰に宛てた曲なのかが分かる曲だなあって思います。おそらく、もう十分悲しんだ人の曲ですよね。もう十分に悲しんだんだから、幸せに向かっていいんじゃない?というメッセージなのかなあと思っています。キリショーさんも一昨年くらいのツアーで体調を崩しちゃって、だいぶ辛い状況だったっていうのをインスタに投稿していました。だから暗さもあるんですけど、自分が不幸になっちゃった原因は『いろんなものを持ちすぎたから』っていう言い方をするんですよね。何かが無いとか、足りないっていうよりも、持ちすぎちゃったから、不幸になってしまったなっていう曲なんですね。歌詞を通じて考え方を変換させてくれる曲のひとつだなって思います」

神谷「今日持ってきた3曲は、僕の中では共通点があります。3曲とも『誰に宛てた曲か』がすごく明確だということ。そして、暗いもの、良くないものの後ろ側を見せてくれるということ。ザアザアは後悔の裏に希望を出しておいてくれてますし、キズだったら、罪悪感の裏に人を大切にする気持ちがみえていますし、ゴールデンボンバーだったら、不幸の後ろには、幸せなものがある、という表現をされている人達なのかなと。歌詞のひとつの楽しみ方として、誰が誰に宛てて書いているか、書いてある言葉の反対にある言葉って何かな?って考えると、歌詞の凄さが分かってくると思うので、そんな風に楽しんでいただければと思います」

他のバンドの歌詞も『誰に宛てた曲か』という視点で読み直してみよう!と思ったひとときでした。

[7]お客さん登壇企画・私のおすすめ聞いてください!のコーナー

ここからは、壇上で喋ってくれるお客さんを挙手制で募集しプレゼンしてもらう、このイベントのある種目玉企画のコーナー。
藤谷さんが呼びかけると、サッと手を挙げるお客さんがいらっしゃり、さくさくとお客さんが壇上へ。
この日は計6名の方が登場し、紹介したいバンドやライブなどについてプレゼンをしました。
プレゼン用のスライドを用意して来た人もいれば、その場で音楽プレイヤーをつないで曲を流すひとなど、形式は様々でした。

1人目:便所の草
 栃木のバンドで、サポートのドラムの人がシャウトしたり、一緒に踊ったりするなど自由度が高い。映画「カメラを止めるな!」を題材にした曲などもあるそう。

2人目:蘭図
 「Phalaenopsis」が「迷える百合達」時代の黒夢を思わせる楽曲で素敵。
https://youtu.be/Wd_5Q2FhoXE
 アルバム「九相図」は和で黒くダークな雰囲気で、ライブでどのように表現されるのかが楽しみ。

3人目:NIGHTMARE ・ R指定 のライブ
 昨年末、メンバーのソロバンドが集まったイベント・伊達男祭で、メンバー5人全員が揃いの衣装で「Quints」を演奏し始めたことで、みんなで大号泣しながら狂喜乱舞で大騒ぎした。あんなに泣いて感動して喜んで、真っ白になったファンを見るなんてなかなかない体験だった。
 R指定の凍結ライブはたまたま知り合いに誘われて行ったが、凄かった。10年間の集大成、有終の美を見せつけて、バンドマンに対しても、おまえらここまでやれんのか、そんな気持ちでやれんのか、というすごく辛辣で愛のあるメッセージを放っていた。

4人目:RAZOR ・ キズ の楽曲
 RAZORの「困惑」は、先ほど話にも出ていたヒップホップの流れにも該当すると思う。脱退した哲也さんの曲で、困惑しながら作ったから「困惑」なのだそう。歌詞を見ながら聴いてほしい。
 キズの「黒い雨」はMVが公開になる前から、YouTubeの広告でリリックビデオが流れてたらしいが、広告は見ようと思って見れるものではないのでひたすらYouTubeを見たが結局見れなかった。曲のテーマからして、無差別にいろんな人に聞かせたかったのかな、という意図を感じた。

5人目:yuyaソロ(Develop One's Faculties) ・ fivestarの年末イベント
 Develop One's Facultiesのyuyaがソロでも活動しているが、オフィシャルにも情報があがらずyuyaさんを観察していないとスケジュールに気づけない。音源も5,6本出ている。そしてyuyaさんは自宅のスタジオが雑誌で特集を組まれるほどしっかりしていて、ウミユリなど他バンドのマスタリングなども手がけるため、yuyaさんのファンはyuyaさんの家で録られたものは集めた方がいいのだろうか?と悩むそう。
 fivestarの年末イベントは毎年「こういうの見たかったな」「痒いところに手が届く」メンツが出るためおすすめ。堀田さんすごい。

6人目:歌謡.viju
https://youtu.be/k8R7x-U_qzU
昭和歌謡とヴィジュアル系が好きで、ヴィジュアル系の架空のバンドが昭和歌謡をカバーしているMVを独自に作成した方ご本人による作品紹介。MVに登場するバンドメンバーは全ておひとりで演じ分けている。もともと現代アートや作家活動をしており、変身をしたり、させたりする作品を作っていた延長線上のもの、とのこと。


ちなみに、登壇するのは恥ずかしい…、という人のために、入場時に配られたアンケート用紙にプレゼンしたい内容を記入する方法もあります。この日は、Jin-Machineのライブが楽しい、「マグロに賭けた男たち」ではマグロのぬいぐるみがフロアに投げられるという話や、Angeloが毎回最新作が最高を更新している、最近はユーチューバーをやったり、「高齢V系バンド」というフレーズを発信したことでTwitterトレンドになった話などがあがりました。


用意されていたお題目は以上で、次回はあったかくなったらまたやりたいですね〜、という和やかな雰囲気でこの日のイベントは終了。
各自でお会計を済ませて退出します。この間、登壇者のお三方に話しかけることもできる雰囲気でした。直接挨拶したい方はこのタイミングを狙ってみてはいかがでしょうか。

ヴィジュアル系だらけのトークイベントは約2時間半、休憩を挟みつつとはいえ、休憩時間もなんだかんだ本編とそこまで変わらずお三方のトークが続くので、ぶっちゃけぶっつづけで盛りだくさん、お腹いっぱいでほくほくでした。
そしてヴィジュアル系と一言でいえど、メタルっぽかったりR&Bぽかったりと、幅広い音楽ジャンルのバンドが存在するのだということを改めて痛感。
2020年4月に予定されていた次回イベントが延期になってしまっていますが、次回を楽しみにしております。

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