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ハリーポッター翻訳チャレンジ⑪ まさかのクィレル

時間を置いたらまた久しぶりにハリーポッター翻訳チャレンジをやってみたくなりました。

前回までは立て続けにチャレンジしていたので松岡翻訳に慣れていく感覚があったのですが、久しぶりなので多分また翻訳が下手になっていると思います。

▼前回までのハリーポッター翻訳チャレンジ

※日本語版は15~20年ほど前に読んだっきりで、おぼろげな記憶があります。すでに松岡佑子大先生翻訳の影響は受けていて、潮永翻訳は自力翻訳とは言い切れません。

1巻目「ハリー・ポッターと賢者の石」(原題Harry Potter and the Philosopher’s Stone)の最後の章です。

スネイプ先生が賢者の石を盗むのを阻止するため、ハリーはホグワーツ奥深くの関門を潜り抜けて最後の試練にたどり着きました。しかし、そこにいた黒幕はハリー達が疑っていたスネイプ先生ではなく、いつもおどおどしていたクィレル先生でした。

<英文>
‘I wondered whether I’d be meeting you here, Potter.’
‘But I thought – Snape –‘
‘Severus?’ Quirrell laughed and it wasn’t his usual quivering treble, either, but cold and sharp. ‘Yes, Severus does seem the type, doesn’t he? So useful to have him swooping around like an overgrown bat. Next to him, who would suspect p-p-poor st-stuttering P-Professor Quirrell?’

J.K. Rowling , Harry Potter and the Philosopher's Stone

<潮永翻訳>
「ここで会うんじゃないかと思っていたよ、ポッター」
「でも僕は―スネイプが―」
「セブルスが?」クィレルが笑う。それはいつもの震えた甲高い声ではなく、冷たく鋭い声だった。「そうだな、セブルスならいかにもと思うだろう。巨大なコウモリのごとく突然現れる彼は、実に有用だった。あいつがいて、いったい誰が、か、か、かわいそうな、ど、どもりの、ク、クィレル先生を疑うんだい?」

<翻訳しての感想やメモ>

・松岡翻訳を予想するというよりは、生意気ながら自分の好みのニュアンスで訳してみました。

・eitherが変な位置にあるな……not A either B(AでもBでもない)っぽく訳してみるけど誤訳かも?

・swoop aroundの訳苦しいな……


正解はこちら!


<日本語版>
「ポッター、君にここで会えるかもしれないと思っていたよ」
「でも、僕は……スネイプだとばかり……」
「セブルスか?」
 クィレルは笑った。いつものかん高い震え声ではなく、冷たく鋭い笑いだった。
「確かに、セブルスはまさにそんなタイプに見える。彼が育ち過ぎたこうもりみたいに飛び回ってくれたのがとても役に立った。スネイプのそばにいれば、誰だって、か、かわいそうな、ど、どもりの、ク、クィレル先生を疑いやしないだろう?」

「ハリー・ポッターと賢者の石」松岡佑子 訳

<日本語版を見ての感想やメモ>

・「ポッター、」の呼びかけって確かに日本語だと最初に来る方が自然ですね。英語だとほぼ文末に来るのでそのまま文末に置いてたけど、今度から文頭にも置いてみよー。

・「育ち過ぎたこうもりみたいに飛び回ってくれた」は素直な訳でした。深読みし過ぎた……aroundの「ちょこまか感」「うろうろ感」をもっと大事にすればよかった……。

・next toを英英辞典で引いた時に「in comparison with someone or something」(~と比べて)が出てきたからこれだ!と思ったけど、クィレルは意図的にスネイプにくっついていたんですね。これは普通に本の内容忘れてた。



毎回1章ずつ進んで翻訳箇所を抜粋しているのですが、今回のは選んだ場所が微妙だったかもしれない……。もうちょっと名場面っぽいところとかストーリーが大きく変わる場面を選んだ方がいいのかもしれないけれど、印象に残っている場面や特にセリフは日本語訳を覚えちゃってる可能性が高いというジレンマ……。

あと、松岡翻訳作品以外でも翻訳チャレンジをやってみたいです。できれば日本語版が完全初見の英文で。


▼ハリーポッター原書が好きって話

▼ハリーポッター以外でも役立ちそうな英単語と、ハリーポッターにしか出てこなさそうな英単語


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