乳がん発覚の経緯②:大学病院での針生検(組織診)と細胞診

先週の投稿の続きです。

2020年11月9日に乳がん検診で腫瘍が認められたため、3日後の11月12日、大学病院での針生検を受けにいきました。行きの電車のなかで乳がん体験記を読み、どういうことをするのかということをざっくり頭に入れておきました。

予約が13:30で、初診の手続きもあるからと時間に余裕を持って向かったら12:50頃に病院に着いてしまい、どこかでコーヒーを飲んで時間をつぶそうかとも思ったものの、お昼どきでお店は混んでいるだろうから、病院の待合室で待とうとそのまま受付を済ませたら、13:00にはもう診察室に呼ばれました。

先生は乳がん検診のときと同じA先生。一見20代に見えるほど若い男性医師です(実年齢はいまだに知らない)。

まず今日やる検査の内容について先生から説明を受け、その後看護師さんに採血をしてもらいました。

それから検査室に移動し、乳腺エコー。技師さんがエコーをあてながら何枚も写真を撮っている間、私も横になった状態で眼球を思いっきり右上に向けながら、右の頭上にあるモニターを見つめていました。もしがんなのだとしたら、自分の目でもちゃんと見ておかなくちゃなあと思ったためです。

検診で特に何も指摘されていない右側にも、何かしら嚢胞(のうほう)のようなものがあるようでしたが、おそらく小さくて問題がないもので、右側は結構すんなり終わりました。

左側は、まず脇の下に、”みょうが”のような形をした明らかに大きな黒い影があって、その部分をエコーの角度を変えながら何回も撮っていました。

脇の下の後、乳房を見ていくと、乳首の左側(外側)に腫瘍があり、こちらは”大福”のような黒い楕円形で、技師さんはこちらもエコーの角度を変えて何度も写真を撮っていました。その腫瘍以外の部分も、時間をかけて丁寧に見ていましたが、おそらく他にも腫瘍がないかを確認していたのだろうと思います。

この間おそらく20分くらい。寝た状態で、絵のモデルのように腕をずっと上に上げていたのですが、その体勢が地味につらく、検査が終わって「はいお疲れさまでした」と言われたときには、左腕が固まって動かせなくなっていて、右手で左手を持ち上げておろしました。それだけ普段、腕を上にあげることをしていないのか、と驚きました。

乳がんの場合、周りの組織に浸潤していない「非浸潤がん」の場合は、きれいな円や楕円に写るそうです。私の場合、黒くなっている腫瘍部分の境界があいまいだったりガタガタしているように見えたので、まわりの組織に浸潤している「浸潤がん」なんだろうなと思いました。それを検査技師さんに聞いても「先生に聞いてください」と言われる、と体験記には書いてあったので、私はそのまま大人しく黙っていました。


終わってからまた診察室に戻り先生と話したあと、いよいよ生検です。「針生検は痛い」ということをどこかで見聞きしたことがあり、事前に知ってしまうと余計にこわくなるかと思い、針生検については詳しくは調べませんでした。行きの電車で読んだ体験記で、うっすらと「こんな感じのことをやる」という程度の知識で臨みました。

この日は正確には、乳房は針生検(組織診)、脇の下は近くに神経がたくさん通っているので神経を傷つけないよう細い注射針で行う穿刺吸引細胞診(細胞診)を行いました。

詳しくはこちらなどを。


上半身の服を脱いで診察台に横になり、最初は穿刺吸引細胞診(細胞診)から。注射器のようなものを脇の下に刺し、腫瘍部分の細胞を採取します。ちくっとはするけれども、採血のときくらいの痛みです。

続いての針生検は、まず局所麻酔をし、皮膚を3~5mm切開。そこから生検の針を入れ、エコーで針が刺さっていくのを映しながら、腫瘍部分の細胞を採取するという流れです。

ということでまず麻酔。ちょっとちくっとしたあと、鈍痛とともに針が入っていく感覚がありました。どんな麻酔でも、麻酔の注射ってだいたい痛いんですよね(涙)。

でも、その後の皮膚切開のときにはもう痛みはなく、生検の針を入れたときにも「押される感じがありますよ」と言われたまんま、押される感じはあったものの痛みはありませんでした。

私は採血のときに、針が自分の皮膚にプスッと刺さるのを見ていると、下腹部がすくむ感じがするので、針が自分の内部に入っていって、腫瘍にささるというエコーの画面は怖くて見られず、ずっと天井を見ていました。

そのあとが針生検のハイライトです。針生検で使う針は「ばね式」になっていて、「バンッ」とピストルのように撃つと、細胞が採取できるという仕組みです。

その「バンッ」と撃たれる瞬間が怖いなあと思っていたら、実際、本当に「撃たれた!」という感覚で、痛みはないけど結構な衝撃があって、乳首にもぴりぴりっという刺激が走りました。

「大丈夫、生きてる」と思ったのもつかの間、それを4回!

目を瞑り、吐く息を長くして乗り切りました。痛くはないから、なんてことはないのだろうけれども、「撃たれる」というこれまで体験したことのない怖さでした。


無事に組織採取が終わって服を着たあと、

「結果が出るのは2週間後です。それまで悶々としてすごすことになるかもしれませんが……」

と先生に言われて、

「本当にそうですよね」

と思わず笑ってしまいました。普段通りに過ごしても、悶々と過ごしても、同じ2週間だけれど、私はきっとものすごくあれこれ考えて悶々と過ごすだろうなと思ったのです。

この時点ではまだ悪性かどうかわからず、良性の可能性もあるわけですし、前回の記事でも書いたように、乳房の腫瘍は1.5cmとそんなに大きなものではないわけで、悪性であったとしても初期の部類に入ります。

ただ、その時点で一番心配だったのは、リンパ節の腫瘍でした。がんがリンパ節に転移しているということは、他の臓器にも転移している可能性があります。乳房の腫瘍が小さくとも、他の臓器に遠隔転移が見られれば、一気にステージ4となる可能性があるということです。

そんな不安と、針生検の衝撃も残っていて、先生に質問するほど頭の中が整理されていなかったので、次回の結果を聞くための予約をしてその日は病院を後にしました。


終わったのは15時頃で、病院を出てすぐ近くの薬局に処方箋を持っていて痛み止めをもらい、その場で飲みました。針生検の切開部分の痛み止めです。

「先生が1回目は2錠飲んでもいいといっていたのですが」と薬剤師さんに言うと、「それでしたら最初に1錠飲んで、40分くらい経っても痛みがひかなかったらもう1錠飲むほうがいいですね。それ以降は5~6時間間隔をあけてください」と言われたので、素直に従いました。

食事をしたのが10時くらいだったので、遅いランチにラーメンを食べながらも、頭のなかにはずっと乳がんのことが渦巻いていました。

帰宅してそのままソファーに座り、大相撲中継を見ながら途中少しうとうし、なんだか動く気がしなくて、結局その日は4時間近くそのままテレビを見ていました。現実離れをした感じで、お酒を飲んでいるわけでもないのにぼーっとしていて。


あらためて自覚症状はあったかな?と思い返してみると、たしか半年くらい前に、結構長い期間、左胸の下側の外側が痛いことがありました。その痛みは「つれる」という感じで、そのときに「乳がんかも?」と思い、ネットでいろいろ調べてみましたが、閉経期には乳房痛があるという説明があり、もしかしたらそういう時期なのかなと思って、そのままほっといたらいつの間にか痛みはなくなっていました。そのときも散々乳房をさわって、しこりがないか確認したのですが、まったくしこりらしきものはないし、皮膚がただれたりなどの見てわかるような症状もなかったので、まあ大丈夫だろうと思っていました。

あとは生理前のときのように乳房がはったりとか、生理が10日以上続いたりとか(これは後から違う原因だとわかる)、左腕の力こぶの部分に局所的な痛みがあったりとか、という症状もありましたが、とにかく胸をさわっても何もないから大丈夫と思っていたので、「さわってもわからない場所に腫瘍がある」ということ、さらにそれがすでにリンパ節に進んでいるということが、今回一番の驚きでした。

このときは「どうしてもっと早く気付かなかったのだろう?」「どうすればもっと早く気付けたのだろう?」という心理状態になっていましたが、気づくタイミングが早いかどうかよりも、「がんになる生き方を長らく続けてきたからそうなったのだ」ということには、このときは考えが及んでいませんでした。

次回は診断結果の告知について書きたいと思います。



サポートいただけたら跳ねて喜びます!そしてその分は、喜びの連鎖が続くように他のクリエイターのサポートに使わせていただきます!