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ちっぽけな存在であっても、今、できることはたくさんある

数年前、六本木にある俳優座の公演のチケットを購入しようとしたら、演劇ワークショップの案内がありました。合わせて申し込めばお芝居のチケットも安くなるので、まあいっかと気楽な気持ちで参加しました。

当日行ってみると、夏休み期間中ということもあって、30名超の参加者のほとんどが、高校や大学の演劇部とか、役者を目指しているという若い人たちでした。ある程度の年齢以上の人は数えるほどで、おばちゃんはだいぶ肩身がせまかった。。。

最初に実際の稽古を見させてもらい、そのあとは舞台に出演する役者さんたちと一緒に、演出家の方がリードをしての、ワークショップでした。

これがなにしろ楽しかった!!
イケメン俳優さん、美人女優さんたちが一緒に参加してくれるだけでなく、演出家の方のリードもおもしろくて、目をキラキラさせた若い人たちといっしょにだいぶ弾けたおかげで、筋肉痛になるほどでした(笑)

そのなかでも、もっとも印象に残ったワークが、「YES」と「NO」のワーク。2人一組となり、どちらか一人は「YES」、もう一人は「NO」のセリフしか言わずに寸劇を続けるというものです。

ひとつのセリフでどれだけ演技ができるのか?と半信半疑でやってみると(私は「NO」役でした)、意外にも一言を発するのにも、たくさんの言い方ができます。

どんな心持ちでその「音」を出すのか。
相手に向かっていう場合や自分に向かっていう場合など状況も様々。
大きなジャスチャーをつけたり、目線や表情、姿勢で気持ちを表したり。

そういういわゆる「表現ミックス」は、いくらでもバリエーションがあり、その組み合わせによって、ストーリーが編まれていくのだということがわかりました。

最初はそのワークを2人一組でそれぞれやっていたのですが、そのあと何組かがみんなの前で発表することに。

なかでも一番おもしろかったのが、女優さんのお1人が「YES」の役をやったときです。最初は満面の笑みで、相手役のご機嫌をとるような感じで「YES」のセリフを繰り返していたのですが、あまりにも「NO」役の人がつれなくて、けんもほろろにされるので、どこかでスイッチが入ったようです。

突然、「YES,YES, YES YES YES!YES,YES, YES YES YES!」とチアリーダーのようにぴょんぴょん飛び跳ね、足を蹴り上げながら、笑顔で歌い始めました。それを続けている女優さんの姿を見て、むすっとしていた「NO」役の人も、最後には根負けして笑い出していました。

その他、どの組の発表も、想像の斜め上をいく、創造性溢れる表現を見せてくれて、涙が出るほど、腹を抱えて笑いました。「ああ、人はこんなにも、表現の力と手段を持っているのだ」と、その豊かさに心から感動しました。


今日、こちらのnoteで紹介されていた「Lockdown」という詩を読んで、そんなふうに人々が持っている力を思い出しました。すばらしい詩なので、ぜひ読んでみてください。

今をどう生きるのか、その選択に目覚めよう
今日、呼吸しながら
パニックの騒音をやり過ごしたところに
鳥のさえずりが聴こえている
空は晴れ渡っている
春はすぐそこまで来ている
そして私たちは、いつだって愛に包まれている
たとえ、街の真ん中の広場に人気がなくなったとしても
心の窓を全開にして
歌え

私たちは、この世界的な騒動の前に、自分たちがどれだけちっぽけな存在かということに改めて直面しています。

だけど、ちっぽけな存在であっても、できることはたくさんある。
たとえば、この図の右側の「成長のゾーン」のように。

この図は、心に迷いが生じたときに、自分をニュートラルな存在に戻してくれる護符のような存在になってくれそうです。

誰かを否定したり、不安を増幅するために私たちの豊かな表現力を使うのではなく、大切な人たちを守るために、お互いのかけがえのなさを尊重するために、心から人々の力を信じて、一緒に創造性を体現していきましょう。

それは、おそらくどんな小さなことでもいいと思います。
例えば、誰かに笑顔を向ける。「それいいね」という。家族で一緒に歌う。笑顔で踊る。言葉をのみこんでいつもより人の話に耳を傾ける。営業しているお店の店員さんにありがとうをいう。宅急便を持ってきてくれるドライバーさんにマスクを渡す。家の近くのごみをひろう。家のなかを昨日より少しきれいな空間にする。よく寝てよく笑う。

私たちは小さい創造性を集めて、大きな回復の力に変えていけるはず。「スイミー」のように。

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