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FLOWERPOWERの徒然草「色の夢」

学生時代に誰かが教えてくれたのだけれど忘れてしまった。夢は眠りが浅い時に見るのだったか、深い時に見るのだったか。

今回は、私が一年に一度…いや、半年に一度くらいかもしれないが、幼いころから定期的にみる夢の話をしたいと思う。

色の夢の話

私は宙に浮いているようだ。
休みに入りだれも出入りしなくなった校舎の中。ひんやりとした小学校の教室のような四角い部屋を斜め上から見下ろしている。

生徒たちの机はなく、中央に向けて10脚ほどのパイプ椅子が丸く並べられている。

5秒かもしれないし、15分かもしれない。もしかしたら1時間経っているかもしれない。私はしばらくその教室を眺めている。
向かい側の壁には扉がある。その扉の向こう側は廊下になっていると想像する。そんなことを考えていたら扉がガラガラガラと音を立てた。

赤いボーダー柄の長袖シャツに膝下までの赤いスカート。そして白いハイソックスに白い上履きを身に着けた高学年くらいの女の子が直角に曲がり部屋の中に入ってくる。顔は、何かの本で見たことのあるアンネ・フランクにそっくりだが笑ってはいない。無表情だ。
次に青いボーダー柄の長袖シャツを着た男の子。この子も直角に曲がって部屋に入ってきた。半ズボンも青い。そして白いハイソックスに白い上履きを履いている。顔は30年前に公開された名作映画、ネバーエンディング・ストーリーで主演を務めたバレット・オリバーを思い出させるがこの子も真顔である。
続いてまた1人男の子が入ってくる。ボーダー柄は黄で半ズボンも黄。その他、顔も含めて青い男の子と同じ。
次は緑の女の子。その次は茶の男の子。次はオレンジ。次は紺、紫、灰、そして白。男女半々で様々な色のボーダーシャツを着た子供達が椅子を埋めた。

全員向かい側の子をじっと見つめている。鉄の柱でも入れているかのように背筋がまっすぐ伸び顎を引いている。瞬きもしない。
自分の唾を飲み込むことさえ慎重になるほど室内は静まり返っている。

やはりどのくらいの時間が経ったかはわからないが、青い男の子の腕だけが動き、両手でA3サイズほどの紙を持ち両腕を耳につけまっすぐと高く上げた。

「これは何色ですか?」

静まり返った室内の空気が少しだけ動いたような気がした。
隣の席の赤い女の子が視線を移すこともなく「青」と答える。
その隣の男の子も「青」と言う。
その向かい側に座る緑の女の子も「青」と答えた。

青い男の子はその答えに反応もせず、スッと両腕をおろす。
次は緑の女の子が両手で頭の上に紙を広げてこう言う。

「この色は何色ですか?」

「緑」と茶の男の子が言う。
紺の子もオレンジの子も「緑」と口を揃える。

緑の子が腕を下げたその時、1番最後に部屋に入った白いシャツの男の子がスッと立ち上がり、円の中心で話し始める。
この子はボーダーシャツではない。が、もしかしたら白いボーダーなのかもしれない。だとしても下地と同化していてわからない。

「僕も皆と同じように青色に見えたし、緑色に見えた。ところで、僕が見た青色とみんなが見ている青色。僕が見ている緑色とみんなが見ている緑色。それが同じ色だというのはどのように証明できる?」と言い出す。
そして赤い子を指差しながら続けた。
「僕が見ている青色は君に言わせると黄色かもしれない。逆に言えば僕は君が言うところの黄色を青色という名前で認識しているかもしれない。」

その時、青い男の子が口を開き、「例えば、空の色は青だ。皆同じ青に見えている。」
すかさず白い子が口を開く「君の見ている空の青色は僕にとっての赤色かもしれない。黄色を青色という名前で憶えているだけなのかもしれないよ。」
青い子がさらに続く「りんごを紫に見ている人がいるかもしれないというのかい?」
白い子が答える「ああ、君が見ているりんごの赤色はもしかしたら紫色なのかもしれないよ。」

誰も口を開かなくなり少し時間が経った。

赤い女の子が話始める。「確かにそうね、私の見ている赤はあなたにとって青かもしれないし、緑かもしれない。葉っぱの色は緑というけれど、もしかしたらその色を緑と呼んでいるだけで違う人にとっては他の色に見えているのかもしれないわ。」

その声に白い子が答える。「そう、もしかしたら僕たちはそれぞれ違う色を同じ名前で呼んでいるだけかもしれないよ。」

口を閉ざしていた紫の子が話す。
「でも色には印象がある。例えば黄色は危険な印象。少しとがった感じがする。形でいえば三角だ。そして青は丸くて、赤は四角い。」

その発言を聞いて一同笑いだす。そして灰色の子が言う
「それこそ主観だよ。僕には赤が四角という印象はない。」
僕もそれはない。僕も私も。と続く。

そして白い子が言う。
「つまり正しい色なんてないんじゃないか。逆に言えば、どんな色でも何色にでもなれるということだ。」

シュトラウス

夢の長さ

この夢を見ることがある。しかし、幼いころ見たこの夢と、最近みたこの夢は長さは違う。
今は「どんな色にでもなれるということだ。」まで話は進むが、幼いころはもっと手前までしか見れなかった。

もしかしたらまた半年後、違う展開になっているのかもしれない。

私は花の仕事をしているので色といえば花たちを思い出して考える癖がある。
植物には茎、葉がありそれのほどんどは緑だ。緑は暖色でも寒色でもない、中間色。色と色を合わせる時にこの緑がそれぞれをなじませてくれる。だから花は様々な色を混ぜてもかわいく仕上がりやすい。

しかしもしかしたら茎と葉の緑は緑ではないのかも知れないが、、

それにしてもこの夢の話。もし各々が実は違う色で世の中を見ているとしたら。
貴方の空は青いけれど、私は緑色の空なのかもしれない。あなたにとっての信号は私にとっては、茶色、紫、オレンジなのかもしれない。まさに世の中はアートだ。
そんなことを考えていると、何かとても大きな可能性を感じる。不安よりも期待の方が大きい。

これは固定概念に振り回されるな。というお告げなのだろうか。

また続きに出会うことがあれば、その内容は報告する。

そしてこちら(↓)は、、何色だろうか…
ケンナオコさんInstagram

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