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週末の出来事

心の整理をするために筆を執った。
祖母が亡くなった。89歳だった。
通夜、葬儀ともにとてもいい式だった。家族葬だったが訃報を聞いた近所の人達が駆けつけてくれ、空席は疎らな状態だった。
たくさんの人が祖母を見送ってくれた。誰が話す思い出話もいい話ばかりで、祖母の人徳を感じさせた。
驚いたのは、入所していた施設の職員様と代表の方が弔問してくれ、お花まで用意してくれたことだった。最期まで手厚くしていただき感謝が尽きない。
私は離れて暮らしていたのでコロナ禍が始まってからは特に、祖母に元気な顔を見せることもできなかった。
感染症が流行る中、介護する家族の健康面も考えながら支えてくれたケアマネ様に直接お礼を言うことができた。施設の方と連れ立って弔問してくださり感謝が尽きない。
聞いた話では、介護の仕事をしている方が弔問に行くことは珍しいことらしい。個人的に行きたくなるような祖母の人徳を再確認した。
施設の方曰く、祖母は体調が悪化し病院に向かう車の中で「桜がとてもきれい」と呟いたそうだ。到着した病院で帰らぬ人になったが、桜並木の近くの斎場から旅立たせることができた。
会場では紙の遺影とともに、デジタルの遺影が飾られていた。故人の画像は固定だが背景が四季折々のものに時間経過で変化する仕様だった。雪の積もる南天(冬)から快晴の桜(春)に移り変わるのは粋な演出だった。
祖母の遺影は満面の笑みを浮かべてきれいな着物を着ているものだった。祖母らしい笑顔の写真。どうやら施設の方で、着物を着て写真を撮るイベントが開催されていて、そのときに撮った写真とのこと。本当に施設の方には感謝が尽きない。
10年前に亡くなった曾祖母の遺影は私の母の結婚式のときのものだったので、20歳若い写真が採用されていた。90歳を目前に、持病を抱えながら不自由をしつつも微笑む祖母の写真は「いまが一番若い」と言っているようだった。

祖母は生前「ありがとう」が口癖で、身内にも近所の人にも介護職員にも常にお礼を言っていた。
そのエピソードを受けて、葬儀屋さんからお花を頂いた。「感謝」が花言葉のダリア。粋な演出でこの業者に任せて良かったと思った。
祭壇の花にはカーネーションがあることに気づいた。少し早い母の日に、ということだろう。

火葬には90分ほどかかると葬儀屋さんから聞いていたが実際の所要時間は30分ほどだった。ド田舎の火葬場だが最新の設備で火葬時間を短縮しているとのこと。かがくのちからってすげー。
私は通夜と葬儀の受付と骨箱の運搬を任された。ただでさえ小柄な祖母はお骨上げのあと、たいへんコンパクトになった。その重みを忘れることはないだろう。
お坊さんの話と火葬場の方の話がリンクする。これから冥土へ旅立つため現世に体を残してはいけない。そう言われると火葬に納得できた。

訃報を聞いてから寝付きが悪い。
暴飲暴食が止まらない。
涙は出なかったが生活の乱れから自分の動揺をひしひしと感じている。
四十九日までにはコンディションを整えたい。

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