5分小説 『どうしようもないふたり』
「結局ふつーの恋愛ができるのは、ふつーの家庭で育った人だけなんだろうな」
部活終わりに忘れ物していたことを思い出して教室に戻ったら、薄暗い中でスマホのブルーライトを浴びているクラスメイトがぽつりと溢した。
それが一人言なのか、同意を求めて放ったものなのか判然としなかったから、俺は佐々木の脇をすり抜けるようにして自分の席へ向かう。
「津山もそう思わない?」
机の中に置き忘れていたパスケースを掴み、立ち去ろうとする俺に再度言葉を投げかけてきた。
ああ、やっぱり同意を求