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レース戦略の黄金比 前半:後半=10:11

前回の投稿で予告していた内容と異なりますが、これからレースが増えていく時期なので、レース戦略の一つである目標ラップの設定についてご紹介したいと思います。

タイトルにある通り、レースの前半と後半のタイム比が「10:11」のときベストを更新する確率が高いです(FLOW STYLE のレッスン受講者調べ)。後半÷前半=1.1なので「ラップ比1.1の法則」と呼んでいます。スイムレコードのサイトからトップ選手がどのようなラップ比で泳いでいるか調べるのもおもしろいです。そして自分のベストタイム時のラップ比も把握しておきましょう。

例)短水路50m自由形42秒なら、前半20秒・後半22秒(1.10)が黄金比
バタフライは1.10~1.15、背泳ぎは1.05~1.10と少し変わってきます。

1.05より低いと「消極的過ぎ」、1.15より高いと「積極的過ぎ」or「後半落とし過ぎ」と評価し、次のレース戦略に生かしています。

では50m自由形44秒の選手が、前半20秒後半24秒で泳いだとすると、24÷20=1.20となります。この選手の課題は「最速スピードの向上」よりも「後半のタイムを上げること」であり、具体的には「ターン動作及びターンアウトの改善」「スピード持久力の向上」などが考えられます。また、乳酸が爆発的増加する40秒を超えているので、意図的に前半の息継ぎ頻度を増やし、テンポを0:50→0:55にセーブした方が力を出し切れる可能性もあります。

1.1の法則は200m個人メドレーの中にも見られ、次の3つを対象とします。
A 前半100m:後半100mのラップ
B バタフライ:クロールのラップ
C 背泳ぎ:平泳ぎのラップ

ベストタイム3分00秒の選手のラップが、
バタフライ38秒
背泳ぎ42秒 
平泳ぎ55秒
クロール45秒 だったとすると、
A 後半÷前半=100÷80=1.25
B クロール÷バタフライ=1.18
C 平泳ぎ÷背泳ぎ=1.30
ここから考察するレース戦略は、
・最も得意と思われる背泳ぎはラップを維持しつつストローク数を減らすことを目標とする。42→42
・最も苦手と思われる平泳ぎは現状のストローク数を維持したままタイムを上げることを目標とする。55→52
・バタフライはストローク数を減らし、タイムを維持するか+1秒まで落とすことを許容する。38→39
・クロールはキックを中心とした持久力トレーニングでタイムを上げる。45→43
・39+42+52+43=2分56秒が目標(4秒ベスト更新)
・A1.25→1.17 B1.18→1.10 C1.30→1.23
最終的には平泳ぎのラップが50秒になるとさらに黄金比に近づきます。

「得意な種目をどんどん伸ばす」「前半から積極的にいく」これらも戦略の一つですが、その「程度」を決めておく必要があります。息継ぎ回数を減らしすぎたり、テンポが速すぎたり、ストローク数が多すぎると、そのシワ寄せが後半にやってきます。逆に守りに入りすぎて力を出しきれずに終わっても後悔します。目標とする泳ぎには、ラップ(タイム)だけでなく、ハイポ・テンポ・ストローク数もセット考えておくことをおすすめします。

動画から次のレースの戦略をアドバイス→レース戦略研究所

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

四国・高知で水泳の個別指導なら
FLOW STYLE 藤澤ヨシノブ


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