フローあるいは没頭

美しいものに触れたときの気持ちを忘れないために

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人として正しい姿って何? ―朝井リョウ「正欲」感想

長いこと読むか迷っていた、朝井リョウの「正欲」を読んだ。傷を抉られそうな気がして、怖くてなかなか手が出せなかったのだ。 友人が読んだと教えてくれたのがきっかけで、精神状態が健康なタイミングで、思い切って読むことにした。 すごく重たいものを心の中に残された気がする、と思ったが、この重たい感情はもともと私の心の中にあったのだろう。朝井リョウの著書は「何者」だけ読んだことがあるが、できれば目を背けていたいような人間の汚さを、まざまざと突き付けてくる。 そして、突き付けられたからには

    • 忘れられない絵画(「浴女たち」ルノワール)

      私は美術館に行くのが好きだ。 少し肌寒い空調、コツンコツンと響く自分の足音、物音を立てることが憚れる静謐な空間。何年も人に見られ続け、そして人を見つめ返し続けてきた名画たちに囲まれ、背筋が伸びる感覚。 一人で静かに見るのも好きだし、一緒に気ままに見られる人とであれば誰かと一緒に見るのも好きだ。終わった後に感想を話し合うのも楽しい。 それほど頻繁に美術館に行っているわけではないけど、上京してからは興味のある展覧会が開かれているときはできる限り足を運ぶようにしている。 そして

      • 私は働いていないことに耐えられないらしい

        転職に伴う有給消化期間で、丸々1か月の休暇を得た。新卒で就職してから一番長い休暇だ。過去の長期休暇は最大でも10連休程度。こんなに長い期間仕事から離れることは初めてだ。 休暇3週間目にして(薄々5日目くらいから思っていたけど)、私は働いていないことに耐えられない人間であることを悟った。経済的な心配はほぼないのに、日々生産的な行為をできていない焦燥感で苦しい。友人といるときは大丈夫だが、一人でいると自分の内なる声が不安を囁いてくる。 私の感情の推移有給消化期間序盤~抜歯と事務

        • 自分の哲学を持つということ「暇と退屈の倫理学」

          退屈で死にそう。 と、大学生の頃の私のTwitterに、口癖のように頻繁に書かれていた。 退屈。 私は退屈であることに耐えられないタイプの人間であることを自覚している。長時間外出するときは必ずスマホ以外にも暇つぶしグッズ(本、Kindle、iPad、勉強道具など)を用意している。もちろんスマホにも漫画が沢山入っている。 地元にいた子供時代、田舎特有の噂話に辟易としていた。知人の噂話や芸能人のゴシップを話すような人間でありたくない。こういった話は私にとって退屈だ。誰かと話す

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        人として正しい姿って何? ―朝井リョウ「正欲」感想

          自己肯定感アップに。「やったこと日記」をつけよう

          今日も何もできず、1日が終わってしまった。毎日仕事に追われていて、なんだか悲しい。そんな気分が続くなら、「やったこと日記」をつけてみよう。「やることリスト」や「やりたいことリスト」ではなくて、ただその日にやったことを書いていくだけの気楽な日記だ。 やったこと日記の書き方やったこと日記には、その日に自分が「やったぞ」と思うことをなるべく沢山書こう。毎日夜に書いてもいいし、私は週末に一週間分まとめて書いている。できればお茶でも飲みながら、リラックスして。私はこんな感じに書いてい

          自己肯定感アップに。「やったこと日記」をつけよう

          花鳥風月-古伊万里の文様-を見てきました(戸栗美術館/渋谷)

          東京・渋谷の戸栗美術館で開催されている、「花鳥風月-古伊万里の文様-」の展示を見に行ってきました。 ※美術に詳しい人間ではなく、ただ陶磁器や絵画を見るのが好きなだけの一般人の感想です。 お目当ては展示解説。1月と2月に1回ずつ無料の展示解説があるということで、絶対その日に行くぞ!と決めておりました。 3月には有料・要予約のギャラリートークが予定されていますが、すでに残席0で、結構人気な様子。 渋谷駅から歩いて行きましたが、Bunkamuraを過ぎたら急に閑静なお屋敷街に。道

          花鳥風月-古伊万里の文様-を見てきました(戸栗美術館/渋谷)

          バラ冬剪定 ナエマ/ラ・パリジェンヌ

          鉢植えのバラをマンションのベランダで育てています。春と秋に沢山花をつけてくれたバラに感謝しつつ、冬の管理作業を進めています。今週冬剪定、来週土替えを行う予定です。 我が家のバラ紹介ラ・パリジェンヌ(デルバール) 我が家のバラ①、デルバールのラ・パリジェンヌ。2022年の4月に開花苗で購入。放っておいても綺麗に花を咲かせる、手のかからない優等生。開花ごとに花の色が変わっていくのも楽しい。本当に扱いやすくて、初心者におすすめできるバラ。枝が細くても立派な花が咲きます。トゲは結

          バラ冬剪定 ナエマ/ラ・パリジェンヌ

          かつてマセガキだった僕たちへ 「肉体の悪魔」ラディゲ著

          好きな本を1冊だけ挙げるとしたら、私はレイモン・ラディゲの「肉体の悪魔」を選ぶ。理由は、年齢を重ねるごとに、自分の環境や恋愛事情が変化していくごとに、琴線に触れる文章が変わるのが面白いからだ。そして、子供の頃の不自由さや退屈さへの不満を思い出させてくれるからだ。 本書の魅力 -早熟な天才の恋愛観の変化に浸ろうこの本を初めて読んだのは19歳の時だった。センセーショナルなタイトルと、早熟な天才が書いた不倫が題材の自伝的小説、ということで、ドキドキしながら読んだのを覚えている。

          かつてマセガキだった僕たちへ 「肉体の悪魔」ラディゲ著