見慣れない街

福岡に来た。妹の送り迎えついでに目的もなくただ車に乗っている。今は高速で街の上を走っていて、私はただ揺さぶられている。

私にとっての福岡は都会というイメージが強い。自分の住んでいる地域はド田舎もいいところだから、余計に福岡は都会だと思い込んでいる。実際、地方都市なんて言葉もあるくらいだからあながち間違いでは無いはず。多分。

妹の家の近くにはペイペイドームという大きな建物がある。ついさっきもその横を通り過ぎて、首が痛くなるほど見上げるような高さに驚いた。少なくとも、私の町では見ない。流石都会。何もかもがデカイ。

そう、それで、そのペイペイドームの近くに。フレッシュネスバーガーという美味しい食べ物屋さんがあるから寄ってみるか?と父親が言った。私はそのお店の噂をとある相互フォロワーさんに聞いていて、1度でいいから行ってみたいなぁと思っていた。だから迷わず「行きたい!」と声を上げたのだけど、今回は見送りという結果になった。ゴールデンウイークということもあって、近場の駐車料金が1時間いかないくらいで7000円と高額だったからだ。恐るべし都会。

泣く泣く諦めて、妹を無事に送り終えた私は今また車に乗って高速を走っている。所狭しと立ち並ぶ都市群の中を、物珍しさで刺激される好奇心を抱えて辺りをキョロキョロしながらだ。勿論、それを忘れない為にこうやって書き記しながらではあるんだけれど。

ブロックみたいに高く積み上げられたマンションやホテルの細い隙間を真っ直ぐな道が伸びていたり、たくさんの建物の上を幾重にも架けられた橋や高速が弧を描いていたり、だだっ広い漁港にとんでもなく大きな船や漁船がいくつも並んでいたりするのは、その全てを普段見ることの無い私にとっては新鮮味があるように感じる。でもそれは私がそうだからってだけで、ここで生活している人達にとっては特に変哲もない光景なんだろうかとふと思ったり。そう考えると、何気ないものがただ勿体なく感じるような気もしてきて不思議な気分になる。

正直もっと見ていたいし、書いてもいたい。そうは思うものの、そろそろ酔いそうなのでやめることにする。

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