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No.16 深夜の手羽先

以前は煮こごりが無性に食べたくなって作った手羽先の煮物。今回は手羽先が食べたくなって、このド深夜に作っている。材料は前回の約2倍。15本の手羽先と2倍にした調味料を使っている。

前回の自分のレシピを見返した。詳細が書いていないのは多分本当に煮込むだけの時間が多かったからに違いない。それにしてもシンプルな材料と作り方だった気がする。分かりやすいのは助かるけど、シンプルすぎるのも本当に大丈夫なのか心配になってくる。

25分近く煮込んだ手羽先

水と手羽先を煮込み始めた辺りまでは順調だった。時々浮いてくるアクを出来るだけ取り除きながら、煮込むだけ。やることは至って簡単だ。ここまではレシピ通り。

ただその後が問題だった。25分の煮込みを終えて、調味料を追加する。この時が一番苦労した。味付けに必要な調味料は手羽先8本分だと醤油大さじ3、砂糖40g、料理酒大さじ1.5になっている。今日は手羽先も水も2倍近く入れているから、調味料も倍にする必要があるわけで。醤油大さじ6、砂糖80g、料理酒大さじ3の分量。一気に不安。

お椀に入れた砂糖80g

これ本当に大丈夫なんだろうか。砂糖だけでもこの見た目。何となく焦ってしまう感覚はお菓子作りでメレンゲを作る時に似ている。計量器とレシピを何度確認しても分量は合っているのに、間違っているような気がしてならない何とも言えないあの感覚。

料理の完成形を見る時よりも素材を見る時の方が罪悪感を覚えるのは、どうしてなのか。素材単体で食べることがないから、「こんな量を料理に使っているんだよ」とそのものを見せつけられると怖くなってしまうのかもしれない。体重を気にする私にとって、砂糖というのは「夢中になってしまう美味しさ」と「太ってしまうかもしれない恐怖」を天秤にかけている。

とはいえ変に怯えてしまって不味くなっては勿体ない。ここは過去の自分を信じて分量を2倍にしよう。信じる心が大事なんだと誰かが言っていたし、例えその信じる相手が自分であってもここで信用しなければ全てが水の泡になっては意味が無い。どちらかというと水より脂の割合が大きいけれども。

1時間近く煮込んだ手羽先

そんなこんなで当初予定していた時間よりも多めに煮込んでしまった手羽先は、すっかり食欲をそそる色が染みて良い感じになった。煮込みすぎて熱々になってしまったことだけが悔やまれる。流石にこの時間に平らげようとは思っていないから、食べない分は粗熱をとって冷やさなければならない。冷やすにも時間が必要で、私はもう暫く台所に縛られることになるんだろう。

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