嫌いになれない

夜の時間は何もすることがなくてとんでもなく長いから、ふとした拍子に思うことがいくつもある。今日はそのうちのひとつについてを書くことにした。

そういえば、と思っただけの話。私って誰かを嫌いになることがあまり無いような気がする。そりゃもちろん嫌いな人もいないことはないんだけど、嫌いな人だから意地悪しようだとか、そういうのが無い。関わりたくないなと思うことはあるけども。

父親や祖母みたいに根本的に合わなくて嫌いだ!って人もいないことはない。でもその他の苦手な人と言えば、何かしら過去にトラブルが起きて苦手になってしまった人が大多数だということに気付いた。例えば、未成年飲酒を勧める薬剤師。言っちゃ悪いけどかなりアブノーマルな嗜好を突きつけてきた元彼。言い訳ばかりで話が全く進まない年上の女性。私からのお金が無いと生きていけないと言っていた14歳の女の子。うーん、そりゃ手を焼くな。私は比較的受け入れられていた方だと思うけど、文字にしてみると意外と難易度が高そうに見えてきた。

少なくとも今は苦手意識が強いから出来れば二度目はお会いしたくも関わりたくもないぞ…と思うのだけど自分でも驚くことに苦手意識があるだけで「嫌い」という感情までは行き着いていない。なんでだろう?そう考えて、ひとつのことが思い浮かぶ。多分、彼らと関わっているその時は楽しかったからだ。

いくら今の私が受け入れられないとはいっても、その時が楽しかったのは覆しようがない事実だし、私はそれを良しとしていたはず。それがいつからか耐えられなくなってしまったというだけで、その時は確かに受け入れられていたはず。だから、もしかしたら。未だに私が彼らの夢を見るのは、楽しかった頃を懐かしむ気持ちが残っているからなのではないか?──なんて。

そう思ったりするだけで、実際のところは分からない。それを思うだけで今更変えられるものでは無いし、変えたいとも思わない。ただあの居心地の良かった時間が無くなってしまったのはほんの少しだけ惜しいような気もするし、耐えられなかった私が悪い訳では無いような気もする。誰が悪いとかは多分なかった。ただ、ちょっとだけ思うのは、それを「裏切られた」の一言で終わらせるには勿体ないなということ。私は誰に裏切られた訳ではないんだと思う。強いて言うなら、私が勝手に裏切った。そう思えるだけのことをどこかでしてしまったに違いない。なんとなく、そんな気がしてる。

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