7 自分の気持ち、知ってる?言えてる?


はじめに(チームより)


 フローレンスは、親子を取り巻く社会課題の改善を目指しているNPOで、現在、約数百名が所属しています。多様なメンバーの「働く」を支えているのが、法務・総務業務を主に担っている通称「オペレーションズ」です。
メンバーは、普段は現場で働く保育スタッフや、特別支援学校を卒業して入社したスタッフなど、色とりどり。

 バックオフィスの仕事現場やその思いを、個性的なメンバーがリレー形式で紡ぐ言葉から感じ取っていただければうれしいです。



「チェックイン」


フローレンスのミーティングでは冒頭に「チェックイン」を取り入れています。
これは、ミーティングを始める前に、自分の今の状態や、自分の最近に起きたことなどをメンバーに共有するための時間として5分から10分くらい行っています。

経営会議のような、代表やディレクターが集まる会議でも導入しています。

こうした時間をとっている理由は、あくまで「仕事は人がするもの」というのがすべての基本であって、チームのコンディションを把握することなしにチームワークを構築することはできないと考えているからです。


「仕事は人がするもの」がすべての基本


会社が大きくなると、所属している従業員は「労働力」として換算され、数字で管理されることもでてくると思います。
しかし、あくまでもそこにいるのは人です。

当然、人なので、調子のいい時、良くない時があります。
また、その理由も様々です。

ちょっとしたことで上機嫌になれる人もいれば、その反対の人もいるでしょう。そして、そうしたコンディションの変化は、日々の仕事にも必ず影響してくるものです。
普段ならなんてことなくこなせている業務でも、今日に限ってはどうしても手が付かない、普段の職場が騒がしく感じて集中できない…そうしたことは、誰にでも起きることです。

ただ、職場においてはそうした小さなコンディションの変化は、ある種タブー視されていた部分もあったかもしれません。
出社していれば、いつもどおりのパフォーマンスを発揮することが当然であるかのように捉えられる職場も、数多くあるからです。
多くの会社にとって、人の評価はある期間(人事評価の対象期間 等)は一定であると定義されていることが多いでしょう(まあ、そうするしかないからなのですが)。

しかし、本当はそうでは有りません。そして、多くの社会人が、自分のちょっとしたコンディションを開示しないまま、働いているのではないかと思います。

フローレンスは全然違います。


ほとんどの新入社員が戸惑う「自分の状態開示させまくり会社」



フローレンスは、とにかく自分のコンディションや個人の引き出しを周りに「開示したいと思う」ときにそれをチームで受け入れることを大切にするメンバーで構成されています。

そこには数多くのタブーを気にもしないスタッフの動きが存在します。
例えば…

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・集中して作業をしたいときに「ひきこもります。探さないでください」とグループウェアに予定を書きこんで、クローズドなスペースに入って作業をする(イヤホンで外部とのコミュニケーションをシャットアウトして)
・上司からの質問に「ちょっと落ち着けてないので、この件は明日考えます」と返信
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スタッフはこうした自分の状態を都度当たり前のように周囲に共有して、メンバーに知ってもらう+メンバーのことも知る、ということが繰り返されています。


こうしたカルチャーは、入社した人はみんな一様に戸惑うようです。
私もそうでした。
あまりにみんなが「いや、それ会社で言っていいの?」というようなことを言うので、マジ!?と思うことが最初の半年くらいは続きました。
『雨が続いてて元気が出ないので、やりためていたリサーチ作業します』という表明も聞いたことがあります)
でもそのうちに自分でも「知ってもらっていいんだ」ということに気づいて、上に書いたような予定(『ひきこもります。探さないでください』)を自分でもセットするようになりました。


同時に、もう一つのことに気づきました。


自分の気持ち、コンディション、知ってる?


もう一つ気づいたこと、それは
自分のコンディションというのは、思いのほか自分ではわからないもの
ということです。

私自身が、多少しんどくても「大丈夫です!」「大丈夫です!」と言い続けているうちに、自分がしんどい状態を表現できなくなった時期がありました。
「まだ無理できるから大丈夫」「明日には回復しているから大丈夫」「腹落ちしきれてないけど、そういうものだから気にしない」などと考えているうちに、自分のしんどさを「どう表現したらいいんだろう?」と真剣にわからなくなってしまっていました。
当然、そんな状態だとミスも増え、忘れることも多くなります。
でも周囲に自分のコンディションを言えていないもんだから、組織として業務分担を再考したり、思い切って休みをとることを勧められる、ということは当然なされないままでした。

(今でも『かかえこみすぎる』と言われています…)


私以外にも、多様なメンバーが働くようになったフローレンスでは、自分が今どんなコンディションなのか、普段どおり働くことができる状態なのかを、うまく表現できないスタッフもいます。
明らかに集中できていない、能率が落ちている、という状態でも、それを「今は~~が原因で集中できていないので、環境を変えて仕事をしてもいいか/今日は早退してもよいか」などと表明するのは、コミュニケーションに慣れていないスタッフにとっては、ハードルの高いものだったりします。

お互いのコンディションを共有しあって、メンバーが心地よく働けるようになればいいと思えば思うほど「今、どんなきもち?」と自分に問いかけてみて、それを言葉にするのは、大変難しいことだと思い知らされています。

だからこそ、私達はトライし続けていこうとも思っています。
落ち着いて、自分の気持ちに向き合える時間を大切にする。
みんなが違う状態で働いているのが会社なんだ、ということを忘れないでいることが、同じビジョンに共感して多くの人が集まるフローレンスに大切なことなんじゃないかなと思っています。

フローレンスでは、そんなスタッフ間のコミュニケーションに、いつでも立ち戻れる指針をつくりました。


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2004年の設立以降、フローレンスの事業は7つに増え、人数も700名近くと、非常に大きな組織になりました。更に、新規事業も複数立ち上がっています。

事業も職種も人のタイプもより多様性・複雑性が増す中で、「情報はたくさん流れてくるけれど、前提が分からず理解できない」「横文字の意味を調べるところから始まる」「伝え方が一方的で冷たく感じる」…と、コミュニケーション面での齟齬を感じる声を、多く聞くようになってきました。

そこで「さらに新しいことに挑戦をし、大きな組織になったとしても、ありたい私達でいられるためのコミュニケーションの指針が必要なのではないか?そして、その指針は皆さんと一緒に作りたい」というコンセプトのもとにつくりました。


子どもがお手本


フローレンスの保育園「みんなのみらいをつくる保育園」では、こうした自分の気持ちに目を向けて表現することを、日々の保育に取り入れています。

「みんなのみらいをつくる保育園」の子どもたちは、朝登園したら自分の気持ちに近い感情カードを選び、その気持ちをみんなに話してもらいます。

その様子はこんな感じ ↓

https://florence.or.jp/news/2016/12/post13955/


こうした自分の気持ちに向き合う取り組みによって「自分と他の人は違う」ということを体験的に気づくような、多様で互いを認め合う社会づくりのモデルです。

園の子どもたちは、私達にとって最高のお手本です。大人(フローレンスの事務局)でもやったほうがいいんじゃないかな?と考え始めている今日この頃です。


さっそく今日は、昨日あまりちゃんと寝られなかったからか、いまいちご飯を作る気分にならないので、外食にしようと思います。


家族にLINEで表明します。


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