イーロンマスク 下 connecting dots

先週の海外出張の帰国便で上巻を読み、今週末で下巻を読んだ。

異次元の拷問を自分に課しているという本人の言葉にある通り、トラブルの渦中に身を置きながら、その混乱の渦が広告塔となって世の中を動かしていく事が臨場感を持って伝わる。
同じタイプのステーブジョブズの名言であるconnecting dots をマスクは地でいってる。
その瞬間瞬間で様々なやりたいことに手を出し、それら一つ一つに対して集中的に徹底的に挑み(その渦中の職場に寝る習慣)を繰り返してるが、いずれ、それら一つ一つのdotsが繋がってより大きな事を成し遂げるように思う。
Twitterから得られる人間のコミュニケーション情報、テスラからの物理的な情報、ニューラリンクからの人体神経伝達情報、これらの情報をスペースXで宇宙からの通信で統合していき、とんでもないデータ帝国を生み出すのではないか?このデータ帝国とAIとのコラボが加速度的に進化することで火星に行けるようなテクノロジーを以外と早く実現させるのでは?そんな夢を持たせてくれる。

一方で、思いつきや勢いに任せて買収したtwitterの話が下巻の中心だが、買収後のTwitterではエンジニア個人ごとのコードを書いた量を洗い出して大量解雇したり、出社義務化したり、異論者を容赦なく切り捨てたり、それまでの文化との衝突を全く厭わずに、荒治療を行うイーロンマスクの人間性が露出される。
日本人の特にいい人ぶるサラリーマン経営者にできないことだが、イーロンの目指すべきところから逆算して考えたら納得はできる。また、経営者が社員をクビにできるアメリカの社会も日本の社会と真逆であるが、個人的には、この方が経済的合理性は高いと思う。

非常に多くの取材と考察を兼ねた事を感じる本だが、現存する人を書く時の課題として勝手な想像を書きにくい点があるが、その中でも著者側の妄想や想像を随所に入れてるところがワンダフル。
例えば:
マスクにとってTwitterは心が恋焦がれる究極の遊び場なのだ。
幼いマスクにとっては、遊び場は殴られ蹴られる過酷な場所だった。
そんなマスクが、ついに、究極の遊び場を自分の手中に収められる日が来たのだ。

あと、Amazonレビューとかで翻訳がイマイチだとかあるけど、まじでくだらない。そんな気になるなら、原文で読め。文学的な作品ではない。事業家としての内容や情熱が伝われば充分。全く翻訳に問題なし。いやむしろちゃんと伝わるので修悦。
日本人みんな評論家ばっかり。で、結局お前は何をするの?そんな意識ない老害ばっか。マスクがその真逆だという事に気付きもしないで呑気に批評してる平和ボケジジイ達。

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