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オタクと巡る台北3日間の旅②

①はこちら↓

 せっかく台湾に来たのだから台湾の朝ごはんを食べたい!! そんなわけで2日目です。


阜杭豆漿

 もともと2日目は6時半に起床して「阜杭豆漿」に朝ごはんを食べに行く予定だったのですが、食事よりも睡眠を選んだAちゃんとYちゃんが早々にリタイア。私とMちゃんだけで行くことになりました。ちなみに私たちはアラームも鳴っていないのに5時半に起きました。Aちゃんに老人会って言われちゃった。

 一時間で準備を済ませ、中山駅から善導寺駅へ。駅を出てすぐ目に入ってきたのはずらりと並んだ行列。もしやこれが阜杭豆漿の列……? フードコートは二階にあるのに行列は一階まで続いて、建物の外周をぐるりと巡っています。並ぶとは聞いていたけど実際に見ると圧倒されますね。

 ただ回転は速いようで、並んでいた時間は30分程度。その間にメニューを見て注文を決め、Mちゃんにオーダーを託し、私は席確保の旅に出ます。そう、フードコートなので席を取るのも一苦労なんです! カウンターはちらほら空いていましたがテーブル席はなかなか空かない。そこらじゅうで目を光らせているのは空席を狙うハイエナたち。あっと思ったころにはすでにライバルに席を取られている……ということを2、3度繰り返し、やっとテーブル席を確保。しばらくするとMちゃんがトレイを持ってこちらへやって来ます。

鹹豆漿🎶

 これこれ~~!! これが食べたかったんですよ!! これは鹹豆漿と呼ばれる台湾の伝統的な朝ごはんで、あたたかい豆乳をおぼろ豆腐のように固めたスープに油條(カリカリの揚げパン)を浸したメニュー。一年ほど前にテレビで見てからずっと気になっていて、一度自分で作ってみたりもしたんですが。本場の、それも台湾でも人気の阜杭豆漿の鹹豆漿はどんなお味なんでしょうか……!

 先に食べたMちゃんが目を丸くして一言、「めっっっちゃおいしい」 マジ~~!? 早速私も一口いただきます。

 めっちゃうまいやん……。

 いや~~~~来てよかったな~~~~!! 豆乳のすっきりした甘みに小エビのだしがきいている……。豆乳の味自体も日本のものとは違うのでしょうか? 大豆の味が苦手な人でも飲みやすいんじゃないかな。あと私が作ったときはお酢で豆乳を固めたらお酢の味が強くなりすぎてしまったんですが、こちらはそんなことなく優しい味わいです。油條もおいしい! 豆乳に浸して食べるから味が染みて柔らかくなっている部分とカリカリの部分両方楽しめます。

 一緒に注文した薄焼餅(パイ)もさくさくでほんのり塩味がきいていておいしい。Mちゃんの注文した蛋餅(クレープ)もありそうでなかった味で新鮮。ぜんぶおいしい~~ありがとう台湾……来てよかった……。

 正直朝ごはん食べるのが一番楽しみだったのでこれでもう目的は果たしました。並んでさえいなければテイクアウトで豆乳を頼んで飲んでみたかったけど相も変わらず激混みだったので断念。でも並んだ甲斐はありました。

 ホテルに戻る途中にセブンイレブンに寄ってみると、クレヨンしんちゃんのパッケージのミルクティーを発見。折角だから買っちゃいます。Mちゃんはリサとガスパールのパケのチョコレートドリンクを購入。

Mちゃんが推しに見立てているシルバニア(思想強…)

 このとき二人そろってレジのお兄さんに「あんにょん~」と話しかけられる。まあ韓国人と日本人の区別なんぞつかんよな……。しかし韓国人観光客も多いな~と入国審査の列で感じましたが、実際に韓国語で話しかけられるとやっぱ実感します。

 そのあとはホテルでしばしごろごろします。ちなみにMちゃんの推しが今日韓国でコンサートを開催するためもはや彼女はあまり正気ではありません。


鼎泰豐

 2日目は現地のツアーを予約して効率的に台北&十分&九份を回っちゃおう! の回です。11時にガイドさんとホテルで落ち合い、まずは昼食へ向かいます。昼食はかの有名な鼎泰豐。小籠包と点心のお店です。日本にもあるけどやっぱ本場で食べたいよね!!

 常連ガイドさんのコネで一時間近くの待ち時間をスキップすることに成功し、ちゃっちゃか店内へ。早速お料理をいただきます。

 春雨、炒飯、空心菜の炒め物、酸辣湯、ぜんぶおいしい! 酸辣湯には別添えのラー油を入れるとピリ辛でよりおいしい。Mちゃんはまるで痛みを感じなくなった魔王のように三人分のラー油をすべて酸辣湯につぎ込んで爆食していました。

小籠包とAちゃんの推し

 そしてお目当ての小籠包です。醤油とお酢を1:2で混ぜたタレにつけ、千切りショウガを乗せ、皮を破いてまずはスープからいただきます。 うーんやっぱりおいしい。そのままぱくっと。おいしい~~!!

 野菜の蒸し餃子、エビの蒸し餃子、焼売などその後も点心を堪能。エビ餃子めっちゃうめえ~~。そう言えば中華って蒸し餃子か水餃子しか見んけど焼き餃子って日本料理なんかいね? という話になり、気になって調べてみました。中国大陸にも焼き餃子と類似の鍋貼というメニューはありますが、「餃子をそのまま焼く」という発想は日本独自のもののようです。あと点心としての蒸し餃子は華南の料理、主食としての水餃子は華北の料理だとか。台湾に移住してきたのは華南(主に福建省)の人々ですから、台湾で蒸し餃子を食べるのは「いかにも」ですね。

海老焼売

 あと焼売の形おもろいな~と思ったんですが、もともと焼売はこういう形らしいです。焼売は華北の料理で、日本で見られる円筒形のものは広東風だそう。

 最後にはあんまんをいただきます。ちょっと日本のあんことは風味が違う。砂糖の味よりも豆の風味が強いのかな。おいしいです。

 ごちそうさまでした!

 最後にトイレに行き、用を足す……ではなく、写真を撮ります。私、海外でトイレの写真を撮るのが趣味なんですよね。トイレって文化じゃないですか。トイレにはその国の個性が出ます。台湾のトイレといえば、紙を便器に流してはいけないところも多いとか。

こんな掲示が

 さすが有名レストランですね! こちらのトイレは紙を便器に流していいようです。しかし「便器に流してください」とわざわざ書くということはいまだにそれが台湾に習慣として根付いていない証拠ですよね。こういうのがあるからトイレはおもしろいんですよ……!


占い

 時間が余ってしまったので急遽ガイドさんが時間つぶしのオプションをいくつか提案して下さり、Yちゃんのプッシュで占いに行くことに。行天宮の地下道の一角、占い師たちが軒を連ねる「占い横丁」にお邪魔しました。ガイドさん一押しは「路燈命相館」。

 占ってもらうのはMちゃん、Yちゃん、Aちゃん。私も興味はあったのですが時間が足りなかったので断念しました。あとまあ占いって当たったときが嫌じゃないですか? 非科学的なものを排除していられるうちはおばけも霊も怖くないけど占いが当たっちゃうとそういう一切合切を無視できなくなっちゃうので……。私極度のビビりやから……。

 生年月日、生まれた時間、名前を記入して占いスタート。個人情報も含まれるので詳しくは書きませんが、仕事と家庭どちらが向いているのか、相性のいい相手、行くといい場所などを占ってくれます。ちなみにYちゃんの前世は将軍らしいです。多くの人を従えてヤーヤーやっていたのだとか。もしや昨日カービィを執拗に狩り続けたのは将軍の血が騒いだから……!? 野次馬たちを従えたのも将軍のカリスマ故……!?

 占いの最後には米粒を三枚のお皿に乗せて占う「米粒占い」をしてもらいます。台湾独自の占いで、これで2、3年先の運勢がわかる! のですが、ここでAちゃんがヤバい霊に取りつかれやすくなっていることが発覚。こわいね……。


龍山寺

 占いのあとは同じツアーに参加する日本人のご夫婦をピックアップし、龍山寺へと向かいます。

 の、途中に総統府の前を車で通過。

総統府

 日本統治時代に建てられた建物で、当時は総督府でした。ガイドさんのお話によると東京駅をデザインしたのと同じ建築家だとか。たしかに東京駅によく似ている。この総統府見たかったんですよねえ! だいたいどの台湾史の本にも写真が載っていて印象に残ってましたし、日本人としては日本と台湾とのつながりをもっとも顕著に感じる場所だと思います。そのつながりは決して「よい」ものではありませんが、それも含めて私たちの業なので。

 さて、龍山寺です! 龍山寺は仏教の菩薩と道教の神様の両方を祀っている寺院だそうで。日本で言うと神社と寺院が同じ敷地内にあるみたいな……?(なんですが、実はこれは江戸時代まではめずらしいことではなかったみたいです。日本では神仏習合といって仏教と神道が交じり合いながら発展していったので……明治時代の神仏分離で解体されてしまいましたが)。道教は仏教を取り込みながら発展した宗教なので相性いいのかな~。

あざやかだ~!!

 日本では寺院といえば質実なものが多いので(金閣寺みたいなのもあるけどね)こういった鮮やかな色彩の寺院を見ると中華圏に来たな~~!! て感じがする。ちなみに屋根におわします龍の指は四本。ガイドさんによると皇宮は五本、寺院は四本、庶民は三本って決まってるらしい。おもしろいですね。

 中も絢爛豪華です。細工がこまやかでとっても美しい。本殿に祀られているのは観世音菩薩。そして後殿に道教の神様。学問の神様である文昌帝君、航海の安全を守る天上聖母(士林夜市の寺院で祀られていたのと同じ神様ですね!)、安産の神様である註生娘娘、商売繁盛や勝負事をつかさどる関聖帝君(関羽)などさまざまな神様が祀られています。迪化街の霞海城隍廟で祀られていた月下老人はここでは月老君子というお名前で祀られていました。

 参拝するときは名前、生年月日、住所を心の中で唱えてからお願い事をするそうです。合掌して三礼しますが、柏手は厳禁。神道とは違いますね。ちなみに振り返るとお供え物がたくさん。神様にお供えした食べ物はご利益があるので、地元の方々はあえて子どもの嫌いな食べ物をお供えして持って帰るのだとガイドさんが教えてくれました。そうすると子どもも頑張って食べるんだって。信仰がいかに根付いてるかがわかるエピソードですね。日本じゃそうはいかないもんな。

 さて、ここで取り出しましたるは三日月型の赤い木片、筊。ふたつで1セットです。こちらを地面に投げ出しまして、表と裏が同時に出れば応のサイン。こうして神様にお伺いを立てるのだとか。否が出ればもう一度やり直して、三度まではお伺いすることができるそうです。

 参拝を終えたらお守りを買います。お守りの種類が多すぎてうける。神様が多いからお守りも多くなるんですね……。ここでYちゃんは先刻の占いで言われた「数珠を買え」をさっそく実行。

 最後にトイレを冷かして帰りたかったんですが時間がなく断念。龍山寺のトイレはトイレットペーパーが個室に設置されておらず、入る前に必要な分を取っておかなければならないそうで……こんな有名な観光地でトイレが未だ整備されていないのは貴重ですよ……!! 見たかった……

 龍山寺を出て、すこしだけお香のお店を覗いてみます。白檀がいい香り。よくあるお香の香りは日本も台湾も同じなんですね。


忠烈祠

 再び車に乗り込みまして、次に目指すのは忠烈祠。衛兵交代を見学します。

 が、そもそも忠烈祠ってなんなのか調べていなかった私。台湾の歴史と中国語は勉強したんですがツアーで行く場所について調べるの完全に忘れてたよね!! ばかちん!!

 というわけで、衛兵交代を見ながら必死でググったところここは国のために亡くなった烈士を追悼する場所だそうで。国姓爺でおなじみ鄭成功も祀られているらしい。日本の靖国神社のようなものでしょうか。……というか、もともとは神社だったそうです。日本総督府が建てた神社の類は神道信仰の痕跡を消すため戦後一掃されたと本で読みましたが、ここも例にもれず、ということですね。

こちらもあざやかです

 で、衛兵交代なんですが。すごかった~。私は昔マーチングバンドをやっていたので行進には多少身に覚えがあるんですが、この炎天下でクソ暑い軍服を着て20分間も行進するの気が狂っちゃうな~~。しかも抱える銃剣は6キロ。マーチングバンドでもライフルと呼ばれる銃型の棒をくるくる回したり投げたりはするのですが、さすがに6キロはないです。でも衛兵さんたちはそいつを片手でくるくる投げちゃうんだからたまげました。

 台湾には3カ月の兵役制度があるそうですが、衛兵は徴兵された軍人ではなく職業軍人。厳しい訓練があるのだとか。でも生涯お金に困らないらしい……。

 で、衛兵交代を見ているうちに目に留まったふたつのレリーフ。

 こちらは広州蜂起。辛亥革命の契機ともなった蜂起のレリーフです。

 で、こちらが第二次上海事変。要するに日中戦争を描いたものです。そうですよね、「中華民国にとっての忠烈の士」なわけですから、当然抗日戦線で亡くなった人々の魂が祀られているわけですよね……。霧社事件の被害者のように、日本の支配によって命を落とした人々の魂も祀られているようです。奇しくもこの日は8月15日。台湾にとっては、50年にわたる日本の植民地支配が終わった日です。そんな日に日本人の私が忠烈祠に観光に来ているというのはすこし気まずいような……。


故宮博物院

 忠烈祠のあとは!! 故宮博物院だ~~!!

 朝ごはんの次に楽しみにしていた場所です。世界四大博物館(諸説あり)のうちのひとつでなんかすごい……めっちゃ……すごいらしい!! またしてもツアーで行く場所について調べるのを忘れていた床。しかしなんかすごいということだけは知っている!! というかこれでも史学科卒なので博物館と聞いて血沸き肉躍らないはずがないのである。

 心配事は1時間に満たない自由時間でどれだけ効率的に回れるかだけ。楽しみ~~。

故宮博物院外観

 そんなこんなで博物院に到着。でかい!! 広い!! 歓喜。でかいのはよきことです。エントランスを抜けると、正面におじさんの銅像と「博愛」の文字が。おそらく孫文でしょう。ちなみに私は孫文のことを「革命に間に合わなかった革命家その①」と呼んでいます(彼は辛亥革命が起こったときアメリカにいました)(その②はご存じレーニン)。

 そもそも故宮博物院とは、国共内戦のさいに蒋介石が台湾に持ち逃げしてきた紫禁城の秘宝が収蔵されている博物館だそうです。すごいね!! これ大陸の中国人はどんな気持ちで見るんだろうね!! 大英博物館のエルギンマーブルズを見るギリシア人みたいな気持ちなんでしょうか。

 では早速展示室へ……の前に、トイレを覗きます。さすが観光地! きれいなトイレです!

とても美しいトイレ

 今度こそ展示室へ。初めはガイドさんの案内で館内を回ります。まずはこれ!

肉形石

 おそらく角煮界では世界一有名な角煮でしょう。石の層を利用した色合いの表現や、毛穴の彫刻も見事です。ちなみに同じくらい有名なかの白菜は今はお留守でした。ざんねん。

 が、すばらしい玉器は白菜だけじゃない! 見事な翡翠の彫刻がそこかしこに……!! これですよこれ! これぞ中国4千年!!

めちゃくちゃ小さいよ
レースのような彫刻!

 むかし訪れた大英博物館にも玉器の展示室があっていくつか玉器を見たのですが、そこでは紀元前2500年前の良渚文化の玉器が目玉だったんですよね。それはそれでもちろん異次元の技術なのですが(4500年前に翡翠を彫刻する技術があったんですよ!?)故宮博物院の玉器の展示を見ると、あれが数千年の時を経るとここまで洗練されるのか……! というのが目に見えてびびりました(大英博物館にも清代の玉器とかあったんですが故宮博物院の玉器のほうがすごい気がする)。

 すごい彫刻は玉器だけじゃない。

球体の中どないなってんねん

 こちらは象牙。なんと一本彫りです。何がどうなってこうなったのかどんだけ見てもわけがわかりません。すごい人がいるんですね。

皇帝の執務室

 これは皇帝の執務室の再現だとか。中国は日本と同じく墨を使ってものを書くので乾かすために机が広いんだって。

 ガイドさんの解説はここでおしまい。ここからは一時間弱の自由時間です。四人とも興味が違うので個人行動をすることに。全体の集合場所とは別に四人での集合場所と集合時間を決め、解散です。ポケットWi-Fiは私が携帯しているため、私と離れると三人はネットが使えず連絡が取れない状況になります。

 さてここで大きな問題が。そう、私は稀代の方向音痴なのです。高校の修学旅行でロンドンに行った際、同じ熱量で博物館に向き合える友だちがいなかった私はひとりで大英博物館を回ったのですが、まあ、迷ったよね、道に

 いや大英博物館ってアホみたいに複雑なんですよ!! 誰でも迷うて!! そんなわけで見たい展示が山のようにあるのに時間はないし迷子だしで詰んだ私は、実行委員が集合時間に間に合わないという惨劇を回避するべく古代の遺物の間を競歩で闇雲に走り抜けたのでした。キプロスの展示室で感じた塩の味は地中海の幻想だったのかそれとも私の涙の味だったのか今となっては判然としません。懐かしいね。トラウマです。

 果たして私はひとりで無事に故宮博物院の出口までたどり着けるのか!? しかしそんなことで慎重になっているような時間はない! 50分で故宮博物院のすべてをこの目に焼き付けなくてはならないのだから――

 まずは仏像からです!

見慣れた顔だ〜

 街中で見るのが道教の寺院ばかりだったのでここに来て仏像をたくさん眺めると謎の安心感があります。仏像にもう少し詳しければ日本との相違など見つけられたかもしれないのですが残念ながらそこまでの造詣はなく。ただ今思い返してみると銅像ばかりで木像がなかったのが日本との一番の相違点かも! そういえば寄木造りって日本独自の技術ですもんね。

こちらも見たことのある顔

 これは乾隆帝の詩集だそうです。在位期間に三つの詩集を出したのだとか。さすがインテリ皇帝……。

こちらは極楽浄土を描いた清代の掛け軸

  お次は陶磁器のコーナー。陶器と磁器がごちゃごちゃに置かれていて磁器を作れる国の雑さを感じます。磁器と陶器は作り方が全く違っていて、磁器のほうがはるかに難しいそうです。そのため長らく磁器をつくることができなかったヨーロッパ諸国では、中国や日本から輸入される磁器は大変貴重なものだったそうなのですが。そこはさすが中国。磁器が掃いて捨てるほどあるわ。

掃いて捨てるほどある磁器たち
唐代の白磁

 真っ白な磁器。唐代の後期には貴賤に関わらず帝国中の人々がこのような白磁を使っていたのだとキャプションに書いてあります。豊かだね。

こちらは陶器

 右端は唐三彩です。唐代に発展した陶器で、色彩が焼き付けられています。うお~~1000年以上前の色がこんなにはっきり残ってるなんて!! さすがの技術ですね。左のふたつは「加彩」と書かれているので、焼き付けず彩色した陶器です。三彩と比べるとやはり色彩はほとんど残っていません。

 ここで偶然Yちゃんとすれ違います。「急にWi-Fiつながったから絶対床ちゃんおると思った」と言われた床。もはや私自身がWi-Fiと同化しています。

ロココの特別展などもありました
なぜかジャパニーズ・イマリがロココ部屋に置いてある

 そろそろ集合時間が近づいてきましたが、まだあきらめるわけにはいかない! 早足で巡ります! いざ青銅器の展示室へ!

商後期から周初期の武具

 これはなんと商代の武具。3千年以上前のものです。商は殷とも言って、実在が確認できる限りの最古の王朝です(伝説では夏王朝が最初の王朝として語られていますが実在に関しては未だに議論があるそうです)。日本では縄文時代後期~弥生時代初期ですかね。

こちらは春秋時代の食器
銅鏡だ~~

 さて、さすがにそろそろ戻らなければツアーに置いていかれてしまいます。とっとと出口を目指しましょう!

 ……右を見ても青銅器。左を見ても青銅器。もうお分かりですよね。そう。迷子です。

 なんということでしょう。出口がわからない以前にそもそも展示室から出られないではありませんか。私は前から来たのだったか? それとも後ろから来たのか? 我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか――とか言っとる場合とちゃう。出口に行くんですよ!! とりあえず前進してみたら行き止まり。右へ行ってみても行き止まり。気づけば同じ場所をぐるぐると回っている床。館内どころか部屋の中で迷子になる馬鹿がどこにいるのか。

 数分かけてなんとか部屋から脱出し、四人の集合場所へと向かいます。時間ぴったり! だというのに誰もいない。

 なぜ? 一応「早めに集まったメンバーだけで先に出てギフトショップを覗こう」という約束になってはいましたが、私以外のメンバー全員先に行ってしまったのか……? 私を置いて……?

 さすがに私一人なわけなくない? と思い2分待ってみましたが、誰も来ない。このままでは私が全体の集合時間に遅刻してしまう。急いで歩き出します。一度外に出て外観の写真をドライブスルーのような手際で撮り、全体の集合場所へ。するとそこにはガイドさんが一人。

「あ、今3人はギフトショップに……入っていきましたけど……」

 一人ですか? と言いたげな視線。これは不仲を疑われている。

「みなさん小学校からのご友人なんですよね? アニメとかもお好きなんですか?」
「そうですね、全員K-popも好きですけどアニメも好きです」
「そうなんですね~。全員服装の雰囲気がバラバラなので不思議ですね、普通ちょっとは統一感出るじゃないですか?」
「あはは、昨日はもっと全員バラバラだったんですけどね。今日はAちゃんワンピース、Mちゃんワンピース……Yちゃんワンピースで……」

 私だけTシャツにパラシュートパンツ。うーん。これは不仲を疑われてもしかたないな。

 そんなこんな話しているうちに全員集合。不仲疑惑を払拭するべくAちゃんに近づき仲良しモードで「何か買った?」と話しかけます。

「白菜」

 え……白菜見てないのに……?


 ③に続く!!

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