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気が狂いそうになったときに聴く曲3選 <I'm losing my mind.>
気が狂ったときに聴く曲ではなく、気が狂いそうになったときに聴く曲である。
狂いそうなので、狂いを冷ましたいという方も、狂いそうなので、もう狂ってしまいたいという方も、いっぺん聴いてみて欲しい。
一つだけ、お願い。
どの曲も、限界ギリギリの大音量で聴いてください。
1. Led Zeppelin Rock and Roll
問答無用で、どんな精神状態のときでも聴ける曲といったらこれしかない。
痛快、強烈。すべてを弾き飛ばす曲。
レッド・ツェッペリンの1972年、いわゆる『伝説のライヴ』。リアルタイムではなく、実に31年が経った2003年にようやく発表された。
この時期のロバート・プラントのヴォーカルは絶好調で、まさに向かうところ敵なし。バンドの演奏能力も最高潮に達していて、ロック・バンドの理想の姿がここにある。
全編通して非の打ち所のない名盤だが、特に〈ロックン・ロール〉は素晴らしい。
映像が残されている翌1973年のマディソン・スクエア・ガーデン公演のものとは比べ物にならない感動。
この音源が完璧な形で残されたのは、奇跡と言っていい。
ロック・ファンであるとないとに関わらず、一度は聴いて欲しいトラック。
2. King Crimson Larks' Tongues In Aspic Part II
キング・クリムゾン〈太陽と戦慄パート2〉。
『USA』と題されているように、アメリカでのライブ。
1974年6月。ロバート・フリップ(Gt)、ジョン・ウェットン(Ba)、ビル・ブラッフォード(Dr)による三頭体制は緊張が頂点に達し、もう一人のメンバーであったデヴィッド・クロスはほとんどフェードアウトしかかっている。
ヴァイオリンの音源はエディ・ジョブソンがスタジオでオーバー・ダビングを施したものであるが、なぜかライブの高揚感は異常なほどに美しく保たれている。
この曲さえあれば、この世の終わりに何もいらない。そう思う。
3. MAGMA Mëkanïk Zaïn
いきなりマグマなんてバンドを持ち出して申し訳ないが、記事タイトルにもっとも相応しいのがこの曲。
フランスのプログレッシブ・ロックバンドであるマグマの名演ライブ盤『LIVE!』(1975年)よりフィナーレを飾る「Mëkanïk Zaïn」(メカニック・ザイン)。18分超に及ぶこの大作は、短い主題の反復・発展を繰り返し次第に壮大になっていく、マグマ流のジャズロックの頂点をなす楽曲。
ところで今回は邦楽曲を選んでいない。
頭が破裂しそうなときは、歌詞がストレートに入ってくる日本語詞の曲は気分にそぐわない。外国語詞か、インストゥルメンタルがふさわしい。
そしてなんと言ったって、マグマが操る言語は人造言語〈コバイア語〉である。
途中から女声によるコーラスが入ると、楽曲はクライマックスへとせり上がっていく。リーダーのドラムス、クリスチャン・ヴァンデが打ち鳴らす張り詰めるようなリズムと、何度も繰り返されるボレロ調の曲展開のつくり出す陶酔感は、一度ハマるともう抜け出せない。
18分間という長大な曲を聴き終わったとき、あなたは確実に狂気に近づいている。
ちなみに、マグマを主宰するクリスチャン・ヴァンデはバンドの完成度を高めるため、メンバーを「監禁」してセッションを重ねたという。このエピソードが、私は大好きである。
4. もっと静かな曲をご所望なら
思いつくままに挙げてみると、全てライブ盤からの選曲になった。
あったまっちまった頭には、ライブの熱が必要なんだ。
あ、もし「こんなウルサイ曲は要りません、もっと静かな曲はないですか」という方にはチャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』を薦める。
最高の演奏と録音。ムラヴィンスキー指揮レニングラードフィルによる演奏で、お楽しみあれ。
おわり
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