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【010FP-5】MONTBLANC No.74

こんにちは。久しぶりにnoteを書くことにしました、漂流する文具垢です。今回はモンブランのヴィンテージ万年筆、その中でも強い人気を持つ1960年代2桁シリーズよりNo.74を紹介します。
正直言ってしまうと、このモンブラン2桁シリーズに関して概要を知るだけであればモンブラン情弱の自分より万年筆評価の部屋にて熱く語られているのでそっちを見た方が良いです。当時のカタログの画像もあり、当時のモンブランがどんな立ち位置にいたのか、どんなシリーズ展開をしていたのか知ることができます。↓

さて気を取り直して、74のスペックから。通称2桁シリーズに属するもので共通して製造年代は1960年代、ペン先は14/18金のウィングニブという特徴を持ちます。ウィングニブというのは俗にイカペンとも呼ばれるのですが、ふわっとしたタッチの書き心地が特徴でそれがヴィンテージモンブランの中でも強い人気を持つ理由にもなっています。普及版でスタンダードモデルとしてNo.1X、その廉価版としてNo.2X、学生用モデルとしてNo.3Xがラインナップされ、また上位モデルとしてキャップだけ金張りのNo.7X、キャップだけでなく軸も金張りのNo.8X、ボディ全体が金張りでは無く金無垢のNo.9Xが存在しました。2/3には14Kニブ、1/7/8/9には18Kニブが着いており、またNo.9Xについては14金無垢と18金無垢の2モデルがあったそうです。そして下1桁は基本2もしくは4で、4がスタンダードサイズで2は少し細めで女性向けモデルとされていました。ただ主素材の樹脂が非常に脆く、ボロボロと割れるのが問題で特に嵌合キャップにより負担のかかるキャップと首軸は損傷が酷い傾向にあります。そのため、キャップが金属製金張りのNo.74を選びました。

キャップを締めた状態


出来れば84が良かったなぁ…というのは置いておいて、やはり非常にデザインの美しい万年筆です。キャップを締めた状態で全長135mm、キャップポストをすると151mm程になります。太さはおよそ11mmで気持ち細めの太さです。また金属製金張りキャップの影響で重さは20g弱と見た目の割には重めです。

ペン先

首軸のペン先の上に覆い被さるように出っ張った黒い部分はインク保持に一役買っておりその他にもペン芯が優秀で、インクフローは非常に良いです。

上No.74/下Meisterstuck 146

またこれは手元に届いてから気付いたのですが、キャップの金色が良い。恐らく14金張りなのですが一般に金と言われて想像する山吹色では無く、ローズゴールドとは行かないまでも少し赤みの入って落ち着きのある金色になっています。これが実に妙。手にしてからより気に入ってしまいました。

分解

また分解も比較的簡単で、工具無しでここまで分解できます。整備性にも優れている訳です。ペン先ユニットも首軸の外から押し込んでやれば取れ、それを超音波洗浄機にかければ綺麗にインクが取れます。ただ吸入機構の分解は難易度が高く、相当なことが無ければ避けるべきでしょう。インクのこびりつき程度なら水に漬けておけばだいたい取れます。
ここまで聞くと欠点が無さそうですが、樹脂の脆さが本当に酷いです。主の74は届いて使った1日目で黄色の樹脂リングにクラックが入りました笑。一応UVレジンを注して応急処置はしましたがいつかどうにかしようと思っています。他の24を買ってニコイチするかもしれませんし、もっと大掛かりな修理に出すかもしれません。
モンブランの2桁シリーズは美点も欠点も大きいロマンのあるシリーズだと思います。ある程度メンテナンスできるスキルがあれば十分に楽しめるでしょう。お読み頂きありがとうございました。

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