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マッチングアプリ体験談:旅人ルーマニア人②

写真はルーマニアの風景ですが、中身はインドの話です。悪しからず。

インドへ旅立って行った後も彼はちょくちょくメールをくれていました。見たものや聞いたこと、見かけた日本のニュースへの意見を聞かれたりなど。メールのスタイルも放浪者で送ってきたと思ったら全然返事後来なかったりで、「レス良かったのは半分体目的もあったからだな」と後から気付きました。まあ良いんだけどね。
次は大きい都市、デリーに行ってその後少し移動していよいよタージマハルを見に行く、と言うので「いいなー」と軽く返事。

2日後に来た返事は「君も来たらいいじゃん」

ということで、行きました。インドのデリー。

珍しく「来たらいいじゃん」メールの後にボイスメールと電話が来たんです。これは割と真剣に誘ってるなと思い、2週間後のフライトをその場で予約しました。安かったし。往復6万円くらいだったかな?
インドって女性の一人旅は危ないって言われている国なので、こういう機会でもないと絶対行かないなと思ったんです。英語通じるのは判っていたけど、勇気がなかった。彼の軽い一言が背中を押してくれました。すぐに休めるような会社に勤めていて良かったと心底思いました。

おかげで人生観、というか、衛生感というか、とにかく何もかもが想像を超える異世界に来た、という体験が出来ました。というのも、なにしろ貧乏旅です。普通のホテルには泊まらなかった。私がいるから、シェアハウス系は避けてくれたけど、それでもランクは一番下のシャワーがかろうじて水が出るくらいのホテル。インドって、婚姻関係にない男女が一緒に泊ろうとすると少し警戒されます。特にルーマニア人と日本人って言う変な組み合わせだったからか身分確認をしっかりされることが多くて、断られたこともありました。でも概ね止まったところはシンプルな場所が多くて、2人で1泊1000円とかだったけど、良かったです。どこも基本的に天井にクーラーと大きなファンが付いていて、でもクーラーは風量ゼロかMAXかしかなくて、つけたら極寒だしつけなかったら暑いしでちょっとこれは困った。1日で慣れますけどね。

観光的にはオフシーズンの雨季直前のめちゃくちゃ暑い時期。体感的には40度超えていて、日本みたいにジメッとしていないので空気が熱い。肺が焼けるような熱い空気と砂ぼこり、常に鳴り響く車のクラクションと独特な匂いにやられて1日目にして来たことを少し後悔しました。水なんかすぐにぬるくなります。2Lを購入してもすぐになくなるし。水道水なんか使ったら絶対にお腹を壊すので歯を磨くのもペットボトルの水です。重いだろうからって移動中はずっと彼がお水持ってくれて、優しいやつだなと思いました。ペットボトルなのに、リュックのスペース節約のため飲むたびに少しずつくしゃくしゃにしていくのには驚きましたが。ペットボトルを折りたたんでいくっていう感覚が私にはなかったよ。

フルーツがそこかしこに沢山売っていて、しかもめちゃくちゃ安いので水分補給に重宝しました。ただ、売ってる環境が厳しい。絵面が厳しい。ハエが凄い。ハエがたかっている=新鮮だ、革剥けばきれいなんだから、とルーマニア人もインド人も主張するもんだから1日目で無理やり慣れました。
ハエはキツイて…

ハエと言えば2日目だか3日目だかに訪れたオールドデリーも凄かったです。
オールドデリーに行かずして、インドを語るなかれ、って感じ。ハエが集りまくっている水溜りに足を踏み入れてしまって、ハエがぶわっとこちらに飛んできた時は気を失うかと思いました。
絡み合う電線の塊、人が住んでいるのかわからない廃墟のような建物の数々、床に座り込んでいる物乞いなのか休憩してるのかわからない人々、生きてるのかな…と心配になるほどカリカリで床に寝転がっていた老人たち、砂ぼこりから透けて見える細い路地からこちらを伺う突き刺さるような視線の数々…想像を超える世界がそこにはありました。

アグラにはローカル電車で2-3時間かけて移動。ここでもあまり良い席を予約しなかったので、ローカルな人々に囲まれてにぎやかに過ごしました。物売りが定期的に通路を行き交い、空いてる席には容赦なく座る(チケット確認なんかされなかったけど、買う必要あったのかな)飲み終わったペットボトルはノールックで窓から投げ捨てる。申し訳程度にクーラーが付いていて感動しました。

4日目には無事インドといえば!な食あたりになりまして、人生初の40度越えの熱を出し、ほんと、一人じゃなくて良かったって心底思う瞬間もありました。彼がいてくれなかったら多分結構危なかったです。彼が飲み物と食べ物を買ってきてくれて看病してくれ、インドの病院まで付き添ってくれて、薬を貰って何とか回復。英語出来て良かった本当に。多少しか英語出来ない状態で行っていたら多分私もたなかったと思う。って言っても、英語喋れてなかったらルーマニア人とここまで無鉄砲な旅行に出掛けてもいなかっただろうけど…
インドの病院の、アロハを来た医者からもらった、直径2cmくらいのオレンジの錠剤と、同じくごつい白い錠剤。飲んで30分で熱が下がり、下痢が快復。恐ろしく強力。私は一体何を飲んだんでしょうね。お腹を壊した原因はおそらく地元民におススメされたカレー屋で出てきた、恐らく1日たったカレーです。その後はBarger Kingしか食べませんでした。

無事に二人でタージマハルも見て、行きたいと思って下調べをしていた場所を総なめにして、私の初めてのインド旅は終わりを告げました。
あの時見た蝙蝠で埋め尽くされた廃墟の天井。暑い中寺院の木陰で昼寝をする人と犬。道の真ん中で寝そべる牛や山羊。バハーイー教のロータス寺院で聞いた天国の歌声のような讃美歌。レッドフォートで購入したストールや、せせこましい路地で購入したピンクのひらひらしたズボンは今でも愛用しています。文字通り死にかけたけど、行って良かった。間違いなく人生で忘れることのない旅行の思い出の一つです。

この彼はイギリスに住んでいるということで、出会った年の終わりに行ったイギリスへの旅行の際にも宿を提供してくれたり、今もイギリスのCOVIDの状況を定期的に報告してくれていて、良い友人に昇格しました。愛してるよ、Mr.C!
まさかTinderでの出会いがこんな良いものになるとは私も思っておらず、嬉しい限り。皆、Tinderだからと言って毛嫌いせずに、積極的に出会っていきましょうね!

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