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新型コロナ禍における副業キャリアへの向き合い方

僕は副業、いわゆるパラレルキャリアを始めて16年目になります。
今は、エクザムという京都のウェブ制作会社の役員、ITベンチャーの取締役、作曲・編曲家の3つの仕事をやっています。

最近は、大手企業が副業をHRのシステムに組み込んだり、政府の後押しがあったりなど、副業という話を聞く機会が大変多くなったな、という印象です。しかし、その反面、どこか自分と関わりの薄い出来事のような気がしていました。

この新型コロナ禍のリモートワークで通勤時間分の余裕ができ、副業へのニーズが一気に増してきたのかなと考えています。

今政府が取り組んでいる未来投資会議の成長戦略実行計画案の中には、兼業・副業に関するテーマが議論されています。

成長戦略実行計画案を提示 兼業・副業の環境整備の方向性を示す(未来投資会議)
https://www.psrn.jp/topics/detail.php?id=11906


雇用者側から見て副業を後押ししやすい環境ができることは個人的には歓迎です。

そこで、自分の16年間のパラレルキャリアの中で、副業とは一体なにか、どう向き合ってきたのか、そんな経験を話そうと思います。

作曲・編曲家としてのキャリアのはじまり

僕は高校、大学の大半を音楽に費やしました。

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あらゆるジャンルの曲が作れるように、名盤と言われればCDを買い、譜面を集め、鍵盤の練習をし、理論書を読み漁り、ヘッドホンを耳に押し付けるように聞いて、音の重なり方や演奏の強弱を分析し、ひたすら作曲に打ち込みました。

「自分はなぜこんな曲が書けないんだろう、なぜこんなふうに弾けないんだろう?」そんなことをいつも思って、「絶対に書けるようになる」と強く思い、文字通り寝る間も惜しんで、1日の大半を音楽に費やす日々が続きました。曲の収集には興味はなく、名盤を何百回と聞き、コピーするスタイルでした。なので、「音楽詳しいんでしょ、○○ってアーティスト知ってる?」と言われても知らないことがほとんどだったように思います。

「映像研には手を出すな」の水崎ツバメのセリフにこんなのがあります。

このシーンを見た時、自分の感覚にとても似ていることにびっくりしました。なぜ音楽を作るのか。それが、自分にとって生きることと同じで、どうしようもないことなんだと。
おそらく創作活動にどっぷりと浸かり込んでいる方々には、共感を呼ぶシーンなんじゃないでしょうか。

食えないフリーランス時代

大学卒業直後から、フリーランスの作曲・編曲家としてキャリアをスタートしました。色々な制作会社にデモテープを送りまくり、引合いがあったところにはすぐに出かけ、CM音楽の仕事をしたり、アーティスト名義でライブをしたり、CD作ったりなど、それなりに充実した日々を過ごしました。

しかし一方で収入は限りなく小さく、金銭的にはしんどい日々が続き、自分の営業力のなさを痛感することも多くなってきました。結果、27歳のときにキャリアチェンジを決意します。

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そして、最後の音楽キャリアの仕上げとして、1枚の音楽ライブラリー用のBGMを仕上げることに決めました。これが後々自分のパラレルキャリアのきっかけとなります。

副業に至った経緯は「ラッキー」

エクザムにウェブデザイナーとして入社したとき、僕はウェブの技術はほとんどなく、キャリアゼロからのスタートでした。当時の社長が僕のキャリアを面白がってくれて、「なんか持ってそうだ」とバクチみたいな採用をしてくれたのがラッキーでした。

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その時の人事担当に、「実は自分にはまだ前の仕事が残っている。しばらく平行して仕事をしてもいいか?」と聞いたところ、OKの返事をもらいました。副業という概念がまだまだ一般的ではない時代です。

入社からしばらく経って、音楽キャリアの最後に制作した楽曲について、音楽制作会社からの支払いを見てびっくりしました。実はめちゃくちゃ「売れた」のです。キャリアを諦めてチェンジしてからこんなことが起こるなんて、人生はわからないものです。
そこからさらなる注文が相次ぎ、そして、今に至ります。

そして、当時の人事担当にOKをもらったその時の「しばらく」が、今まだ続いており、当時の人事担当が今のエクザムの社長というわけです。

副業をどうやってマネジメントしているか

基本的には、平日はエクザムの仕事にフルコミットしています。休日、早朝や深夜などできる範囲で時間を作り作曲の仕事をしています。

作曲といっても、アーティスト活動ではないので、ネタ集めがとても重要です。普段の仕事やオフの日でも、TV番組やラジオ番組、店内放送で仕事で使えそうな音楽が流れていれば、すぐにShazamを使い曲を調べたり、録音をしておきます。

また、自分がまだ挑戦したことのないジャンルの編曲アレンジは、練習用の曲を作ったりします。完成させる必要がないので、編曲上の楽器の鳴り方等を確かめる程度の数十秒程度のラフな曲です。こうして発注に備えておきます。

作曲の時間は、何時間で完成できるかジャンルごとに目安を持っています。
得意なジャンルは早いですし、生楽器の大規模な編成が必要なものは、どうしても時間がかかります。その目安を元に、どの曲をどの日に作るか予め決めておきます。

こうして、複数の仕事の時間のポートフォリオを組むクセをつけることができました。

仕事のポートフォリオを持つ

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もし、音楽が自分にとって喜びを与えるものではなく、単なる小遣い稼ぎだったとしたら、間違いなく続いてないでしょう。

仕事には「Will」「Can」「Shall」が必要とよく言われます。

・Will→自分がやりたいこと
・Can→自分ができること
・Shall→周りから要請されること

Shallは外部からの要請なのでコントールが難しいことがありますが、WillとCanは自分でコントロール可能です。
僕は、副業で仕事をするのであれば、これら3つがうまく同じような値で満たされるように、ポートフォリオを組んでおくのが良いかと思っています。

もし、メインの仕事がWillで満たされていれば、Canの副業をやっても良いでしょう。その多くの場合は、収入源を多く確保するという目的になると思います。

また、メインの仕事がCanのみであれば、Willの副業を探すほうが良いかと思います。この場合は、自分の将来的なキャリアチェンジを見込んだ、Canの領域を増やしていくことが目的になると思います。

周りから要請されるShallの仕事も、キャリアのきっかけになることもあります。僕の場合は、キャリアの最後に作った楽曲が思いの外ヒットし、追加で注文をもらえたことがきっかけです。そういうことも逃さず、常日頃からアンテナを張っておくことが必要かと思います。

副業とは一体なにか

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こうしてみると、副業とは「食い扶持を2つ以上持つ」以上に、中長期に渡って継続でき、自身のWillの領域を広げていけるライフスタイル自体のことなのではないでしょうか。

制度設計上は、本業、副業の区分けを行わなければならなくなるかもしれません。しかし、自分自身の中では、ライフスタイル・ライフワーク全体として、自身が学習・成長していけるような複数のワークのポートフォリオを組む考え方が大切のように思います。

Twitterでは、HRやキャリア形成に関わるツイートが多めなので、副業やライフワークに興味のある方がいれば、絡んでいただければ嬉しいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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