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現職にて、最後の海外出張

長い間飛行する、飛行機の中は、おもしろい。
200人程の人が、同じ方向を向いて、同じ時間に飲み物を飲み、渡されるあられミックスをつまみ、同じ機内食を食べる。映画は同じ選択肢の中から選び鑑賞し、電気が消える時間帯に眠ったりする。

私は8割がた、最初の飲み物は白ワインを頼む。ワイン瓶に模した、小さなプラスチックのボトルに入っていて、特別に美味しい訳ではないが、きちんと冷えていて、悪くはない。容量は187mlだから、グラス2杯くらいか。
上空は何故か酔っ払うほどたくさん飲めない。気圧が関係しているのか、気が張っているのか、なんなのか。

今、上空で自分の心がどういう状態なのか考えている。特に、高揚も悲観もしていない。やるべき仕事を実践し帰国するのみ、そんな心持ちだ。でも、今回の出張は少々イレギュラーであるので、やはり少しは気が重いのだと思う。飛行機の中で、プレゼンの準備をしなくちゃと考えると、ため息がでる。プレゼン準備が完了していたら、ワインを何回か追加で頼んで、映画を立て続けに観るのに。

今回の出張は、引き継ぎという目的もあるので、最近入社してくれた後任の子も一緒に来ている。彼女の気持ちを想像しようと、試みている。緊張しているのか、不安なのか、それとももしかするとワクワクしてたりするのだろうか。私が初めて海外出張に行った社会人2年目の頃、それはそれは緊張で張り詰めており、まだ行ってもいないのに、結末を想像して議事録をフライイングして書いたりしていた。

彼女のこれからにプラスになるような出張になればよいのだが。でも、素晴らしいお手本を見せれるとは思えないほど、準備が十分でない状態なので、さてどうしようかなと思いながら、白ワインをちびちび飲んでいる。

一方で、私はもう退職する身なので、今までにない気軽さがあるのも事実。最後の出張なので、今までの枠からはみ出してみる試みもできるし、自分の心をひたすらに掘り下げることもできるかもしれないし、ある意味実験的な実践が可能なのではないか。

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