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SDGs実践事例インタビュー~企業版ふるさと納税で地方創生を行う株式会社カルティブ様の「river」事業~

株式会社Flexas Z稲葉涼太です。
中小企業の皆様のSDGsに関するお困りごとを解決するSDGsコンサルタントです。

『SDGs実践事例インタビュー』と題しまして、企業版ふるさと納税を活用した地方創生を行う株式会社カルティブ様のインタビューを通したSDGsの実践活動の記事をお届けします。

SDGsの認知度は高まったが、SDGsの取り組みとは何をどうしたらよいのか困っている事業者の方の参考になればと思います。

【今回インタビューにご協力いただいた方】
株式会社カルティブ 
 執行役員 小坪 拓也様

小坪様

企業版ふるさと納税とカルティブが運営するriverについて

■本日はカルティブ様の企業版ふるさと納税コーディネート事業についてお聞かせください。まずはカルティブ様のご紹介を読者の皆様にお願いします。

小坪様:カルティブは「地域と文化と教育」を根幹にし、「身近な人を幸せに」をテーマにする会社です。
「企業版ふるさと納税」を中心に内閣府や経済産業省など国の施策や制度情報を自治体に届けたり企業との連携を通じ、地域へ貢献をしており180以上の自治体と契約((2023年11月27日時点))をしています。

国、自治体、企業様などでの登壇も大変増えています。

事業概要(カルティブ様ご提供資料より)

■「企業版ふるさと納税」を初めて知る読者の方もいると思いますので簡単にご説明お願いします。

小坪様:個人版のふるさと納税はお肉やお魚など返礼品を貰うことが特徴ですが、企業版ふるさと納税の場合、返礼品は禁止されています。
しかし、自治体の広報誌やWEBサイトに寄附企業を紹介することや、プロジェクトへの参画などは認められています。
また、個人版のふるさと納税が実質2000円と謡われていますが、企業版ふるさと納税の場合は、法人税等から最大で約9割を税額軽減され、実質1割の負担で自治体に寄付ができます。

令和2年の税制改正当時は企業版ふるさと納税額は約34億円ですが、令和4年には341億円と10倍に規模が増え、今後ますます成長が見込まれます。

■企業版ふるさと納税をした企業が自治体のプロジェクトに参画できることもあるとのことです、がそういう事例はどのくらいあるのでしょうか?

小坪様:
当社の事例だと寄付マッチングの大体1割くらい。20~30件程度になっています。
人材育成などに繋がる企業側のメリットも少しずつ広まっています。
自治体の実証実験的なプロジェクトを一緒にやるケースは、自治体としては寄付も得られて人材の協力も得られ、それが企業としてもやりたかったことで企業側のメリットになれば自治体と企業の両方にとって良い形です。
内閣府の地方創生SDGs官民連携プラットフォームにもいくつか事例を掲載していますので、ぜひご覧ください。(https://cpriver.jp/column/8331/

■カルティブ様はriverというプラットフォームを運営されています。riverについてお聞かせください

小坪様:riverとは企業と地方を繋いで地域の課題を解決したいプラットフォームです。
プラットフォームとして仲間が集まり、全国各地で同時多発的にプロジェクトが発生することを狙っています。
自治体、寄付をする企業、サービス提供事業者、そしてコーディネーターの4軸のステークホルダーが交わることで地域課題が解決されると考えます。

ステークホルダー関係図(カルティブ様ご提供資料より)

全国を8分割して、それぞれのエリアで事業推進する会社を「支社」と呼んでいます。カルティブ自身のはエリアはなく、riverプラットフォームの仕組みの構築をしています

river地域図(カルティブWEBサイトより

■riverプラットフォームのネットワークはどのように広げてきたのですか?

小坪様:事業検討当時は、個人のふるさと納税をやっていたメンバーが声を掛け合って集まるところから始まりました。
事業開始が2020年4月でコロナ禍の始まりと重なったため出張がしづらく、リアルコミュニケーションをなかなか取りにくい難しさがありました。

2020年からの最初の2年間は、支社間のコミュニケーションは週に数時間のオンライン会議がほぼ全てでしたので、(リアルで会ったことのない)全国のriverのメンバーが集まるオンライン飲み会などを開催して関係を深めていきました。今では、全国のriver支社のメンバーはとてもコミュニケーションが活発です。
コロナ禍の中で全国的なネットワークを作ったのは、riverの1つの特徴だと思っています。

■企業版ふるさと納税がビジネスとして成立すると思ったきっかけを教えてください

小坪様:前職はトラストバンクという会社に勤め、そこで地域課題を知る機会が増えました。地方創生は課題ばかり、逆の視点だとビジネスチャンスの宝庫でもあります。
自分の出身地も田舎で、地方は好きです。

そして2018年ころ、SDGsの原文を読み漁り多くのSDGsのセミナーにも参加するとともに、ちょうどそのころにファンドレイザー(寄付集め支援者)の資格を取得しました。
「共感によるお金の流れ」が今後大事になるとおもった時期です。

「地方創生」と「SDGs」と「ファンドレイジング」の3軸で活動していたら、そのタイミングで企業版ふるさと納税と出会いました

前職では色々な事業開発を担当していましたが、企業版ふるさと納税に専念したいと思い、前職を卒業し今に至ります。

■river事業の課題はありますか?

小坪様:寄附に関わらず地域と連携したい企業に、もっと自分たちのプラットフォームを使ってもらいたいです。
ありがたいことに全国の自治体からの問合せは増えており、自分たちのようなコーディネータが求められていることを実感します。
また企業にもアンケートを取るとriverのようなサービスを使いたいという声も多いので、実際にもっと使ってくださると嬉しいです。

企業版ふるさと納税とSDGsについて

■企業版ふるさと納税とSDGsの関係について詳しくお聞かせください

小坪様:寄付を通して社会課題の解決に貢献することはSDGsに繋がると思います。SDGsをやりたいが自分たちは何ができるかわからないというような企業にとっては、着手しやすい社会貢献・SDGs活動なのではないでしょうか。

都市部だけでは日本は成り立たないので、古き良き日本を子どもの世代に残すために地方創生は必要です。
そして、自治体が行う地方創生事業でSDGsのゴールが関係しない事業はなく、地方創生に貢献することは間違いなくSDGsに大きく貢献することだと思います。


■企業版ふるさと納税が今後さらに普及するにはどのようなことがポイントでしょうか?

小坪様:個人版ふるさと納税は、全国の返礼品がポータルサイトから一覧できるし支払いもクレジットカードが使えるなど、民間事業者が市場参入することで、以前は出来なかったことが出来るようになり利便性が向上したことが普及に繋がりました。
企業版ふるさと納税も、寄付検討から寄付申し込みまでの方法がシンプル化していくとさらなる普及に繋がると思います。

また、つい数年前までは、制度認知が乏しく事例も少なかったため、寄付をしたことによって社会から悪評を向けられるという最悪の事態を避けるため、制度が知られていない内は「この制度大丈夫?」と思われ寄付に慎重になっている企業が多くありました。
同業他社の事例などを通じて、企業の寄付が企業のESG価値向上に繋がることがわかっていただくと普及が広まると考えます。

■自治体と企業とのマッチングはどのようにされているのでしょうか?

小坪様:自治体のやりたいことをそのまま企業にローラー営業・広報するのではなく、企業と話すときは企業がやりたいことだけをヒアリングしています。
企業がやりたいことと自治体がやりたいことが一致する団体が見つかったときだけにマッチングをしているので、企業からしたら自分たちがやりたいことをしています。
他にも、慎重派かどうか、スピード重視など、団体同士の特性を考慮してコーディネータ間でよくコミュニケーションを取りながら繋いでいます。

■カルティブ様とriver事業はWEBサイト、セミナー、動画配信などでもSDGsを掲げています。SDGsを掲げたことで、カルティブ様の事業に良かったことは何でしょうか?

小坪様:カルティブの全ての判断基準は「地域のためになるか?」であり、SDGsが国連で採択される前からSDGsに繋がることをしていました。

SDGsや企業版ふるさと納税は、他社や行政との繋がりを得る接着剤だと考えます。SDGsを発信するから心を開いてくれる方は多いと思います。

■小坪さんにとってのSDGsとは何でしょう?

小坪様:自分の生き方について時間をかけて見つめ直したことがあります。そこで行きついたのは「自分の子どもたち・孫の世代に、ワクワクする世界を残したい」という想いです。
子ども孫の世代にとって持続的な世界を親の世代が責任をもって繋げることがSDGsだと考えています。

■最後に、SDGsを始めたいが何から始めて良いか分からない会社様にメッセージをお願いします

小坪様:ぜひ、企業版ふるさと納税を活用した地域との連携のために、rriverを使ってください。
どの会社も寄付をする企業、サービス提供事業者、コーディネーターのどこかには属します。
地域課題やSDGsは1社だけで解決できるものではなく、共感できるパートナーとの活動から始まります。
ぜひ企業版ふるさと納税からSDGsを始めていただけると嬉しいです。

おわりに

今回は、企業版ふるさと納税のコーディネートを行うriver事業を運営するカルティブ様のインタビューを通じて、SDGsに取り組もうとされる世の中の事業者様に向けメッセージをいただきました。

弊社では今後とも、SDGsを実践されている方の実践事例のインタビューをお届けします。

このnoteをご覧になって、SDGsをやってみて直面したお困りごとを相談したい方、実際にSDGsに取り組む際の事例を知りたい方がいらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせフォームから弊社までご連絡ください。

・株式会社Flexas Z Webサイト:https://flexas-z.com/

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