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【ヤブ】が生まれてしまう理由

 医療に関わる人は皆、患者様を治そうとしています。しかし、いわゆる【ヤブ】と言われる人が存在します。もちろん僕も、どこかで言われているかもしれません。

 今回は医療側から、なぜこの【ヤブ】が生まれてしまうのかという事を考えてみたいと思います。

 まず、我々からみて一番怖いのは、患者様に再来院して頂かないと自分の治療が正しかったのかわからないという事です。

 患者様が一度だけしか来院しない理由は、一回で治ったか、不満があったかです。

 よくあるケースが、治療した患者様がしばらく開いてから再来院されて(この前は一回で治った)と言われる事です。

 この場合は(良かった)と思えるのですが、これがもし効果を感じられず不満で再来院されない場合は、治って来ないのか、不満があり来ないのか知る術がないのです。

 不満があり再来院されないのに、こちらは治って来なくなったと理解したら、悪い治療を続けてしまいます。これが【ヤブ】と呼ばれてしまう人を作る一番多いケースだと思います。

 同じ様な事を外国人シェフがテレビで言っていました。

 【一番怖いお客様は日本人。外国人のお客様は味の文句を言っても又来てくれる。日本人は不満があっても(美味しかったです)と言って二度と来てくれない】

 この場合も、味の反省点が分からない。だからこそ怖い事なのだろうな、と凄く気持ちが分かりました。

 僕の財産の一部がヤクルトスワローズでトレーナーとして働けた事です。

 チームのトレーナーは毎日同じ選手と過ごします。治療も同じ選手を見る事が多く、今日行なった治療結果を必ず明日確認出来ます。

 まだ経験が少ない時にこの様な生活を送れたのは貴重な事です。

 もちろん常に選手を良くしようと治療してきました。しかし、次の日の結果は予想通りの事も残念な結果もありました。

 この残念な結果は、治療院であれば患者様は二度と来てくれないかもしれないわけです。もしそうであれば、結果を知らず他の患者様に同じ事を行ってしまう可能性があります。

 僕は治療院の他にプロ野球選手と個人契約をしていますが、選手には(治療効果はこちらに気を使わずはっきり伝えてね)とお願いしています。効果があったと言われたら、同じ治療を続けてしまいます。

 この問題は治療院を経営している以上、一生ついて回る問題です。出来るだけ自分の治療結果を調べて【ヤブ】と呼ばれないように気をつけていかなくてはいけないと思っています。

 今回も読んで頂き、ありがとうございました。