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プロ野球選手の個人トレーナーの仕事とは

 僕はヤクルトスワローズの球団トレーナーとして勤務後、治療院を開業しながらプロ野球選手の個人トレーナーとして活動しています。

 元々は球団トレーナー時代から良くしていただいた宮本慎也選手に個人トレーナーとしてお声掛け頂いた所から始まります。慎也さんとは2003年から退団する2013年まで長くお付き合いさせて頂きました。

 僕が彼に行っていた仕事は、オフは怪我の予防と競技に有利になる為のウエイトトレーニング指導。シーズンに入ったら怪我の予防や治療としてのマッサージや針等の身体のメンテナンスです。

 シーズン中は試合後に自宅まで伺っていたのでナイターが遅くなると深夜1時過ぎてから治療が始まる場合もあります。家に帰るのは朝4時過ぎる事も。夏は明るくなってきます。この生活は今も中村悠平選手の個人トレーナーとして同じ事を行っています。

 基本的に個人トレーナーの仕事は選手のニーズに応える為に様々なタイプがいます。

 僕は治療、トレーニング両方を任されていましたが、選手によっては治療だけのトレーナーやトレーニングだけ、もしくはメンタルトレーナーを雇っている選手もいました。

 珍しい所だと腰のトレーナー、肩のトレーナーと部位に寄って分けている選手もいました。

 個人トレーナーになると、チームトレーナー時代とは全く違う目線で野球を見る様になります。

 チームトレーナーの時はチームの勝利を、という見方ですが、個人トレーナーは完全に個人の活躍を望みます。

 逆に言えばチームが勝っても選手に成績が出ない、挙げ句怪我でもしたら解雇されるのは当たり前です。

 現に他の個人トレーナーを見てきて3年やれば長い方というイメージがあります。

 僕は他にも多くの選手の個人トレーナーを勤めてきましたが(慎也さん以外にも同時に複数の選手を受け持っていた)もちろん数年で解雇された事もあります。

 なんの保証もない1年勝負は選手もトレーナーも同じです。だからこそやりがいのある仕事です。今も同じ生活を続けていますが、結果を出せない時はいつでもクビを覚悟しています。

 その代わり選手が活躍してくれた時は自分の事の様に嬉しいです。毎試合、テレビで選手の打席、投球をドキドキしながら見れるのは個人トレーナーならではの楽しみです。

 宮本慎也選手は自分自身で引退を決めてユニフォームを脱ぎました。このような引退の仕方が出来るのは本当に数人です。最後まで個人トレーナーとしてお付き合いさせて頂けたのは僕の中での財産です。

 出来れば自分の関わる選手全員にこの様な引退の仕方をしてもらいたい、又その為に出来るだけの後押しがしたいと思っています。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。