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【無駄】を無くす事が【怪我】を減らす。トレーナーの本当のサポート

 スポーツは技術、体力の他に精神的な物も関係します。精神的な物を含めると【無駄】という物は存在しないと思います。計画した練習をやり切るだけでも自信に繋がりますし、失敗しても(上手くいかない方法が分かった)と考えれば無駄な物はありません。

 しかし、今回は身体的な事のみを対象として、お話しをさせて頂こうと思います。

 練習は何かを得る為に行います。例を上げればウエイトトレーニングは筋力を得る為に行います。

 筋力を得る為にウエイトトレーニングを行う訳ですから、筋力を得られなければ【無駄】という事になります。

 ここまでは当たり前の事なのですが、トレーニングで筋力を得られた場合も【無駄】は存在します。

 例えば10セットのトレーニングで得られた筋力と1セットで得られた筋力が同じであれば、10セットの場合は9セットが【無駄】であったと言えます。

 これは時給で考えるとわかりやすいかと思います。同じ仕事で一万円稼ぐのに10時間働くか1時間かでは、9時間タダ働きになってしまいます。

 更にこの9セット分が【無駄】であるだけならまだ良いのですが、トレーニングは疲労を溜める事になるので怪我を作る原因にもなります。

 特に野球をはじめ、技術練習も行わなくてはならない競技は、他に多くの練習も行います。

 怪我は【回復が疲労に追いつかなかった時】に起こります。この様な事で疲労を溜め込んでいくと、結果的に怪我の原因を自分自身で作ってしまいます。

 トレーニングは何をどれだけ行ったかではなく、何を得られたか。

 そして、それを得る為に最小限の量であったかを重要視するべきです。

 その為にはドライに結果だけを見ます。

 ベンチプレスの場合は前回に比べ使える重さが上がる、もしくはレップ数が増えているという事が全てです。

 この事が起こっていなければ、前回どんなにハードなトレーニングを行っていたとしても、結果として【無駄】だったと捉えるのです。欲しかった筋力を得られていないからです。

 前回より記録が向上しなかった場合は理由をしっかり考える事が大事です。

 トレーニングの量が多かったのか、まだ回復されていないのか、それとも食事に問題があるのか等、理由を考え改善していかないといけません。

 逆にたった1セットだけのトレーニングでも、前回よりも向上していれば効果があったと捉えて良いのです。

 一日中トレーニングしても翌日ムキムキになる事はありません。身体は少しずつ変わっていきます。一回のトレーニングにおいて、必ずこれ以上のトレーニングは【無駄】というポイントがあります。ここを探し出す事が大切です。

トレーナーに必要な事


 選手はどれくらいのトレーニング量が適しているのかはなかなか分かりません。若い選手であれば尚更です。この事はトレーナーが選手に指導するべきだと思います。

 その為にはトレーナーもトレーニングを行う必要があります。選手への指導の糧として色々な事を行う事が大事です。

 僕も学生時代アームカールだけ100セット毎日やり続けてみたり、逆に一週間に1セットだけにしてみたり、身体の変化や疲労のデータを自分を実験台にしてとっていました。サプリメントだけで食事を取らない生活をしてみた事もあります。もちろん今でもトレーニングしています。

 トレーニング量の効果や怖さはトレーニング経験がない方にはわかりません。自分の身体で試さないと、いくら知識を得ても【感じる】事が出来ないのです。

 僕が若いトレーナーに、必ず自分自身がトレーニングするようにアドバイスするのはこの為です。

 まずは教える側がトレーニングをやり込み、どこまでが【効果的】でどこからが【無駄】かを経験する事。それが選手の【怪我】を無くせる一番の事だと思います。