スポーツトレーナーを【職】として目指す方への参考に

 今人気のスポーツトレーナー。来院される学生の患者様からも進路の希望として質問を受ける事がとても多いです。

 しかし、それをボランティアではなく【職】として考えると現実的な事も考えなくてはいけません。

 学生さんは最後の夏の大会も終わる時期だと思います。今回は僕が経験してきた事が(僕の周りの方達の感想含め)スポーツトレーナーを目指す方の参考になればと思い書きました。

 問題点1. 収入について

 職として考える場合、まず問題となるのは収入です。トレーナー派遣会社等に就職すれば給与条件は違えど会社員として一定の収入(多くの場合、決して一般の会社に比べ高くはありません)は得られます。

 しかし、個人でトレーナーとして生計をたてようとする場合は大変です。雇う側としてはお金を払う訳ですから実績のないトレーナーはとても不利です。
トレーナーをチームに迎えたいけどお金を出せない、というチームは多いのです。

 収入は関係なくボランティアでもトレーナーをやりたいという方、もしくは経験だけでも積みたいという方にはチャンスは多いと思います。

 自分自身では沢山の知識を持っていると思っていても、お金を出す側に理解してもらうには何かしらの実績をどうしてもみられてしまいます。仕事を依頼されたとしても、ある程度の経験が無いと良い条件は得られないでしょう。いきなり個人でトレーナー活動をして生計を立てるのはとても厳しいと思います。

問題点2.やりたい仕事を最初からは難しい

 スポーツトレーナーとして様々な資格を取ったとしても自分の勉強してきた事をすぐに発揮出来るわけではありません。会社には複数の先輩トレーナーがいます。最初はほぼ、自分の思い通りの仕事は出来ません。


 これは逆に考えるとわかりやすいと思います。もし自分が先にプロ野球のトレーナーとして活動し、新しい経験のないトレーナーが入って来た時、好きにやって良いよ、という指示を与えられるでしょうか?自分のやりたい仕事をやれるようになるには長い期間の下積みが必要になる場合が多いです。どの職でも一緒だと思いますが、会社で自分のやりたい仕事を行うには我慢が必要な期間を覚悟しなければいけません。

3.社会的な人間関係も必要

 多くのスポーツトレーナーがいる中、条件の良い仕事を得る為には人間関係、一言で言えばコネクションがないと不利です。

 例をあげると、僕の後輩のトレーナーはとにかく人脈を作ろうと出会った方にはすぐに名刺を渡し、その後お礼の手紙を送る等、自分を売り込む努力を惜しまない子でした。

 元々能力の高いトレーナーでしたが、そんな子でも売り込みに必死でした。こういった努力も職として選ぶ時には求められる事になると思います。能力=仕事を得られる、というだけの世界ではないです。

4.モチベーションの低下

 一生懸命努力をしてもなかなか評価を得られない
、又は希望の仕事を得られない場合、モチベーションも下がってきます。私の周りにも途中で諦めた人はたくさんいます。

 又、選手も結果を出す為必死です。結果が伴わないとトレーナーを変える事も珍しくありません。仕事が安定しない事も意欲を失う原因になります。

総括

 スポーツトレーナーは人気がある職業である一方ライバルも多く、希望通りの職場がそう多くはないと思います。

 僕は学生さんにスポーツトレーナーを目指すなら、諦めても違う事に生かせる資格を選んでおくと良いよ、とアドバイスをしています。

 例えば鍼灸マッサージ、理学療法士、柔整師等の国家資格を最低限取っておけば、スポーツトレーナー活動以外にも仕事は多くあり、あまり良い表現ではないかもしれませんが【仕事の保険】を得られます。

 その後自分の行いたい範囲でのスポーツトレーナー活動をしていくのが現実的に考える良い方法だと思っています。

 もちろん僕以外の意見も沢山あると思います。こんな意見もあるんだな、ぐらいの参考にして頂けると嬉しいです。


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