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「不調だから病院に行く」から「自ら不調を改善するため行動する」時代へ

ツムラ社が20~50代の女性1万人を対象とした「隠れ我慢に関する実態調査」に関するとなるメディアの報道を見ました。

調査によれば、回答した女性のうち79.2%が不調を抱えながらも「頻繁に」もしくは「時々」我慢をして仕事や家事をこなしていることがわかりました。その背景には「相談しにくい」「辛さを言葉にしにくい」「我慢するのが当たり前」という気持ちがある、とのこと。

9割の回答者が「隠れ我慢」をしなくてよい社会を望んでいるにもかかわらず、不調を誰かに相談する女性は半数にも満たず、相談相手は友人か母親で医師に相談する女性はごくわずかだそうです。

ここまではフムフムなるほどと読んでいました。しかしメディアの主張は
「8割近い女性が不調があるのに病院にも行かず我慢している!問題だ!」というもの。

ん??

私はここで違和感を覚えたのです。なぜならこの主張の背景には、

不調がある→病院に行く

という考えがあるからです。本当にそうでしょうか?

もちろん、耐え難い痛みや苦しさがあればすぐに病院に行った方がよいでしょうし、月経前や月経中に生活がままならないくらい体調を崩す人は早く婦人科にかかって治療や服薬を始めた方がよいでしょう。

でもこの調査でわかった多くの症状、例えば「疲労やだるさ」「冷え」「イライラ感」「肌荒れ・しみ」「頭痛」「不安感」といった、病院にいって問診や検査をしても診断がつかない、いわゆる「不定愁訴」です。病院に行くことが解決につながるとは限らないのです。

そこで大切なのは、まず自分の変化に気づくこと。例えば、

・疲れやすいな
・眠りが浅い気がする
・やたらとあまりものばかり食べたくなる
・肩こりや背中の痛みが強い
・急激に太ってきた

そして、自分にあった対策を自分でとれること。例えば

・お風呂にゆっくり浸かる
・寝る1時間前以降は家電やスマホの電源はオフにする
・甘いお菓子は週1日と決める
・ヨガやウォーキングをやってみる

など、まずは個人で取組めることが思い浮かぶでしょう。ツールや他の人、環境の力を借りるのもよいかもしれません。例えば、

・自分がリラックスできるよう、自宅の掃除を行い環境整える
・栄養バランスに気を付けるため食事アプリを使う
・誰かに話を聞いてほしいので、友人とオンラインで他愛もない話をする
・自宅と職場の往復ではなく、自然の多い場所で新鮮な空気を吸う

のようなことができるかもしれません。私たちの体は刻々と変化していて、

病気ではないけれどなんとなく不調な状態=「未病」の状態

を誰しも経験しているはずです。
でも私たちは目の前のやるべきことやりたいことに捉われて、未病の状態を放置してしまいがち。そして深刻な症状が出て初めて病院に行こうとするのです。

でも毎日毎日自分の健康管理していくのって大変ですよね?食事制限やエクササイズもめんどくさく、大変という人もいるかもしれません。

そんな皆さんに朗報です!!個人の取り組みを支援するのみならず、コミュニティーや環境の両面から病気を予防したりより一層健康になるようなアプローチをするのが「公衆衛生」もしくは「パブリックヘルス」と呼ばれる分野の役割です。

さきほどの不調の改善をパブリックヘルスの切り口から考えると、例えばこんなことが挙げられます。

・職場のチーム内のコミニケーションが円滑にして特定の人だけがストレスがかからぬよう方法を考える
・日々の食事で野菜をより多くとるようにすることで、家族みんな体調が良くなる

医療個人の健康、特に病気の治療に重点を置いているのに対して、公衆衛生は病気の予防や健康増進、特に個人のみならずコミュニティーや社会にアプローチする方法をとるのです。

未病の状態を改善しようとしても1人で取り組むのは大変です。でもパブリックヘルスのアプローチを活用すれば、個人の力に頼ることなくいつの間にか健康な生活を送ることができるかもしれないのです。面白いと思いませんか?



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