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エイプリル・フールに乳がん告知を受けた話③

帯状疱疹

GW直前の手術日に向け、準備を進める一方で
とにかく仕事が異常な忙しさの渦中にあった。(担当の一つのクライアントが4月決算のため、3月とは比較できないほどの業務量)、3月に転職したばかりで、よくわからないことも多いというのに、連日休憩する時間もなく、食事する時間もとれない日もあり、ただひとり夜遅くまで残業するという謎の事態が起きた。
職場の一部の人にしか病気のことは伝えてなかったものの、
「身体を最優先に考えてください」という言葉とは裏腹に、実際には部の中でいちばん働いているという矛盾。今回、あえて派遣社員を選んだはずなのに。

そのストレスは身体に現れ、手術日の2日前、夜通し身体の左側のみチクチク・ピリピリ痛みが出て、頭の皮膚から指の先まで、左半身の神経をめぐって痛みが走り続け、左のあばら下に、うっすら水疱が出た。これは、噂に聞く帯状疱疹では…!

帯状疱疹が広がってしまったら、手術ができないかもしれない。手術日がずれたら、がん細胞がもっと広がってしまうかもしれない。

不安と激痛のため一睡もできず、翌日朝、手術予定の病院に電話して皮膚科の予約を取ると、外科の保健師さんも一緒についてきてくれた。
現時点で「帯状疱疹とは言い切れない」というもので、一旦痛み止めをもらい、翌日の手術当日、あらためて皮膚科で診察して手術できるか判断ということになった。

出社し、仕事の引き継ぎをしてから早めに帰宅。あとはもう、GW明けに出社するまで、仕事のことは知らんがなという気持ちである。

入院・手術

当日。
朝、まず皮膚科を受診し、手術して問題なしとなってから、コロナの検査を受け、入院手続き。人生初めての入院となる。
13時の手術まで、いろんな担当者が挨拶にきて、主治医の先生が現れたときにはほっとした。緊張はどんどん増していき、手術用の白いソックスを履き、浴衣に着替え、全身麻酔の際に歯を守るためにマウスピースをはめ、下着をT字帯に替え、手術室まで担当の保健師と歩いていくうちにどんどん怖くなった。

「手術室」の前で、頭にキャップをかぶって、メガネを外すと緊張もピークになり、確認のため、手術担当医に「お名前をおっしゃってください。今日はどこの手術をしますか?」と聞かれても、うまく言えず「胸の……右です……」とかろうじて絞り出すほど。

いよいよ手術室に入って横になると、テレビドラマや映画でよく見るライトが天井にあって「こわいこわい」とひるむ。
麻酔担当の人がおでこに脳波をはかるものを貼ってくれ、主治医の先生が「あ、マークしてなかった!」とマジックで、切除する胸の側の右手甲にハートマークを描いてくれた。手術する胸を間違えないようにするためのものらしい。

「眠くなりますよー」の声の次に聞いたのは、「終わりましたよー」の声だった。



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