詩| とうきょう
こんなに人がいる、こんなにも。
誰の今日も、大きな目で見れば、何の意味もない。そんな目で見る必要はないけれど。でもだからこそ、せめてもっと、他人に優しくなれたらよかった。僕もあんたも。目を閉じれば忘れてしまうこと。
開いた口は正義かもしれない。吐かれた思想は大抵間違ってる。そもそも正解なんてないよ。口無しだって受け容れてくれよ。大切なこと大切な人に伝えられたら死んだっていい。叶わないから僕たちは一歩後退。
あまりにもうるさいから、耳が遠くなっていくんだ。それは幾世代に亘って。寿命はせいぜい71、73、79年。割り切れなかった心の残滓がその人の生きた証となって。聞き漏らした声を供えてほしい。
東京の風は時に懐かしい。よそ者が持ち寄った最大公約の匂いが飽和する夜。体が浮いたら最後。人はまだ空を飛べない。あなたの元へは飛んでいけない。キツいパルファムや歩きタバコで保たれた論理は仕様もなかった。
みんな何かを待っている。失ったものを待っているんだ。